映画『サマー・オブ・ソウル』を観た

 友人知人が絶賛していたので、「ぜひ観たい」と思っていたが、いつも間にか主要館での上映が終わっていた。
 探してみたら土日だけの上映だが、早稲田松竹でやっていた。15時15分からの回のチケットを買うと全席指定なので、通路寄りを選んだ。「次の回はその席が埋まっているので、他を選んでください。」と言われた。
 「次の回って何?」と訊くと「17時40分からの『イン・ザ・ハイツ』の回です。」と言われ、「そうか二本立てだったのだ」と納得した。そう、この手の名画座では二本立てが普通だった。
 もう10年くらいは二本立てなど観たことも無い。『イン・ザ・ハイツ』はカリブ音楽を中心にしたミュージカル映画だったが、残念ながら途中退場した。
 『サマー・オブ・ソウル』は凄かった。1969年NYのハーレムで開かれた黒人の音楽フェスティバルだ。ウッドストック・コンサートと同じ年に開かれている。
 とにかくエネルギッシュで会場警備はブラック・パンサー党が引き受けている。マルコムXやキング牧師の暗殺を報じたニュースもインサートされていた。
 ウッドストックでも、ジミ・ヘンの「星条旗よ永遠なれ」は戦闘機の機銃掃射音をギターで再現するなど反戦色の強いモノだが、レコード録音やテレビショウでの黒人音楽は、それほどメッセージ性は強くない。
 しかしこの野外フェスでは「黒人の尊厳」が力強く歌い上げられている。アフロアメリカンの旗手ニーナ・シモンの太い腕から繰り出されるピアノ音と、野性味を帯びた歌声には圧倒される。
 このところ不貞寝していたので、「人間はエネルギー勝負だ」と思い知らされた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?