婚活の反応 その3

 むかしから女性との出会いは多いが、最近はとくに20歳代の若い女性が多い。
渋谷ののんべえ横丁にはよく行っており、若さとの遭遇率が高い。
 カラダを鍛える話とセットにして、婚活中の話に入る。「キャー、ステキ。ワタシも全力で応援します」との反応が多い。しかし、こんな協力宣言のような発言にぬか喜びしても意味がない。
 「要は、婚活対象から外れたいだけだな」という意図がミエミエである。イーズカの婚活対象年齢は20歳から60歳までと、ほぼオンナの全生涯にわたる。対象から外れるのは子供と老人だけである。
 さらに、この手の若い娘が、身代わりとして別の娘を生贄に差しだすことは無い。
 イーズカの正面に居るよりも、脇に立った方が安全だという判断は賢い。
 これだけ数多くの女性と出会いながら、婚活の成果が上がらないのは、すり抜けようとするオンナが多いからである。
 余談ながら、慶応の同級生に「やったぜ」と報告した時、即座に「イーズカ、でかした。ところで相手は馬か、羊か?」と質問された。なかなか事実を話すスキが与えられなかった。
 事実を話すと「な~んだ、人間なの。ツマラナイわ、イーズカの体力なら馬とでもやれると思ったのに」と吐き捨てられた。
 有閑階級のお嬢様は。大胆かつ明け透けである。しもじもの民とは別世界に生きているので、興味と羞恥心の基準点が異なる。
 しかし、彼女こそがイーズカ婚活の応援団長であった。
 そして昨夜は、地元の夜景絶景バーで友人のギタリストに遭った。そのバーでバーテンのアルバイトをしていたこともあるので、イーズカの婚活歴史をよく知っている。
 イーズカが「最近は、朝起きた瞬間から幸せで、こんなに幸せで良いのだろうか、と心配するほどだ。だが、婚活の成果だけはまったく上がらない」とボヤいていた。
 ギタリストは断言した。「20代の娘が同世代のオトコなんぞには興味なく、イーズカさんに走ることは十分にあり得ます」という援護射撃である。「ある日突然、若い美女を連れてきて、彼女が妻だ」と言われても、驚くけど納得します」ともフォローしてくれた。
 バーの店主も「まだ出会っていないだけなのよ」とアシストに回った。ふたりとも婚活対象では無いので、好意的である。
 「イーズカは昔から「大器晩成」と言われ続けてきたが、63歳にして未婚ということは、どんな晩成なのだ」と愚痴った。
 イーズカは決して作文ネタを作るために不幸を繰り返している訳ではない。
 むかしのオンナが言った「アナタには、ヒトを愛する能力がない」という不吉な言葉が蘇る。

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