MMT「現代貨幣理論」

 MMTとはModern Monetary Theory の略称で「現代金融理論」と訳した方が良いという者もいる。昨年末に興味を覚え、早速に区立図書館に借り出し予約したが、ぜんぶが貸し出し中で2月末ころから予約順が回ってきた。
 単純に言えば「自国通貨で国債を発行している国は、その借金額など気にせずに国債を発行し、そのカネで財政出動し、完全雇用プログラムを組むべきである」という理論だ。
 その提唱者はウォーレン・モスラーという金融の実務家と、ステファニー・ケルトンというニューヨーク州立大学の経済学教授である。後者は女性で、経済番組でインタビューに答えている姿を見たことがある。
 その主張は「国は景気を支えなくてはならない」という点に主目的がある。
 日本は世界に先駆けて、1990年代初頭のバブル崩壊によりデフレ経済に陥り、金融緩和により経済を刺激することでデフレ脱出を図った。しかし橋本内閣以降も財務省からの圧力によって財政出動は控えめなまま、消費税増税などで個人と企業の消費に冷水をかけ続けた。
 その結果が「失われた20年(30年)」とも言われる景気低迷を招いている。金融緩和がどれほどの意味と効果を持つかは不透明だが、「アクセルとブレーキの両方を踏んでいる」状態にある。世界の先進諸国は、いずれもデフレ基調にあり、日本ほどヒドクはないが似たような状況にある。
 2013年に政権復帰した第2次安倍政権は「アベノミクス」なる経済政策を打ち出し、日銀総裁に黒田氏を起用するなどして「年率2%のインフレ」を目指したが緊縮財政のままで、いまだに何の成果も出ていない。
 しかし金融政策で景気が上昇することはなく、「欲しいモノ」「利用したいサービス」も無く「何をしても儲からない(金利が低いことが実証している)」という国民意識のもとでは、市中にどれほどマネーを放出してもそのカネで消費しようという個人も、事業を始めよう・拡大しようという企業も居なかった。
 誰も、すでに日本の将来に何の期待もしていない。
 少子化、高齢化、人口の減少は3重苦として重く日本に圧し掛かっている。社会保障費など福祉支出が増えるばかりで、税収は減り、未来を担う若者はどんどん減っていく。こんな国に期待するのは愚か者しかいない。
 それでも意欲溢れる人間がいて、新しい商品、見たことも無いサービスが提供されれば経済は活性化する。カネを借りてまで欲しい「モノ」も「サービス」も無いところに、カネだけ供給しても誰も動かない。金融政策は、過熱を冷ましたり低迷を刺激する程度の効果はあっても、それ以上の効力は持っていない。
 現実の企業や個人がイノベーションによって新商品・新サービスを提供しない限り、景気回復などあり得ない。経済の実態は民間企業にあり、政府など税金を徴収して再分配することしかできない。
 MMTは、国は景気を支え、完全雇用を実現するためには借金額など気にせずに財政出動すべきだ、と言っているに過ぎない。これとてハイパーインフレを引き起こす危険性があり、その時期は誰も予想できない。
 日本は「MMTの実証例だが、実践例ではない」と言われている。金融緩和や異次元の資金供給をやりながら、緊縮財政のままで、片手落ちである。
 安倍政権は、弱者救済や完全雇用の実現などアタマから無かった。金持ちと強い者だけで生き残ろうとしている。
 税金を「モリ・カケ」学園や、吉本興業や、ベネッセや、ゼネコンに優先配分しているだけである。更には「桜を見る会」などで自身の後援会を接待するなど、公職選挙法違反を平然とやらかしている。
 追い打ちをかけるように、コロナ対策で大失敗した上に、全国の学校休業などという愚策を思い付きでやり、あの文科大臣にまで「官邸は、教育現場が分かっていない」と苦言を呈されている。その被害にたいする助成金制度などを苦し紛れに口走ったが、税金の無駄遣い以外の何物でもない。
 MMTは思いの外マトモな理論だったが、アベみたいなサイコパスに使わせたら、間違いなく日本が崩壊するまで借金を続け、利権を吸い尽くすだろう。
 自民党もこんなヤツに権力を与えた責任を取って下野すべきで、「解党する覚悟で出直せ」と言いたい。
 勉強すればするほど腹が立つ、というのはどういう国なのだ、ニッポンは?


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