ポルシェで「Taycan」を試乗してきた

 午前中はジムでZUMBAに出て、一般人を蹴散らしてから、浜田山のポルシェ・ショウルームに行ってきた。
 14時30分に出発して、予定通り15時には着いた。23区なら自転車の方がオートバイよりも速い。

 さすがにポルシェに自転車で乗り付けるヤツは居ないらしく、驚かれた。
 しかしバーバリーの革ジャンにイタリア製ジーンズ、真っ赤な革のスニーカーだったので、それなりの待遇を受けた。

 営業マンは元ヨコハマ・タイヤの人間で、ポルシェ哲学をいろいろと語ってくれた。
 イーズカもポルシェ博士がソ連のスターリンからも呼ばれていたが、戦車しか作らせてくれないとのことで、スポーツカーを作らせてくれて、アウトバーンまで用意したヒットラーの元に残ったことを知っている。
 実はポルシェ博士が最初に作ったのは電気自動車で、今回の「タイカン」は時代に迎合したのではなく「原点に立ち返ったモノ」だとの説明があった。

 イーズカも最初に親を騙して買ったのがポルシェ924だったし、その後も会社の社長のフィアットやBMWを乗り回していた。自分でもホンダS2000を買っているし、その車で鈴鹿サーキットを13周ほど走っている。
 ビンボーだった割には、メチャクチャな高級車遍歴である。こんな事ばかりしていたので、ビンボーになったとも言える。

 営業マンと話が合い「試乗されますか?」と誘われた。昨日から始まったばかりの発表会なので予約で一杯だと思っていた。確認したら空いていた。日曜日の15時過ぎという時間帯が幸いした。ポルシェが用意した保険書類にサインして早速乗り込んだ。
 電気自動車なのでドドドッという重低音は無いが、バッテリーが重く車体重量が2トンもあり、ポルシェの重厚感は味わえた。
 運転席はまさにコックピットである。

 メーター類はすべて液晶表示、4ドアで後部座席も広い。後部のトランクルームが広く後部座席のイスの下まで突き抜けている。
 エンジンが無くモーターだけなので、フロントカバーを開けると巨大な工具箱が入るくらいのスペースが空いていた。
 ポルシェ911では、アタッシュケースひとつしか入らない。リアエンジンなので後部トランクなど無い。ゴルフバッグを積むなら助手席に置くしかない。

 ポルシェはスポーツカーであって、ゴルフなどという下等なスポーツの為のクルマではない、というポルシェ哲学が貫徹している。

 電気自動車専用のシャーシを開発しているので、モーターとバッテリーの配置が理想的になっている。
 加速は音もなくスムーズで、加速がまあ早い。そしてスポーツモードにしてもらったらエンジンブレーキのような減速がかかる。エンジン車に乗り慣れた人間には、とても助かる。あっという間に前の車両に追い着くが、ポルシェ・ブレーキは素晴らしく良く効く。かつてはフェラーリもポルシェ・ブレーキを採用していた。スゴイ車であった。

 電気自動車というモノに初めて乗ったが、モーターの加速感というものを始めて味わった。
 イーズカはこの手のマニアと話すのが得意である。「ウソはひとつも無いが、誇張されていない部分も、ひとつも無い」のである。アメリカ人の就職時の履歴書のような感じである。
 ウソはバレるのでつかないが、この順番でこんな表情で話したら、相手は必ず勘違いするであろう、という組み立てである。
 世間では、これを「詐欺師まがい」とか「山師」と呼ぶ。おかげでビンボーなくせに、「ビンボー臭く」見られたことはない。

 最後に価格を訊いたら、最低ランクが1500万円、その上が1700万円、最高ランクが2500万円だという。
 アタマがクラクラして自転車で庭の玉砂利に突っ込んだ。慌てて「ひと山当てるぞ!!」とみずからに掛け声をかけたら、営業マンが大笑いして送り出してくれた。

 そう、イーズカは「小説すばる新人賞」に応募しようとしている。なんとか「小説らしきモノを書こう」と思っていたが、これで大傑作を書くしかなくなった。

 物欲は、クリエイティブの最大の原動力である。


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