『フラッシュダンス』をDVDで観た

 この映画は1983年製作で、ちょうどイーズカがエアロビクスを始めた年に公開された。
 レオタードにレッグウォーマーという姿が懐かしい。日本で初めて原宿に「スタジオNAFA」というエアロビクススタジオが出来た。イーズカは当時原宿のプロダクションに居て、先輩カメラマンと行った。

 まさに「レオタードの姉ちゃんを、身近で見たい」という健全なスケベ心で行ったのだった。セントラルアパートという、デザイナーだのコピーライターが事務所を構える有名なビルの中だった。
 スタジオはガラス張りで、周囲の喫茶エリアから見物できた。

 その時は見物だけだったが、先輩に誘われて外苑前駅にある「XAX青山」に入会した。まだ26歳だったので、背伸びしていて好奇心の塊だった。
 最初の3か月は地獄だった。美しい女性たちの腹筋や背筋の強さに圧倒された。目の前に居るのに、眺める余裕など無かった。
 もともと農民の屈強なカラダを持っていたので、すぐに追いついた。

 そして原宿のキディランド近くに「アドバンスド・クラブXAX原宿」が出来た。そちらは会社から徒歩3分くらいだったので、先輩と一緒に移った。
 当時はニチイの傘下にあったがニチイの倒産で、そのビルは現在はシャネルになっている。ここには10年以上通った。デンツーに入り、日暮里に住んでも通っていた。オシャレな街から離れられなかった。アドバンスド・クラブの会員は全国のXAXに自由に行けたので、出張の度に札幌から福岡まで日本中のXAXを荒らし廻っていた。

 30歳前後の頃なので、すでに身体能力はずば抜けていた。しかし、まだ選民の世界で、邪魔なオバタリアンなど居なかった。モデルやコンパニオンなど所謂ギョーカイ人しか居なかった。
 一クラス40人くらいで、男性など2~3人程度であった。

 ただのエクササイズに皆が飽きたころ、ダンスと格闘技のクラスに切り換わって行った。「チャイニーズ・カンフー」などというクラスもあったが、すぐに無くなった。
 ヒューゴというブラジル人の男性インストラクターと仲良くなり、彼は雑誌「ターザン」のモデルをしていたので、エアロビの世界にどっぷりとハマった。

 この頃のイントラとは、現在のジムで20年ぶりに再会している。当時、すでにイーズカは異常な動きをする有名人だった。

 その後ニチイの倒産とともに閉鎖され、イーズカは東急の「オアシス」に移った。千駄ヶ谷に万来社のオフィスを構えた時期だったので、最初は青山店に行き、途中から有名なイントラのナタリーの居る新宿店に移った。

 歌舞伎町のド真ん中の新宿オアシスには20年ほど通った。この時期には大衆化が進み、身の程知らずのオバタリアンが大量に発生した。
 イーズカは「オマエたちとは住んでる世界が違うし、歴史も違う」と、蹴散らしていた。

 しかしババアもオバタリアンも自己認識能力が異常に低くて、ふてぶてしい。ふつう男性陣は逃げ出すのだが、イーズカは最前列センターの位置を死守していた。最初の戦いは「白子さん黒子さん」のミクロゲンパスタ・コンビとの争いで始まった。
 黒子は身体能力が高くダンスも上手い「褐色の弾丸」であったが、性格がねじ曲がっていた。母親の介護とかで居なくなるまで、イーズカと張り合っていた。

 この頃の女性陣とは、非和解的関係にあった。メチャクチャに嫌われていた筈である。これ見よがしに身体能力とダンスセンスをひけらかすので、まあ嫌われていた。

 そして今は、地元のゴールドジムで筋トレにも励みながら続けている。ここでは友好親善路線に切り替えた。
 お陰で女性陣の友達も多い。初対面の人間には呆れられているが、「このオトコは、そういう特殊人なのだ」と了解されている。
 少し困っているのはマッチョな連中から色目を使われることである。イーズカは男の肉体には、何の興味も無い。

 と、走馬灯のように38年間のエアロビ生活を思い起こしながら「フラッシュダンス」を観た。
 甘くてダサいラブロマンス仕立てになっているのが気に食わないが、「まったく新しい世界の登場」という当時の衝撃が伝わって来る。

 イーズカの38年間は、日本のエアロビクスの歴史そのものである。
 そして、イーズカの「懲りない、めげない、くじけない」生活を支えてきたのもエアロビクスである。

 約40年の間、何度も谷底に沈んだが、這い上がって来れたのは「健康と体力」の賜物である。
 どんなに優秀な人間も、体力が無いヤツは生き残れない。「無事、これ名馬」と言うように、病に倒れたり、死んでしまったりしたら何にもならない。
 生命体である以上、「生きて、動ける」ことが最重要だ。

 現時点では「生き残っている」だけで、手にしたモノは少ない。これから30年が収穫期だと思っている。

 まずは、「嫁を収穫」しなくてはならない。


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