前川喜平という人
昨夜、「哲学系ユーチューバー・ジュンちゃんによる哲学講義」を聴いたら、前川喜平氏との対談だった。
ジュンちゃんというのは若いけれど面白い人間で、論理が鋭く、ネット・ウヨクなどを血祭りに上げている。固定ファンがキチンと居るので毎日15分ていどの動画ながら、広告が4本以上も入って来る。
昨夜は毎日の動画配信ではなく、月に1回のオンライン対談を1時間以上やっていた。
その対談相手が元文科省事務次官だった前川氏である。前川氏はアベに逆らった為に散々に叩かれ、当時内閣官房長官だったスガから、「出会い系バーに通っていた、ハレンチ官僚」として名指しされて非難された。
そこからの反撃が素晴らしく、いまやアベ・スガ政権の批判者の最先頭に立っている。語り口が軽妙で、ウィットとユーモアに富んでいる。
小・中学校における「道徳教育」について語っていた。イーズカが小学生の頃の1960年代にも「道徳」という授業はあった。
まあ退屈な授業で、教師も教えようが無くて困っていた。自己啓発セミナーがお得意な「お涙ちょうだい話」が出てくるが、教師も生徒も「またかよ」の繰り返しだった。
前川氏の話によれば、戦争直後の文部省は社会科教育で道徳を教えようとしていたようだ。
敗戦後の教育はまだ自由で、新憲法下での民主主義の担い手を育てようとしていた。
しかし自民党というのは、帝国主義への復古を目指していたので、教育勅語を復活させようとする勢力が機会を伺っていた。
その象徴的な人物が「森喜朗」元総理であった。このバカは「ニッポンは天皇を頂く神の国である」などと発言したが、封建主義の生き残りのような人間なので、影響力は少なかった。
主人公はアベ・シンゾーで「美しい国ニッポン」を説き、第2次アベ政権の時に教科化を成し遂げる。天皇を座敷牢に追いやって、国民に「臣民」となる事を求めた。
その思想的背景は、祖父の岸信介を経由して明治維新の伊藤博文などに遡る。
日本書紀や古事記は「日本神話」の世界だが、山にも川にも「神が居る」というアニミズムであり、「万世一系の天皇」などはコジツケに過ぎない。
自民党は天皇教を悪利用したカルト宗教であり、現世利益の公明党と結びつき、連立して「カルト政権」を構成している。オウム真理教と大差ないのである。
前川氏はこんな話を淡々と語っていた。そのバックボーンの知識量が凄まじいので聞き入ってしまった。
最後の方の文学に関わる話もオモシロかった。夏目漱石や川端康成やトルストイやドストエフスキーと共に、太宰治についても語っていた。
イーズカも「走れメロスは恥ずかしい」という話題で盛り上がったことがある。
太宰は人間の弱さや醜さを「ここまで書くか」というほどに書いているが、「うつ」から復活する時には異常に健全志向になったりする。
「友情が、如何に大事か」というテーマで道徳の時間にも取り上げられたりしたが、ヒトに説いて聞かせるような話ではない。自分ひとりで勝手に大事にすれば良いだけだ。
あの手の話を得意気に話すのは、インテリジェンスに欠ける中小企業の社長あたりに多い。
イーズカはそんな人間を、すぐに「小馬鹿にする」ので嫌われて会社を追い出される。
そんな人生を思い起こしながら、前川氏の話をとりとめなく聞いてしまった。
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