Thrustmaster TPR ラダーペダルのレビュー(和訳)

アメリカのテック系サイト、ARS technicaに掲載された、リー・ハッチンソン氏*1(Lee Hutchinson)によるThrustmasterのハイエンドラダーペダル・TPRのレビューです。

原語版: https://arstechnica.com/gaming/2018/09/thrustmaster-tpr-is-the-king-of-mass-market-flight-sim-pedals/

*1)ハッチンソン氏はFolland Gnatでの飛行経験や、
TA-4、F-100のコックピットへの搭乗経験がある

-------

Thrustmaster TPR: 

ワンダフり子*2 ー まるでフライトシマー向け製品じゃないみたいに、お店で買える最高のフライトシムペダル

*2)原文・STUPENDULOUS - Stupendous(素晴らしい)とPendulous(振り子)の合成語?

ちょっと奇抜な見た目だけど、高品質、高精度、そして改造にもフレンドリー。

リー・ハッチンソン - 2018年9月23日, 11:00 PM

高品質なラダーペダルを手に入れるために、Slawという名前のベラルーシ人のポーランドの銀行口座にお金を振り込むことまでやった身として、つい最近ThrustmasterのPR担当者が新しいTPRラダーペダルのレビューサンプルの送付の申し出の連絡をくれたときには大喜びした。長年Thrustmaster Warthogを所有している私としては、同社の新しいラダーペダルについて持っていた重要な疑問は、その製造品質:希望小売価格499ドルの価値があるのか?それともWarthogのスティックとスロットルのようにー外見はよくても中身はワイヤーとホットボンド、プラスティックでぐちゃぐちゃーのようなものなのか?

最初にこの疑問についてお答えしましょう。TPRラダーはWarthogとは違います。
分解してみたが、ゆるゆるのワイヤーやホットボンドはなく、全てがきれいにすっきりと収まっている(もう少し下に写真と詳細があります)。

全体として、TPRラダーはThrustmasterがこれまで踏み込んだことのないニッチな分野、つまりハイエンド仕様のラダーペダルという分野における新規参入者としての優れた努力の結果である。品質は確かに高いが、デザイン自体はまとまりを感じられるものではなく、ビジョンが統一されていない設計者が寄って集って完成させたように感じられる。現実として非常によくできている!のだが、「素敵!」という人はだれもいないだろう。


より素早く踏み込む

先に述べておかねばならない。私はTPRに少々不利な立場からレビューを行うことになる。

不利な立場とはー馬鹿げたことに聞こえるかもしれないがー私が何年も「大衆市場向け」ラダーペダルを使っていないことだ。代わりとして、私は「専門ブティック」と呼ぶべき世界の製品を使用している。最初はSlaw Device製のBF-109sのラダーペダルで、最近ではSlaw Device RX Vipersのペダルを使用している。これはポーランドで一人のベラルーシ人エンジニアが慎重に設計し、どんなに頑張っても高々数百台の規模の生産で、手作業で組み立てたデバイスである。アメリカまで送ってもらうにはトータルで600ドル以上になり、それでも欲しい場合は数か月の待機列に並ばなければならない。

「専門ブティック」業界に参入しているのはSlaw Deviceのラダーペダルだけではない。MFG Crosswinds、VKB T-Rudders、その他少数のメーカーがあり、いずれも少ロット生産、高価格、品質と制度が非常に高い、という特徴を持っている。

Thrustmasterの北米マーケティングマネージャーのTim Gorham氏は、これら専門ブティックメーカーを「間接的なライバル」と呼んでおり、この言葉は一考の価値がある。一方で、現実的な話、これら専門メーカーの製品に対して、TPRラダーペダルは同じような価格帯(Slaw Deviceと比較した場合)またはもっと高価(MFG, VKBと比較した場合)になるので、比較を行わないわけにはいかない。ターゲットとしている顧客層はまったく同じ(つまり、たった一つの、それもジョイスティックとスロットルがなければまったく役に立たないフライトシム周辺機器に500ドルも払うクレイジーな連中)ということだ。

しかし、TPRにはいくつかの利点がある。少なくとも、ほかの専門ブティックにはない特徴として、最も大事なことだが、主要な周辺機器メーカーによって大量生産されており、小売店で購入できるということだ。Slaw Deviceの待ち時間は数か月単位で、もし製造を行っているたった一人の人間が休暇を取ることに決めたらその待ち時間は半年にもなる。この点はかなりの利点だ。


至高のラダーペダル 対 究極のラダーペダル

ほとんどの購入者は、精度が低く、改良の余地もなく、剛性感のない、造りがよくないラダーペダルからTPRにステップアップするはずである。しかし、驚くほど素晴らしいラダーペダルから、単にとても良いペダルにステップダウンする場合、熟考が必要である。

過去数年間にわたって、専門ブティックの世界だけを飛び回ってきたので、このレビューのかなりの部分は期待を和らげたり、リセットしたりする内容を含んでいる。私はTPRで何ソーティーもこなしたが、LogitechのG-ProsやThrustmaster自身のTFRPのような安価なデバイスではなく、私が飛びなれている高価な手作りモンスターと比較してみた。実施それらと比較において、TPRが必要となることがある。

しかし、たとえTPRが(Gorhamが言うように)それら専門ブティックのアフターマーケットにとっての「間接的ライバル」であったとしても、これらの比較は必ずしも公平である必要はない。なぜならTPRを購入するほとんどすべての人はSlaw DeviceやMFGのラダーペダルを使用する機会はないと考えられることから、「間接的ライバル」という言葉を正しくとらえれば、Thrustmasterは、このTPRペダルが低予算派からプロまですべての分野で他と比較してほしいとは思っていないということだ。

(さて、ここではウルトラハイエンドなフラシムギアの話は割愛しよう。なぜなら、ウルトラハイエンドの世界の人々は実際の航空機の部品を購入し、フライトシムで動作するように配線しているからである。彼はThrustmasterが何を作っているのかには興味はなく、Boeingが何を作っているのかにしか興味がない。) 

機能と設計

さて、自己陶酔の時間は終わりにして、このラダーペダルについての話をしよう。

TPRは一見したところ、怒った、金属の腕を持つ邪悪なR2-ユニットのように見える。関節のあるこぶのような印象的な形だ。ほとんどのラダーペダルに見られるような、従来のフラットな"平行四辺形"レイアウトとは大きく異なり、その代わりThrustmasterが"PENDUL_R"メカニズムと呼ぶものが特徴だ。実際のところ、"TPR"とは"Thrustmaster Pendular Ruddder"の略である。

"振り子”(ARSTechnicaサイト校正者に鉛筆で刺されたくないので、私は必要最小限な分だけPENDUL_Rと記載することにする)とは、こぶのような筐体の上部の支点を中心にして、ラダーペダルのアームが振り子のように上下する機構自体を示す。

従来の平行四辺形-的なレイアウトと比較して、多少奇抜に見えたとしても多くの利点がある。"これらは実際の航空機の中のラダーの組み方と同様”とGorham氏は言う。TPRの設計にあたっては民間および軍のパイロットから多くのフィードバックを求めたという。

現実世界に忠実であることのほかに、このメカニズムは、従来の平行形レイアウトにおける埃、髪の毛、その他の汚れを集めてしまうスライディングトラックがないので、はるかにこれらの汚れに対して強いという利点がある。1年間机の下に鎮座していた後のペダルの動きは、箱から出した時の新品と同じときのスムースさだろう。

材質的な面では、ペダルのほとんどは金属製でできている。外見上の特徴であるスイングアームとペダルは「高品質アルミ合金ダイキャスト」製で、本体は「高品質炭素鋼の打ち抜き加工」(Thrustmasterは競合他社の参考になることを避けるために、正確なアルミニウムや鋼材の等級は開示しないようにしているとのこと)でできており、プラスチック製のビットは「ドイツ自動車産業でも使用されている高級サーモポリマー」(これらプラスチック製ビットについてはもう少し詳しく説明します)でできている。可動域のあるすべての部品には、それぞれに対応する音や摩耗を抑えるゴム製のバンプストップ(交換可能!)が取り付けられている。

しかしこのデバイスに注がれている配慮や愛情にもかかわらず、全体的な外観は、本レビューの意見としては...「空振り」である。TPRのデザインには一貫性がないデザインで、魅力的とはいえず、場当たり的に見える。このような製品は基本的なメカニズムの物理的な面からその工業デザインを行う必要があるが、このTPRの場合、それは単に...醜いだけである。まるで巨大なバッタの足を持った奇妙でつまらない黒い塔であり、バランスが悪く違和感がある外観となっている。Gorham氏が言うところの「間接的ライバル」に比べると、これは美学的に同じレベルにはないといえる。

このような製品にとって、それがどのように動くかをレビューする前に、それがどのように見えるかについて文句を述べるのは細かすぎるだろうか?普通ならそう思うが、このラダーペダルは500ドルもする。この価格帯の商品なら、機能性を損なわない限り、少なくとも魅力的な工業デザインである必要がある。これこそ、私の意見としては、TPRが私が見たかったものから著しく不足している点だ。

(一方で、一度設定すればあまり見ることはないので、この批判は適切に理解していただきたい) 

機構と改造

ラダーペダルの心臓部は動作機構そのものである。振り子のアームは、一対のリンク機構を介して、センターピボットにとりつけられた水平バーに連結され、一対のハサミ型アームに連結される。ハサミ型アームは一対のスプリングによって互いに取り付けらえており、スプリングを調整することでペダル自体の動作に要する力とセンタリング力が調整できる。

多くのハイエンドシムの掲示板の投稿で、特にハサミ型機構では、ペダルがセンターに戻ったときの「ハンプ」感を取り除くのが難しいという点で、ローラーカム式の機構ではなくハサミ型機構を選択したことに疑問を呈している。

この意見に対してThrustmasterは、TPRのデザインに対する同社の考え方を明らかにしている。同社によれば、ローラーカム機構は必然的に単一のプロファイル(カムの形状によって決まる)を持ち、そのプロファイルを変更するにはカムを別のものと交換する必要があり、すなわちこれにはラダーペダルそのものを分解する必要がある。さらに同社はハサミ型機構には次のような利点があると主張している。

中心点のかたさは、「ハサミ」の底にあるダンパーねじを使用して、抵抗を軽減するように微調整できます。これは工具なしで行うことができ、さらに分解及び再組立てを行う必要がありません。ばねを「あらかじめ拘束する」部品を挿入することで、ハサミを開いたままにすることができます。これによって機構は抵抗から解放され、ラダーペダルは重力をのぞく抵抗から解放されます(これはヘリコプターのゲームプレイに最適です)。これらは全て、自分が何をしているかわかっている方ならば数秒で実行できます。

上述のように、作動に要する力およびセンタリング力は一対の取り外し可能なばねを介して調整可能である。両方のスプリングをブラケットの最も低い位置に固定することによって達成される最大の力は、私が普段使用しているRX Viperより小さく、以前所有していたSlaw DeviceのBF-109sによく似ている。重すぎることは全く無く、最大位置で快適にホールドできる。

ペダルのリバウンド反発はかなり大きく、1つのペダルから足を離すと、3秒間ほど前後に揺れ動く。この価格帯のほかのペダルでは、反発を緩和または除去し、動作をスムースにするために油圧式のダンパー(通常はオートバイのステアリングダンパー)の取り付けをオプションとして提供している。

Thrustmasterの回答はこの会社がいかに改造コミュニティに対してオープンであるかを示している。

私たちの知る限りでは、サードパーティー製の改造キットなしでそのような油圧システムをリリースまたは提供したラダーメーカーはありません。とはいえ、ハードウェアの改造に興味をお持ちの方にとって、TPRにこのような改造を施すことはそれほど複雑なことではありません。"T字型"
側の軸をより長いものに置き換え、油圧アクチュエーターを固定するU字型プレートでアクチュエーターをベースに(ドリル穴を1つあける必要があります)固定する必要があります。私たちは自分たちの試作品に面白半分でこれを試してみるかもしれません。
箱出しですぐにつかえるハードウェアとしては、少数のプレイヤーのために余計なコストをかけてまで、大衆マーケット向けとして行う必要はないと考えます。私たちの振り子システムは、小さな調整のために片足で小さな圧力を加えるという方法が可能なように作られています。かかとが地面についているので、1つ1つの動きをうまくコントロールすることができます。そのため、私たちはこの繊細な動きをダンパーで鈍らせる必要性を感じていません。古典的な平行式ラダーペダルでは、このような小さな調整がより困難です。とはいえ、油圧アクチュエーターを用いるこのような改造は、それを望む方々にとって手ごろなコストで実現可能です。


メーカーから直接改造のアドバイスを聞くことは、正直に言って非常に新鮮である。Thrustmasterのオープンな態度は、「私たちは必要ないと考えます。製品がデザインされている通りに使用してください」という回答で対応できたことを考えると賞賛に値するものである。

実際、Thrustmasterは私の質問へのフォローアップとして、さらに一歩先を行くものであった。「私たちは改造コミュニティが何を考え出すか見るのが大好きです」と同社の研究開発チームは私にメールで伝えてきた。「改造業者がアフターマーケット部品の実現可能性を検証し、各消費者がすでに改造に多額の投資をしていることを書いてもよいかどうか判断は任せます」

スムースな部分 そして それほどスムースでない部分

TPRペダルには、3つの制御軸がある。ペダルを前後にスライドさせることで動作するラダー機構(2つのペダルは接続されているため、個別の動きを与えることはできない。片方が前進すると、もう片方は後退します)がある。ペダルはコントローラーのZ軸としてコンピューターで認識される。

ほかの2つの軸はトーブレーキであり、ペダルを前方に踏み込む(車のアクセルやブレーキペダルを踏むように)ことで動作する。左のトーブレーキはY軸、右のトーブレーキはZ軸である。

感触としては、主舵軸は軽く、なめらかで応答性がある。裸足または靴下で飛行している場合、ほんのわずかな足指の圧力でホール効果センサーを作動させることができる。Thrustmasterによると、このセンサーは16ビットの解像度と0.005度の精度を提供し、各軸には65,536個の測定値がある。実際に、ほんの少し指を動かしただけでも、ジッターのない動きになる。小さなヨー修正は簡単に行うことができ、ペダルのデッドゾーンはThrustmasterのTARGETソフトウェアで設定可能であるが、デフォルトの設定でかなり快適だ。

ペダルの戻りはなめらかで、動きの全範囲にわたって摩擦はないが、スプリングの物理的なサイズの制限により、中心点付近の動作に要する力は常に私が望むより軽くなる(ただし、オプションであるより硬いスプリングを自分で追加すれば別だが)。

一方、トーブレーキでは話が異なる。作動力は調整できない(間違っていたら教えてほしい。マニュアルには記載がなかった。)が、十分楽に動く。問題なのは、トーブレーキを使うとざらざらとした感触がすることだ。オイルのなめらかに滑るような感触ではなく、金属が金属にこすれるような感じだ。しかしこれは驚くことではない。分解すればわかることだが、作動メカニズムが実際に金属と金属の接触になっているからである。

またこのような批判を行うのは少々やかましいかもしれないが、結果として安っぽく感じられ、「安っぽく感じ」るというのは、500ドルのラダーペダルには、どんな形であれ望まないことだ。

トーブレーキに必要な力そのものは調整できないが、ペダルのすくい角は別々の調整点を使用することで25段階で35度から75度まで調整可能だ。

分解

中をのぞく準備をしつつも少し不安だったが、その心配は無用だった。中も外もTPRはとてもすっきりしている。この斬新な外観は、機能的にミニマリストな内装を備えており、その巨大なこぶのような形のほとんどは空っぽの空間で、無謀に押し込まれているWarthogとは対照的に、少数の部品が念入りにパッケージされている。

中に見えるすべてのケーブルは歪むことが無いよう緩やかに配線されており、それらのケーブルの反対側にも同様に歪に対する緩和が見られたことで私は嬉しくなった。デバイスの内部のどこにも無計画なワイヤーの束はなく、工業デザインこそ多少不格好である一方、エンジニアリングはクリーンかつ慎重なものに見える。

電子部品の大部分は取り外し可能なプラスチックボックスに収納されており、中央台座の後部からアクセス可能である。箱の中にはNXP LPC 11 U 35 F ARMマイクロコントローラーを搭載したThrustmaster謹製のPCBが入っている。トーブレーキと中央のハサミ型機構はそれぞれ小型のPCBに接続されている。

全てがはんだ付けされ、ねじ止めされ、クリップで固定されている。ホットボンドがないのはありがたい。 

取り付け

これについては、ほとんど述べる必要がないと思う。なぜなら、ラダーペダルに500ドル費やしても構わないのであれば、おそらくコックピットかシムピットにとりつける人がほとんどだろうと考えられるからだ。いずれにしても、これらを使用するには取り付けを行う必要があるのはほぼ確実だ。

TPRラダーペダルの巨大なベースプレートには底面に4つのゴム製パッドがついている。実際に試してみたところ、木製のフローリングやタイルの表面では安定してしっかりしていたが、カーペットの上では使えなかった。これはペダルのベースの周囲にたくさんのクソデカい本を積み上げることで緩和できたが、ペダルの可動範囲が狭くなってしまった。

私のオフィス/ゲームルームはカーペット敷きなので、TPRを何かにとりつけなければフライトはできない。幸いなことにマウントについてはずっと私の中で計画があったので、不便に感じることはなかった。

私はObutto R3volutionコックピットをゲーム用PCとともに使っていて、R3vにはドライブ用またはフライトシム用のマウントプレートが付いている。Slaw Device RX Vipersをマウントする際に幅の問題に遭遇したことがあったので、TPRラダーペダルではもっと楽になることを期待していたが、残念ながらそうではなかった。

ペダルのベースには、TPRを取り付けるためのボルトを通すことができる4つの穴があるが、R3vのマウントプレートに適合する穴は2つしかなかった。しかし、どの位置を試してみても、TPRのペダルはR3vのサイドボードにあたってしまう。ペダルが中央にある間は問題がないが、足を踏み込むと左右のペダルがR3vのサイドレールにぶつかってしまう。

これには2つの解決策が考えられる。最初の方法としては、TPRのペダル調整機構を使うことでペダルを後方に傾けて、ほぼ最大の傾斜レベルにすることだ。これでペダルがサポートバーの下に来るのだが、厄介なことに、この状態ではトーブレーキをかかとを床につけたまま使うにはペダルが後ろに傾きすぎていることに気が付いた。

しかし、適切な工具とスキルを持っていればこの問題に対処することも可能だ。私が2016年にR3vを購入した時、Obuttoの創設者でマネージングディレクターのChris Dunaganは、コックピットを安全に改造してバーを邪魔にならないようにすることができることを教えてくれた。

アングルグラインダーと真っ黒なスプレーを持っていれば、下側のバーをカットしてペダルトレイを動かす改造をしてみてください。見た目的な美しさのために下側のバーは存在しているので、コックピットの安定性に影響を与えることはありません。カッティングディスクを使用してチューブを取り外し、中粒度のサンドペーパーを使用して切断跡を黒くスプレーします。

1,200ドルのコックピットを500ドルのラダーペダルのために改造するのは常軌を逸していると思うかもしれないが、家にこれがある時点で正気を失って久しいはずだ。普通の人が全く理不尽だと思うようなことは普通に聞こえ、実行できるようになる。信じてくれ。

幸運なことに、この奇妙な手段をとる前に、私の頭の上にひらめきの電球が現れた。R3vのマウンティングプレートの背面の取り付けポイント(これはプレートの後ろ側と高くして、持っているペダルにもっと傾斜をつけることを可能にする)から外し、R3vのマウンティングプレートを床に平置きするという、非常に実用的なアイディアがあることに気かついた。これによって干渉の問題が完全に解決され、どのようなペダル角度でもぶつかることなくペダルを踏み込むことができる。R3vを持っている潜在的なTPRバイヤーは注意してほしい。ペダルプレートを上げて、床に置かないことを選ばない限り、心の痛みから解放されるし、すべてがうまくいく。

この方法の小さな欠点は、R3vのペダルプレートが後部で固定されていないことで、ペダルをかなりのエネルギーで操作すると、プレートがわずかに前後に動くことだ。これは”Elite: Dangerous"でドッグファイト中のカタカタと大きな音を立てて私を驚かせた。ほんのちょっとうるさいだけだが、知っておくべきだとおもう。(マウントプレートとコックピットのスキッドの間になにかを詰め込むことでこれを防ぐことができると思うが、私は気にしないことにした)


ソフトウェア

TPRラダーペダルは、ThrustmasterのTARGETソフトウェアと互換性があり、複雑なTARGETの設定とスクリプトを使用することができる。設定するボタンこそないが、TARGETを使用して3つすべての軸のカーブを微調整し、好みに合わせて調整できる。あるアプリケーションである軸をある方法で動作させ、別のアプリケーションでは別の方法で動作させたい場合、TARGETを使用する。

Windows10では、予想通りドライバをインストールしなくてもデバイスを認識する。ただ、Thrustmasterはダウンロード可能なドライバパッケージを提供している。あまりメリットはなさそうだが、インストールすればカスタマイズされたプロパティページが表示される。


飛行体験

結局のところ、ラダーペダルがどのように動作するのかを議論するのは少々非現実的だ。簡単に言ってしまえば、これはよく動く。

より長い答えとしては、一種の言い訳になってしまうと思う。ある最低限度の機能の閾値を超えれば、ラダーペダルの物理的な要素とそれらをどのように感じるが、ソフトウェア側よりもはるかに重要になってしまう。この章をレビューの終わり際に書いた理由は、TPRがその最小の閾値を簡単に超えてしまうためだ。

TPRラダーペダルで得られる価値は、シミュレーションの最もとらえどころのない側面、すなわちクレイジーな人々(私のように)が絶えず追いかけているものー没入感を改善するという点だ。アルミニウム製のペダルに足をおいた状態でプレイしていると、TPRペダルはあなたゲームから引き離すことは何もしない。邪魔をせず、飛行に集中することができる。汚い、がたがたしたプラスチック製のレールやプラスティックとプラスティックがぶつかる大きなスライド音、または中立点での揺れなどに気を取られることはなく、ただあなたの入力を変換する。そしてそれはきれいかつ
透明に行われる。コンピューターアクセサリを使用してることを忘れて、ただ制御のための入力をしているだけである。

互換性に関して言えば、アサイン可能な軸を持つ最新のゲームはどれもTPRペダルで動作します。いざというときはトーブレーキをレースペダルとして使用することもできるが、これは明らかに最適でない。(繰り返しになるが、フライトシムのペダルに500ドルを費やすことを厭わないのであれば、おそらくあなたは専用のレーシングペダルにもう少しお金を払うことを惜しまないだろうー良い仕事にはよい道具だ!)Elite:DangerousやDCS Worldで全く問題はなかった。

私が現在使用しているSlaw DeviceのラダーペダルよりもTPRの方が優れている点は、センサーの精度が高いことだ。Slaw Deviceのペダルは主ラダー軸で13ビット、トーブレーキで10ビットの制度を持ち、TPRは全軸で16ビットの精度を持っている。理論的には、TPRが小さな動きにより敏感であり、より忠実にそれらに応答することができること意味している(より多くのビットは、軸上でより多くの位置を検出することが可能であることを意味する)。実際には、違いに気が付いたとは言えない。Slaw DeviceとThrustmasterのペダルはどちらもつま先の小さな動きに敏感に反応し、どちらも私の知覚の限度に対してラグやジッタなしで反応する。というかそれぐらいでよい。


買うべきか?

ああ、これこそ永遠の疑問。私の中にいる元エンタープライズITセールス担当は、ペダルの「Value Prop」について話したいと思っているようだ(これは”バリュープロポジション"というフレーズの短縮で)、これは特定の製品がもたらすプラス面とマイナス面を正確に表現しようとするとき使われる。TPRには500ドルの価値があるだろうか?

あなたにとって、そうかもしれない。ここでのValue PropはTPRラダーペダルが非常にハイエンドなキットであり、長期間にわたって使える製品ということです(同じThrustmasterのWarthogと対照的に。私はいま3コ目のWarthogを使っているが、大体これらは18か月で壊れるように思える)。デザインは好きではありませんが、非常に機能的である。スムースで使いやすく、設定も簡単だ。ペダルの使用が適切なシミュレーター(飛行機のゲームでは「確実に」、スペースシムでは「たぶん」という意味で、質問する相手によって異なる)への没入感に大きく貢献する。

何よりも重要なのは、何か月も待たずに購入できることと、ポーランドにいる適当な人物に海外送金する必要がないことだ。TPRラダーペダルはすでに小売店で販売されており、PCアクセサリーを販売しているほとんどの店舗で購入することができる。また、返品ポリシー、保証、および一人で運営している専門ブティックによるベストエフォート型のサポートではなく、コストをかけることができる大企業のサポートが含まれている。

しかしその一方で、この高品質なキットを手に入れる他に、ほぼ同じ金額(またより少ない金額、見るものによりますが)を使って、同じようなハイエンドで機能的かつ美しい専門ブティックのペダルを購入することができるーそして、MFG Crosswindの場合、少なくともあなたの高価なコックピットにはるかによくフィットするかもしれない(もしコックピットをお持ちであれば)。

最終的に、私はTPRラダーペダルが気に入った。これは市場のニーズを満たすためのThrustmasterによる堅固で誠実な取り組みであり、同社がこれまでに参入していない分野の活動にも意欲的であることを示している。さらに同社が耐久性に優れた丈夫なハードウェアを製造できることを示している。

良い点
・破損の可能性がほぼない、堅牢な金属製の構造
・ホットボンドやごちゃごちゃしたワイヤーのない内部構造(やったね!)
・パイロットやシムプレイヤーのフィードバックに基づいて設計されている
・非常に小さな入力であっても、ジッターのない性格な入力が得られる
・必要に応じてカスタマイズすることが可能な複数の調整ポイント
・Thrustmasterはコミュニティの実験に肯定的であり、簡単に改造できる

悪い点
・変なデザイン。見た目が不自然で、ビジョンの固まりが感じられない
・シザー/ハサミメカニズムにより、ペダルを改造しない限り、顕著なセンター/ストップポイントが存在する
・スプリングのテンションは、実際の航空機のようなリアルな作動力を必要とするユーザーには十分でない可能性がある
(ただし、必要に応じてユーザーが独自のスプリングを追加することもできる)
・木材張りやタイルの床では使用できるが、カーペットでは使用できない。正しく使うためにはマウントする必要がある
・Obutto R3volutionで使用するにはいくつか妥協しなければならないほど幅がある
・トーブレーキの動作は荒くてざらざらした感触がある

嫌な点
五 百 ドル です


結論

もしThrustmasterのTPRラダーペダルが299ドルか349ドルだったとしたら、私は間違いなく「今すぐ購入して、過去を振り返る必要などない」と評価するだろう。しかしそうではない。価格は500ドルで、Alton Brownが「単一タスク」と呼ぶようなデバイスにしてはとてつもない金額だ。

購入する余裕があり、通常の店舗で何か月も待たずに購入できる、ブティック品質に近いペダルが欲しいのであればTPRラダーペダルは間違いなく最良の選択肢だ。もし待つことをいとわないのであれば、そしてもっと重要なのことにもう少しお金を節約したいのであれば、MFG Crosswindを検討してみてほしい。もし待つことも値段も気にしないのであれば、Slaw Deviceで何か手に入れることを検討してみるとよいだろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?