小鼓について②(音のこと)
まず絶対に間違えないで頂きたいのは小鼓(読み:コツヅミ)という名称である事。
良く間違えられます。コヅツミでは有りません。
間違えられる要因としては普段よく使う言葉に「小包(コヅツミ)」という言葉がある事でしょう。
「おおづつ」「こづつ」とも言いますよね?と言われることもあります。
Ans.能楽においては言いません。
漢字に変換すると「大筒」「小筒」これは大砲と火縄銃の事ですね。
続 小鼓について
「小鼓」
ー打楽器の一。鼓の小型のもの。能や長唄の囃子 (はやし) などに用いる。右肩にのせ、左手で調べ緒を持って右手で打つ。小胴 (こどう) 。
辞書での説明はこうなります。
次に、小鼓は打つものです。
よく、小鼓を叩くと言われますが、打つが正しいです。
あくまでイメージでしかないですが、叩くは表面上の音で、打つというのは芯を通り突き抜ける事と考えて頂くと良いかもしれません。
鼓の音は表面で鳴っているのではなく、表革を打つことによって、裏革へと音が抜けて行くのです。
イメージ出来ましたでしょうか。
これを常に考えてみてください。
いい音を出したい
そうですね。良い音を出したいですよね。
でも良い音ってどういう音でしょう?
ー柔らかくてしっとりとしたポン
ー鋭く、客席の後ろまで通るポン
ードンと心臓に響くようなポン
どれも良い音だと思います。
小鼓によってある程度の音の高低が有ります。
これはその鼓の革の歴史や、胴の出来によるもので仕方ない事です。
しかし、同じ鼓を打ってみても、打ち手によってみんな音が違います。
これは何故か。
親子兄弟親戚でも指の長さ、指の厚み、手のひらの厚さってみんな違います。
近い事はあっても違うんです。
小鼓は非常に繊細な楽器です。
革に一枚和紙を貼るだけで音が変わります。
ですので、手の厚みが少し違うだけで音は変化します。
小鼓は楽器自体が持つ「音」だけではなく、打ち手の個性が持つ「音」でもあるのです。
前述のいい音を出したいに戻りましょう。
音の感覚もやはり十人十色です。
私が思う「いい音」とは
「打ち手が一番好きな音」
これだと思っています。
もちろん技術面で必要な事は多く有ります。
しかし、自分が出す音を愛さなければ鼓を打つのが辛くなってしまいます。
自分の個性を音にできるのが小鼓の魅力です。
自分が愛した鼓の音が、多くの人に共感を得られたら嬉しくないですか?
私は自分が一番好きな音が、人の心を打つ瞬間を目指して鼓を打ち続けています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?