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ギターブランドのオービル(Orville)の話

ギターのブランドで、オービルっていうのがあります。いや、ありました。

1988年あたりから1998年あたりまで製造販売されていた、ギブソンの公認OEMブランドで、今だとその役割はエピフォンブランドが担っています。この辺のサイトで触れられていますが、ネット上を漁ってみても情報が少なめですね。

オービルの楽器は、作ってたのが寺田楽器、フジゲンという信頼性抜群のメーカーによるブランドです。というわけで、高品質なOEM品ということと、生産期間が短くてタマが少ないということで、中古品も値が下がらずひそかに人気らしいです。

(引き合いに出して悪いですが、同じギブソン公認OEMブランドでもエピフォンの方はちょっと品質的にアレなヤツも出回っているので買う時は色々調べた方が良さそうなんです。)

ちなみに私は2~3年前にハードオフにぶら下がってたやつを55,000円で買いました。ハードオフで魅力的なギターに出会うケースはそう多くはないんですが、期待せずに時々チェックしに通ったカイがあったというものです。

95年、フジゲン製のSG

この美しさもさることながら、かなり気持ちよく鳴りますよ。手に触れて、ジャラっと1回やっただけで良いギター感がひしひしと。高級オービルのby Gibsonの方じゃなくて素Orvilleですけど、さすが信用と信頼のフジゲン製です。

さて、オービルがどのくらいポピュラーなのかわかりませんが、私が学生の頃、30年近く前はけっこうよく見かけたものです。かなり売れまくったんだと思います。

ギブソンのギターは若い学生にはなかなか手が届かないブルジョア楽器でしたからねえ。フェンダーだったらフェンダージャパンの方なら安く買えたんですが、ギブソンにはそういうのがなかったんです。

そこで、ギブソン買えないなら似たようなヤツを、どうせなら公認のOEMのオービルを・・・ということで、若者がこぞって買っていたんだと思います。

ですから、当時の感覚としてはギブソン買えなかった人のための代用品みたいな、失礼なことを思ってました。失礼なことを思いつつも、ヘッドのロゴこそ違えどそのシェイプのカッコよさやイイ音は当時から感じていましたけども。

時を経てオッサンになって、タイムスリップ的にオービルを入手して感じることは、こんな高品質なギターがあんなにも安価で売られていたのかという驚きです。(私が買ったやつ、多分当時で6万円くらいのクラスのものだと思います。)

今までに購入して手にしたちょっと高級なギターとしては、リッケンバッカー330があります。タイプこそ全然違ったギターですが、330と比べてもそう大きく劣るとは全く感じません。ありがとうフジゲン。

気になるのは、製造販売がわずか10年程度という非常に限られた期間ですから、私より上の世代、あるいは下の世代にとってオービルって、知名度が非常に低いんじゃないかってことです。ネット上に情報が少ないことから見ても、知らない世代の人は本当に誰も知らないなんてこともありそうです。

よっぽどのマニアなら世代を問わないとは思いますが、一般的に知られているのは私と同世代かプラマイ5歳くらいの非常に限られた年代の中だけなのかもしれません。

つまり、こんなに良いブランドなのにあまり世に知られてないんじゃないかと思って、せめて私がこうしてテキストを書いてみました。

中古で見かけたらぜひ手に取ってみてください。値段の方も、プレミアがついて爆上がりなんてことはなくって、とりあえず若い学生さんとかでもバイトをちょっと頑張れば買える程度の値段のものがソコソコ出回ってるようですし。

状態次第ですが、今売られている値段でもかなりコストパフォーマンスが高いんじゃないでしょうか。しかもこっから先、タマが増えることは絶対にありませんから、中古ギターとしては今が狙い目のモノが多いと思います。

って、まるで中古楽器屋の回し者みたいですけど、実際に買ってみて、弾いてみてそう思ったんだから仕方ありません。

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