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−橙色− あこがれの巨大すべり台

公園の2大スーパースターといえば、ブランコとすべり台ですよね。
今日はすべり台にまつわる思い出話です。


多くの人がそうであるように、ぼくもすべり台が大好きな子供だった。
すべり台は長ければ長いほどいい。
近所の公園のすべり台は短いから、たまに大きな公園まで遠出して、ながぁ~~いローラーすべり台をすべるのが楽しみだった。

そんなぼくには、あこがれの巨大すべり台があった。
件の大きな公園に行く途中に見える、でっかいすべり台。高さはビル5階建てくらいあるだろうか。
あれすべったら、絶対楽しいに決まっている。
いつかすべりに行きたいな、と、幼いぼくは心の内に秘めていた。

ある日ぼくは母に言った。
「ねぇあのすべり台、すっごい楽しそうだよね!!」

「え?あれ、コンクリート工場だよ」

がーーん。

ぼくの夢はあえなく潰えた。


今でも、コンクリート工場のすべり台を見るたびに、あの時の胸に秘めたワクワクと真実を知った時の落胆とを思い出して、なんだか空にのぼっていくシャボン玉を見守るような、温かくて切ない気持ちに包まれる。



【橙色】だいだいいろ
ダイダイの実の色。
ぼくの好きだったながぁ〜〜いローラーすべり台は橙色だった。



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