使用者側弁護士の本棚:①文献調査の重要性・全論点共通

適切に労働問題を解決していくためには、通用する法律及び実務の理解に基づく対応が不可欠であり、それは、小手先の独自の解釈では通用しません。
未知の問題に遭遇した場合も、過去の判例や実務の積み重ねの延長であることを忘れてはなりません。
例えば、新型コロナウイルスが問題となった際には、新型インフルエンザ流行時や東日本大震災時の知見が参考になりますし、不況時にはリーマンショック時の知見などが参考になります。

このように、方針を決めていくには、過去の先人達がどのよう悩みながら対応したかの確認、すなわち、文献調査が非常に重要になります。
もっとも、世の中には膨大な文献があり、全てを確認することは事実上不可能です。
最近は文献調査ツールもありますが、このつーるは自分がどのように検索(インプット)するかによって結果(アウトプット)が変わります。
他方で、アナログ的にリアルの書店で思いがけない書籍と出会うことがあるように、自分が意図していない文献に遭遇するチャンネルを確保することも重要です。
そこで、使用者側で労働問題を扱う私が有用と思う文献を紹介します。
私も弁護士登録直後は、手探りで良書を探してきましたので、労働問題を扱う新人弁護士の方には特に役立つかもしれません。

これにより、問題となったテーマごとに調査をするとっかかりに役立つと思います。
基本的に定石と思う文献が多いかもしれませんが、むしろ「やっぱりこの本が最初の一冊なんだ」と答え合わせをしていただく形で活用することもできると思います。

もちろん全く同じ問題は一つとしてありませんので、最後は自分の頭で考え抜くことが重要であることは言うまでもありません。

1 裁判実務

類型別 労働関係訴訟の実務〔改訂版〕I

類型別 労働関係訴訟の実務〔改訂版〕II


裁判実務シリーズ1 労働関係訴訟の実務〔第2版〕


労働関係訴訟I[改訂版] (第9巻) (リーガル・プログレッシブ・シリーズ 9)

労働関係訴訟II[改訂版] (第9巻) (リーガル・プログレッシブ・シリーズ 9)


労働関係訴訟 (I) (最新裁判実務大系)

労働関係訴訟 (II) (最新裁判実務大系)

労働関係訴訟 (III) (最新裁判実務大系)


新・裁判実務大系 (第16巻)

新・裁判実務大系 (第17巻)



論点体系 判例労働法<第2版>1


2 行政通達


労働基準法解釈総覧 改訂16版


3 コンメンタール

令和3年版 労働基準法 上巻 (労働法コンメンタールNo.3)


令和3年版 労働基準法 下巻 (労働法コンメンタールNo.3)

改訂2版 労働安全衛生法



新基本法コンメンタール 労働基準法・労働契約法[第2版] (新基本法コンメンタール(別冊法学セミナー))



注釈労働基準法・労働契約法 第1巻: 総論・労働基準法(1) (有斐閣コンメンタール)


注釈労働基準法・労働契約法 第2巻: 労働基準法(2)・労働契約法 (有斐閣コンメンタール)

注釈労働基準法・労働契約法 第3巻: 個別的労働関係諸法 (有斐閣コンメンタール)


第2版 実務コンメンタール労働基準法・労働契約法 (労政時報選書)


実務コンメンタール 男女雇用機会均等法 パートタイム・有期雇用労働法 育児・介護休業法 パワハラ防止法


注釈労働時間法 (有斐閣ミドル・コンメンタール)


4 実務本シリーズ


⑴ 石嵜信憲弁護士

就業規則の法律実務(第5版)


⑵ 日本労働弁護団

新・労働相談実践マニュアル

⑶ 第二東京弁護士会労働問題検討委員会

労働事件ハンドブック 改訂版


⑷ 労務行政

退職・解雇・雇止め 適正な対応と実務 (労政時報選書)

⑸ 最近の労働者側

労働条件変更の法律実務 (最新テーマ別[実践]労働法実務)

⑹ 有斐閣

労働法実務 使用者側の実践知〔第2版〕 LAWYERS' KNOWLEDGE (LAWYERS’ KNOWLEDGE)


労働法実務 労働者側の実践知〔Lawyers' Knowledge〕


⑺ 安西愈弁護士

新しい労使関係のための労働時間・休日・休暇の法律実務 全訂7版



⑺ 労働法実務相談シリーズ

解雇・雇止め・懲戒Q&A[補訂版](労働法実務相談シリーズ)

5 裁判例調査

⑴ 定期刊行

労働判例

労働経済判例速報

労働判例ジャーナル


⑵ 年度ごとなど

2024年版 年間労働判例命令要旨集

経営側弁護士による精選労働判例集 第14集

労働判例百選〔第10版〕: 別冊ジュリスト 第257号


6 基本書

労働法 第13版 (法律学講座双書)


労働法〔第5版〕

詳解 労働法 第3版

労働紛争処理法 第2版


7 雑誌

書店が買えるものから、年間定期購読が必要なもの、会員でないと手に入らないものなどがあります。

経営法曹

労働法律旬報

ビジネスガイド

ビジネス法務

季刊労働法

労政時報

労務事情

季刊・労働者の権利

8 その他

勝ち抜く労務管理―法廷闘争にそなえて《改訂増補版》


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