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ハリポタオタクがコミコンに行った話

20年来のハリポタガチオタクが軽い気持ちで東京コミコンに参加したら、想像の10000倍良かった話を聞いていただきたい。厳密には読んでいただきたい。

まずコミコンとは、コミック・コンベンションの略で漫画を中心としたポップカルチャーのイベントのことだ。
そして東京コミコンでは国内外の映画や企業の展示、海外セレブ俳優との交流なども行われる。
そう、チケット争奪戦に勝ちお金さえ支払えば、憧れの推しと写真を撮ったりサインをしてもらえたりすることもできるという夢のようなイベントだ。

ただ、私は今回入場券のみでの参加。
もともとハリポタのマルフォイ役トム・フェルトンに会いたかったのだが、残念なことに今回は撮影の都合で来日がなくなってしまったのだ。

友人が他の海外セレブ俳優と写真撮影をするのに「精神的に1人では耐えられそうにないから付きそってくれ」と頼まれ、今回のコミコンに参加することになった。
ワーナー・ブラザースも出展しているため「ハリポタグッズを買えたらいいなあ」くらいの軽い気持ちだった。

コミコン1週間前、ミナリマの出展があるとの情報を得る。

説明しよう!ミナリマとは、映画ハリーポッターシリーズで忍びの地図や蛙チョコのパッケージ、日刊預言者新聞のデザインなど、数え出したらキリがないくらい沢山の劇中グラフィックデザインをしている2人組のデザイナーのことなのだ!
つまり魔法界の創造主のうちのひと組である。

20年来の筋金入りのハリポタオタクである私は「新作グッズが買えそうだぞ!」と俄然当日が楽しみになる。

コミコンまであと数日と迫ったある日、友人からミナリマご本人たちが来る上にサイン会があると教えられる。
しかし1日につき先着200名。狭き門だ。
サインは難しくてもご本人たちの姿だけでも拝めたら、とブースに行ってみようと友人と相談する。

そして当日。

推しとの撮影前で緊張してる友人と早々に別れ(何の為の付き添いだったのか)、ミナリマ出展の列に並ぶ。
グッズ購入の列に並んでいる間もミナリマ氏がサインをしている様子が見える。
なんとサインだけでなく写真撮影までしている!
ファンサすげーな?!
こっちはグッズ買ってるだけでサインや撮影のチケット買ってないんだよ?!
実質タダじゃん!!(?)
しかしグッズ購入の列が長すぎて半ばサインを諦めかける。
うんうん、そうだよね先着200名だもんね。
大丈夫大丈夫、お2人のご尊顔拝めたからもう満足。
と自分に言い聞かせつつ、未練がましくお2人を横目に見ながらレジ列に並ぶ。

が、レジにたどり着くと残り僅かなサイン会のチケットがあるではないか。
ふぁーーーーーーテンション高まるフォイ!!
神々から直筆サインもらえる!!!!
生きててよかったー!!

さて、サイン会まで1時間ほどある。
せっかくの機会だから推しに愛を伝えたい。
時間目いっぱい考えよう。
そのためにはまずは腹ごしらえだ。
フードコーナーに向かい、気づいたら酒を買っていた。
急に推しに会えることになった現実に恐れ慄いて、アルコールが入ってないと正気を保てなかった。ダメな大人の典型だ。

しかし英語で愛を伝えるために文章を考えなければいけないのに、アルコールが入ってしまったので余計に頭が回らなくなってしまった。バカである。
使い物にならない頭をなんとかフル回転させて、中学レベルの英語で思いつく限りの思いの丈を頭の中で何度も反復練習する。

サイン会の列に並ぶ。この頃すでに緊張でアルコールが飛ぶ。(そんな医学的根拠はない)
緊張で手が冷たくなってきたが周りもみんなミナリマ、ハリポタの強火ファンだと思うと心強い。
(余談だがベラトリックス様のコスプレイヤーの方が美しかった…一緒に写真撮ってもらいたかった)

そんなことを考えながら、まだまだ先だと思い油断していたら、列が角を曲がった瞬間にあと2組ほどで自分の番だ。油断大敵!

ひー!緊張でスタッフの方にスマホを渡す手が震える。
スタッフのお姉さんが英語で「お洋服の色合いが素敵〜!私好き〜」と話しかけてくれる。
!!
私の緊張を悟ってそれを和らげようとしてくれている!なんて仕事できる人なんだ!しごできお姉さん!
「(ありがとう優しいお姉さん!私、頑張る!!)
センキューソーマッチ!」義務教育を受けたとは思えない英語力である。

ついに、ミナリマのお2人が目の前に。

いけ、私!あいさつだ!
私「ハーイ!」
ミナリマの2人「「H i!」」
スタッフ「ワン、トゥー、スリー…」
!!
く、写真か!話しかけることに夢中だった!
…にこっ(引き攣り笑顔)
あとから見返したら絶妙に顔が引き攣ってる上に、うち1枚は目を瞑っていた。しごできスタッフさんが複数写真を撮ってくれていて助かった。

よし、気を取り直して思いの丈を伝えるぞ。
「お会いできてとても嬉しいです。お2人の作品が大好きで、毎晩お2人の本を読んで子どもみたいに楽しんでます!」的なことをオタク特有の早口&拙い英語で伝えた。
…果たして伝わったのか?
お2人がにこにこ頷いて「ありがとう」と言ってくれる。優しい。

そして、お2人のサインが終わりかける。
私「次回作も楽しみにしてます!!」
やり切ったよ、お母さん。伝わったかわからないけど、私、推しに愛を伝えられたよ。
するとリマさん
「ありがとう。いま新しい本を執筆中なんだよ、オリジナルストーリーの本を」(書くジェスチャー付き)
?!?!?!?!?!
えええええええ?!!!
そんなこと教えてくださるのおおおおおお?!
いちファンの私に?!大丈夫それ?!情報解禁前じゃない?!(この間0.5秒)
突然のことに金魚のように口をぱくらくさせる私。
「…ほ、本当ですか?!それを聞けてとても嬉しいです!!」教科書の例文のような精一杯の返し。
ーーーサイン終了
リマさん「アリガトウ(日本語で)(手を差し出してくれる)」
んぎゃーーーーーーーー
握手までしてくれんのーーーーーーーー
手ぇやわらけえええええ
この手であの作品の数々ををををををを(天に召される絵文字)
さらにミナさんまで握手してくれるううううううう(天に召される絵文字2回目)

ふらふらとサインをいただいた賢者の石を受け取り、危うくスマホを受け取り損ねそうになりながらその場を後にした。

ああ、コミコン。これがコミコンか。

茫然自失。サインをいただいた賢者の石を我が子のように大切に抱いて友人と合流した。

あれがミナリマ氏のファンサの冗談だったのか、夢見心地で聞いた幻聴なのかはもうわからない。
とにかく推しと会えて直接サインをいただけたという記録だけは確かに残っている。

あとで写真を見返すとサインを書いて頂いてる様子まで写真を撮って下さっていた。
まじで仕事ができすぎるぞミナリマスタッフさん。
そこには11歳の頃のようなあどけない幸せそうな笑顔でミナリマさんに挟まれている私が写っていた。
不意に撮られた写真にありがちな猫背が気になり、ちょっぴり現実に戻された。

ありがとう、コミコン。
ありがとう、ミナリマさん。
ありがとう、しごできスタッフさん。

そして、コミコンのチケットを取ってくれた友人に感謝。

もちろんミナリマだけでなく、ワーナー・ブラザースの出展でもハリポタにLOTRと散財した。(20年経ってもグッズが出るLOTRありがたすぎる)

以上、ミナリマ氏のファンサが最高すぎて思いがけず天に召されたハリポタオタクの独白をご拝読いただきありがとうございました。




生き残った男の子に乾杯!

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