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ビジネス書編集者の1週間はこんな感じ

ビジネス書の編集者は普段どんなことをしているのか。
今日はそんなことを書いていきたいと思います。

出版社によって、また同じ出版社でも人によって仕事の内容や取り組み方は異なります。
僕の場合はこんな感じです、というのが伝われば嬉しいです。
では、とある一週間のスケジュールを書きたいと思います。

月曜日


・11月発売予定の書籍について、著者とライターの3人で打ち合わせ
テーマは確定しているものの、まだ具体的にどのような内容になるのかは未定の段階。そのため、事前にこちらで構成案とタイトル案を作成し、打ち合わせの場で「このような本を作りたいです」とイメージを共有する。スケジュールも事前に作成していたものを共有。事前準備をしておいたおかげで、打ち合わせのあとすぐ作業にとりかかってもらうことができた。

・8月発売の本について、イラストレーターとメールでやり取り
8月に発売する本のイラストを描いてくれたイラストレーターからメールが届いた。7月末に見本を送り、その見本が届いたというお礼のメールだった。「表紙も色合いもとてもいい感じですね!」と書いてあり、胸がじーんと温かくなった。「僕もそう思います!」とすぐにメールを返信した。

火曜日


・毎週恒例の編集会議
編集部全員参加の編集会議。この場は進捗確認がメイン。
「ただいま再校チェック中です」「水曜日には帯の推薦文をいただき、今週の金曜日にカバー発注の予定です」など、今どの段階まで進んでいて、次はどのように動くのかといったことを共有する。

・企画会議
企画会議は月に3回、第2、第3、第4週目の火曜日に行われる。編集部と営業部全員が参加。各編集者がプレゼンし、営業からさまざまな意見をもらい、最終的に営業部長が企画を通すか通さないかの判断をする。この日は企画が通らなかった。

・広告原稿の確認
とある週刊誌で、7月に発売した本の紹介記事を載せてもらえることになった。その広告原稿を確認し、先方に問題なしとの返事を送る。

水曜日


・カバーについて著者と意見交換
10月発売の本について、著者とカバーの文言についてやり取りを重ねる。
イメージを共有してもらったので、それをもとに背表紙や裏表紙に入る要素を考える。
おおよその文言が決まったところで、社内の営業部長に確認をとる。すると、「帯のキャッチコピーはもう少し具体的にしてもいいんじゃない?」とアドバイスをいただく。一理ある指摘だったので、そのアドバイスをふまえ、再度著者に連絡。すぐにレスが届き、OKをもらう。
「ではこれで、デザイナーさんに発注を進めます!」と著者に伝える。これを伝えておかないと、いまボールが編集者の手元にあるのか、それともすでに発注をしてデザイナーに渡っているのかがわからないため、きちんと伝えておく

・デザイナーにカバーの発注を進める
著者との間では高速キャッチボールの繰り返しで熱を帯びていたが、編集者⇔デザイナー間のやり取りは少し時間が空いていたため、いったん冷静になって「これで過不足なく伝わるだろうか…?」と考えてみる。今回ブックデザインをお願いしているデザイナーはキャリアの長い方なので、詳細をつらつらと伝えるよりも、要点を絞って伝えたほうがいいと判断。その上で、必要な材料をすべて添付し、メールで送信。

・企画書のブラッシュアップ
以前参加した出版オーディションで知り合った方の企画書をブラッシュアップ。どのようなタイトルなら多くの人に手に取ってもらえそうか、このタイトルで本の内容が伝わるだろうか、部数はどのくらい刷れそうか。そのようなことを考えながら企画書に手を加える。正解はわからない。ただ、少しずつ前進している感覚はある。

木曜日


・デザイナーからメールの返信が届く
昨日メールを送った10月刊のカバー発注メールに対して、デザイナーから返信が届く。「承知しました。スケジュール通りにラフをアップします」と。頼もしい。デザインが上がってくるのが楽しみだ。

・ゲラ読み
10月刊のゲラ(本番のレイアウトに流し込んだ原稿)を読む。何回読んでも学びがある。これはいい本になると確信。(読むたびにそう思っている)

・原稿のフィードバック
すでに動いている企画の著者から原稿が届く。大見出し1項目ごとに原稿を送ってくれるので、ほぼ毎週原稿のキャッチボールをしている。原稿を拝見し、「良い点」「気になった点」「このような文章が入っているとより具体的に伝わると思った点」などをWordのコメント機能を使って書いていく。メールにて送信。

金曜日


・嬉しいお知らせ
営業の方から、「市川さんが担当した4月刊の本、有隣堂〇〇店でめちゃくちゃ売れてますよ」と教えていただく。ありがたい。嬉しい。「〇〇さんが営業してくださったおかげです」と返す。これからもがんばろうと思う。

・溜まりに溜まったゲラの整理
少し時間ができたので、机の中にありえないくらい溜まっているゲラを処分する。時間があるときに処分しないと、ゲラは溜まり続ける一方だ。ペーパーレスがよしとされるこの時代に真っ向から逆らっているようで、ばつが悪い。今までありがとうと、ゲラにそっと感謝する。

・気になっていた本を読む
読みながら、なぜこの本が流行っているのか、どのような点が優れているのかなどを考えてみる。著者なのか、テーマなのか、装丁なのか、使っている言葉なのか…。動作としてはただの「読書」だが、このようなインプットの時間がいずれ自分の血肉になると思う。

・企画のプレ会議
来週火曜日の企画会議に向けて、編集部のみで企画のプレ会議を行う。ここでは、各編集者が企画の主旨やポイント、著者がどのような人物か、どういった本が類書として考えられるか、またそれらの類書はどれくらい売れているのかといったことを説明する。その説明が終わったら、ほかの編集者から意見やフィードバックをもらう時間となる。ここでの話し合いにより、自分では欠けていた視点を補うことができる。


非常にざっくりではありますが、とある1週間を書いてみました。
振り返ってみると、次のように分類できるかもしれません。

ルーティン化されているもの…編集会議、企画会議
ルーティン化されていないもの…それ以外の全部

こうして書いてみると、ずいぶん流動的ですね。

出版社によっては、定例会議も存在しないところもあるのでしょうか?
もしそうなら、ルーティンが一切存在しない、全てを自分でハンドリングするということになりますね…。それはちょっとこわい。


いま何をやるべきなのか、何に時間を割くべきなのかという判断。それに加えて、その後にどのような行動をとったのかも含めて編集者の仕事といえるのかもしれませんね。

それでは。

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