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北翔大学ポルト市民講座「子どもの生きづらさを考える」を振り返って

 3月19日に開催しました北翔大学ポルト市民講座「子どもの生きづらさを考える」について、このnoteで振り返りたいと思います。

 私の在籍している北翔大学は、地域の皆さんとの取り組みを大切にしたい、少なくとも私はそう思っています。

 市民講座の冒頭に、私は15分時間をいただき、企画趣旨についてお話をさせていただきました。

 その後は、この講座で私が最もお呼びしたいと考えていた3人の先生にお話いただけることができました。

 まず、基調講演者としてお話いただいたのは、多くの方がご存じであろう田中康雄先生です。生意気な言い方ですが、田中先生ほど、子どもや家族、学校の先生などの相手の立場にたって見える景色を大切にされている先生はいないと思います。今回のお話も、田中先生の基底の部分は本当に変わっていない、「子どもや家族の方々が、発達障害や不登校、その他の生きづらさのある背景を抱えていた場合、私たちに何ができるのか」ということをおっしゃっていたと思います。私自身、田中康雄先生の『ADHDの明日に向かって』を読み、それ以降もほぼ刊行されているご著書は全て拝読していることを自負しています。私は田中先生の背中を追いかけていると言いますか、こういう臨床家になりたいというモデルの先生であり、今回も「こういう企画をしたことはよいことだと思うけれども、これを打ち上げ花火にすることなく、いろいろな背景を抱えた子どもたちかそのご家族が当たり前の生活(楽しいことも苦しいことも)を享受できるために、これからもできることはたくさんあるよね」と背中を押していただけたと勝手に解釈しています。

 次に話題提供者として、しんぐるまざあず・ふぉーらむ北海道代表の平井照枝さんにお話いただきました。以前、平井さんたちが企画した「ひとり親サポーター養成講座」に2日間みっちり参加させていただき、貧困という問題に目を背けられなくなりました。現時点での稚拙な私の考えですが、貧困は、社会環境の調整が絶対必要であるとともに、一人ひとりの「貧」からくる「困」りごとは異なるので、やはり一人ひとりの語り(物語)に耳を傾け、その一人ひとりが自らの力でその物語を歩まれるのを、ときに同伴者として、おこがましいですが、ときに鏡の役割や、おせっかいなどをさせていただく事が大切だと考えるようになりました。平井さんのお示しする豊富な統計資料ももちろん考えさせられるのですが、その統計情報の奥にある、一人ひとりの親御さんや子どもたちのこと、家族のことを考えることの大切さを平井さんは訴えて下さったと思います。

 最後に、訪問と居場所「漂流教室」代表の山田大樹さんにお話をしていただきました。山田さんのお名前はもちろん存じており、最初はフリースクールの漂流教室を行っている方であり、不登校という背景のある子どもたちに長く関わっていらっしゃる方と思っていました。そんな山田さんと初めてお会いしたのは、昨年3月の子どもの貧困対策センター「あすのば」主催の支援者向けの研修会のときでした。「貧困について考えないとならないのは北海道全域であり、札幌と地方の現状は全く異なる」「あすのばが若い当事者たちを前面に出して、語ってもらうのであれば、彼たち彼女たちをバッシングなどから全力で守る必要があるのではないか」など、印象に残るお話をしていただきました。今回も「不登校100万人計画」など、そこだけを切り取ると、反発する方もいらっしゃるかもしれませんが、学校に行かないもしくは行けない子どもたちに対して、子どもたちの意向も確認せず、「学校に戻すにはどうしたらよいか」ということだけではいけないであろうことをおっしゃってくださっていたと思います。

 お三方とも、素晴らしいお話に裏付けされているのは、それぞれどう生きてきたのかということであり、生き様がお話に表れていたと思います。

 後半のシンポジウムの始まる前には、ねっこぼっこの家に小林真弓さんに、3人の先生のお話の感想と、ねっこぼっこの家についてご紹介していただきました。こんな素敵な「居場所」が月寒にあることを参加者の皆さまに知っていただきました。

 シンポジウムは、参加者の質問に答える形で行いました。もう、直接、質問カードを3人の先生にお渡しし、お答えいただきました。参加者の方も本当にいろいろなお立場の方がいらしゃり、切実な想いがあることをその文面から垣間見ることができました。

 講座が終了した後も、多くの方が講師の先生方にいろいろお話を聞かれているのが印象的でした。田中先生は、約1時間ほど参加者の皆様のお話を聞いてくださっていました。

 最後に3人の先生方を中心に、小児科医の藤根先生、ねっこぼっこの家の小林さん、貧困問題に精力的に取り組んでいらっしゃる増田さん、本学の澤准教授と院生・学部生との記念撮影でした。

 人と人とのつながりを感じ取ることのできた、貴重な時間でした。

 お越しくださった皆様、また応援して下った皆様に感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

 





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