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2000度を超える炎の中で、透明な世界を閉じ込める。ガラスで光を紡ぐ、kuumaのモードなジュエリーたち


ー作り手

今回ご紹介するのは、ガラスアクセサリーを制作するkuuma(クーマ)さん。「kuuma」とはフィンランド語で『暑い』という意味だそうです。2000度を超える炎の中でガラスを加工し、作品が生まれる状況の熱を表す言葉がそのままブランド名となりました。

素材にはボロシリケイトガラスと言う耐熱強化ガラスを使用。このガラスは調理用の耐熱ボウルや理科の実験で使うビーカーやフラスコなどと同じ素材で、通常のガラスよりも透明度が高く、さらに軽いそうです。

金や銀に輝く部分は、ガラスの上から金またはプラチナの有機化合物である液体を一つ一つ手作業で塗ったものです。高温で焼成させることで、美しい輝きを放つ皮膜をガラスの表面に定着させます。ガラスと金銀のコントラストは、身につけた時にお顔周りを明るく華やかに見せてくれます。

ミニマルな形の中に透明な光が揺れるガラスならではの澄んだ美しさと、堂々とした存在感はkuumaさんのジュエリーならではの魅力です。丁寧な手仕事の中に潔いデザインが光る作品たち。その原点について詳しく伺いました。


ーものがたり

古い家屋の窓ガラスや、外国のお酒のガラス瓶、理科の実験のガラスビーカー、光を内包するし、屈折した影を纏うガラスという素材に興味を持ちました。

古いガラスは現在よりも不純物を多く含むため、透明な中に光の揺らぎが生まれます。また手作りであったことから独特の風合いを持っています。その光と屈折した影の共存した美しさに惹きつけられたことが、制作のきっかけとなったそうです。

その中でも、目の前の炎の中でカタチを変えていくバーナーワークが自分にしっくり来たため、続けています。

バーナーワークとは、ガラスの棒や管をバーナーの炎を使って手元で加工していく技法の一つです。バーナーワークは1900年頃に日本に伝わったと言われ、棒状のガラスを2000度の炎に回しながらあてて溶かし理想の形や柄を作ります。手元で細かな形成ができることから、アクセサリーや蜻蛉玉で知られています。

2000度を超える炎の中でさまざまなカタチに変わっていくガラス。そのガラスの点と線をつなぎ合わせて、どこにもないたった一つのカタチを作り出します。

その瞬間瞬間に自らの手で自在に形を変えられるバーナーワークだからこそ、ご自身の感性が実直に反映されていきます。熱い炎の中、手のひらの中で形を描き、光を集めながらkuumaのジュエリーは作られています。


ー想い

極力シンプルな線や点などをモチーフとしたカタチで、ガラスの透明感が最大限に生かせるデザインを心がけています。筆で描く金彩やプラチナ彩は経年変化も楽しんでもらいたいです。

光と影に魅せられたからこそ、形は至ってシンプルです。ガラスそのものがもつ、揺るがない美しさを伝えてくれるジュエリーたちははきっと長く愛することのできる大切な存在になるでしょう。

光を集め、光を放つ。冷たさの中にも奥行きがある透明な世界をジュエリーに閉じ込めました。

光を集め放つガラスは、天気や季節ごとに違った表情を見せてくれます。炎から生まれ、光の変化を身に纏う、そんな特別なジュエリーをぜひ手にしてみて下さい。


ー作り手情報


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