型染友禅の技法を木に施す、大胆な転換。伝統に新たな1ページを加える、sansai の木彫刻の世界
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型染友禅の技法を木に施す、大胆な転換。伝統に新たな1ページを加える、sansai の木彫刻の世界

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—作り手

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木製の食器といえば、自然な木目柄が印象的。しかしこちらの木製食器には、美しい柄と繊細な色が施されています。このような食器を、初めて見る方も多いのではないでしょうか。全く新しいはずなのに、その柄には懐かしさを感じる不思議な感覚。実はこちら、着物で有名な友禅模様を木製品に彫刻しているのです。

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この作品を制作しているのは、三彩工房株式会社さんが運営するブランド、sansai(サンサイ)。日本産木を使用した、京友禅柄の食器インテリア小物のブランドです。デザイン・製作を行う三彩工房株式会社では、長年京都で京友禅型制作を行なってきました。

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友禅染とは、日本独自の染色技法で、生地の上に糊を置いて染色の際に色が混ざり合うのを防ぐ方法です。特に京友禅とは、京都で染められた友禅のこと。その技法を用いることで、多彩な色彩と、曲線的で簡略化された動植物・器物・風景などの模様の表現が可能になりました。それらを友禅模様と呼びます。

長年、京友禅の型の制作に取り組む中で、その技術を後世に伝えるべく、新たな取り組みを模索していたそう。「この技術を着物だけでなく、他の素材に彫刻出来たら」という思いから、美しい友禅模様を木製品に彫刻することを思いついたのだそうです。

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では、実際にどのように、木製品に友禅模様を描いているのでしょう。まずはデザインの作成から始まります。PCに保存している図柄のうち、商品に合う柄を選び、大きさを調整したり組み合わせたりしながら、デザインを考えていきます。

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次に、彫刻です。テストを繰り返し、一番良い状態になったところで、レーザー彫刻機で彫刻します。

最後は塗装。高価格帯の商品には漆塗りを、お買い求めやすい価格帯の商品にはウレタン塗装を施し、商品の住み分けをしながら販売しているそうです。

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—ものがたり

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京友禅という模様染めが生まれたのは、元禄時代。染め手法の一つである型染友禅の歴史も、明治時代から始まりました。それらの手法は、これまで多くの着物に用いられてきています。三彩工房株式会社さんは、その長い伝統を受け継ぎ、現在も京都で染型製作を行っています。

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ところが近年、友禅業界は縮少傾向が続いていました。そこへ、2020年コロナウイルスの流行。展示会、販売会の中止や延期が相次ぎ、着物販売に大きなダメージを受けました。型制作は着物作りの最上流工程にあり、流通の中で最初に影響を受ける立場。打撃は相当なものでした。

しかし、数年前から計画していた”下請けからの脱却と自社製品作りを本格的にスタートさせる時期が到来した”と考え、2020年度よりブランドを立ち上げる決心をしました。

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レーザー彫刻機との出会いにをきっかけに、以前から抱いていた“友禅模様の木製品への彫刻”という新たな発想を実現することができました。今では、自分の持つ技術と感性を、思う存分木製品に彫刻しているそうです。

—想い

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sansai の商品には、型染友禅の真髄が込められています。私たちは 型屋 としての技術や経験を活かしつつ、現代の生活様式に馴染み、多くの方に親しまれるものづくりを行ってまいります。

ブランドのコンセプトは“友禅の世界を木製品に”。京友禅の華やかな柄を日用品に描き出す事をコンセプトにしています。

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取扱商品は檜、杉、栃、栓など日本産の木にこだわっています。普段使うお皿やカップに、友禅模様を観賞用として額絵彫刻なども作っています。カップや木グラスは全周に彫刻するのが特徴で、他社では真似出来ない技術であろうと思います。

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彫刻する題材は、江戸時代からある“疋田鹿の子絞り”。模様が子鹿の斑点に似ていることからその名がつき、1976年には京鹿の子絞りが伝統工芸品にも指定されています。また、京都市故郷納税返礼品に選ばれた商品もあります。

現代生活においても全く古さを感じさせず、むしろ新しい感覚の商品になったと思います。

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着物柄は、着物に染め上げることを目的とした平面芸術でありますが、彫るという行為により、立体的な趣を得られるということを証明したいです。
また、染型作りは、明治時代に始まった伊勢型紙への彫刻が元祖であり、素材を変えて彫るという歴史を受け継ぐ行為でもあります。

伊勢型紙とは、数枚重ねて強度を上げた美濃和紙の型紙のことで、彫刻刀で着物の図柄を彫り抜いたもの。1983年には、国の伝統的工芸品にも指定されています。

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紙から木へと素材を変えながらも、“彫る”という伝統技法はそのままに。京友禅への敬意を感じますね。

まだ始めて1年ですので、これから誰も出来ない彫刻をして行こうと思っています。

これまで、着物でしか楽しめなかった友禅模様。
それらが、日常の食器として楽しめるとは、嬉しい驚きです。京都で、長い歴史を受け継いだ職人が作り上げたsansaiさんの食器。手にとれば、木の温もりとともに、友禅の歴史が動く瞬間を感じられるのではないでしょうか。

—作り手情報


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