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好きな音楽「TM NETWORK」について語ってみる

普段あまり言わないのですが、TM NETWORKが好きです。

TM NETWORKは小室哲哉、宇都宮隆、木根尚登(敬略)の3名からなる音楽ユニットで、83年の結成から現在にかけて活動している歴の長い3人組。
何故あまり「好き」と言わないのかと言うと、
TMは音楽を聴いただけでは良さが簡単には伝わらないと思っているからです。
 というのも、TMが最も世間的に注目を浴びた時代を生きた人は違うかもしれませんが、自分自身はその世代ではないし、タイアップされたアニメ等も見ていなかったので最初に聴いた時は正直ほとんどの曲がピンときませんでした。
だけどもノリや雰囲気に何かしら引っかかる部分を感じて、
「良い部分はあるのになー」と思いながら無限に聴いたことで
段々と良さを感じ取ることが出来るようになり、いつのまにか夢中でしたので、
その経験を踏まえて良さを簡単に解説してみます。

良さを伝えるために、まず伝わらないと思っている理由を書こうと思うのですが、
経験上それは3つあります。(裏返すと良いポイントでもある)
熱狂的なファンの人からもしかしたらお叱りを受けるかもしれませんが、個人の主観なので悪しからず。

1 歌や音に世間の定番の歌にあるようなメリハリが少ない
2 ボーカルが感情をあまり表に出さない
3 ハードで感情を表に出すような演奏がほとんど無い

この3つで、要はすごく音楽自体が淡々としている曲がとても多く、
世のヒット曲にあるような、多くの人が歌いたくなるようなサビもほとんどなく、
メリハリで感情に強く訴えかけてくるような感傷的な曲もほぼ無い。
そのため、街中やヒット曲で流れている曲に慣れていると、あまりピンと来ないかと思う。

例えばこれとか特にそうだと思ってます。

では何が良いのか

TMの良さを伝えるポイントを3つ挙げてみます。

1 サントラのような作品作り

サントラとはサウンドトラックの略称で、映画やゲームやアニメで、
本編の後ろ側でひっそりと鳴っている劇の引き立て役の音楽。
TMの音楽はそのような音楽が中心になっていて、
いかに世界観やその時々の方向性を伝えるかという音楽が多く、
それを前述した通り淡々とした感じの歌に仕上げる曲がほとんどなので、
TMは歌を歌って想いや音を届ける数多の音楽アーティストたちと違って、
歌ではあるのですがまるで何かのサントラのようになっている。
なのでその曲はどういったテーマか、どういった方向性であるか等を、
ある程度把握していないと、よく分からない曲があったりするし、
そういった情報がない場合は、勝手に妄想してイメージを膨らます妄想力が必要。
 例えば代表曲の中に「GET WILD」「BEYOND THE TIME」という曲がありますが、それらが世間的に支持されているのは、
前者がシティーハンターというアニメで、後者がガンダムのエンディングテーマということで、
アニメの力を借りてイメージを膨らますための情報が付与されているから、
魅力や良さが伝わりやすい状態になっていると言えると思います。
TMはサントラのような音楽なのでこういったタイアップと相性が良く、
元の作品の力によって、TMの情報を知らずとも、勝手に何かを妄想せずとも、
作品がイメージを提示してくれているからTMのサントラ音楽に劇がつく。

※有志が作成した、ガンダムの映像と共に流れる「BEYOND THE TIME」の動画。
こういう"情報"がTMにとって重要。

もちろんアニメ発だけではなくて、TMから発せられている情報もとても多く、
例えば代表的なところだと「宇宙人が地球に潜伏して文化を調査している」という設定など。そういった設定やテーマがアルバムや期間ごとに散りばめられ、その時々でテーマに合わせて既存の曲もアレンジされ、曲が選出され、
その世界観に合わせた演出のライブを行う。
いわば作品にサントラをつけているような活動をされているので、
そういったところがTMの良さであり、取っ付きづらさでもあるかと思います。
 こういう基礎的なことが分かってくると、前述したボーカルが感情を表に出さないというのも、サントラの一部として世界観の邪魔をしないようにしているということも分かってくるし、それが決してブレないので、ボーカルの凄さも感じられるようになると思っています。
 なお楽曲提供などでの小室哲哉の音楽を知っている人もいると思うのですが、
個人の主観だと、歌を作っているのが楽曲提供やglobeの小室哲哉で、
サントラを作っているのがTM NETWORK。
同じようなメロディやコードはあっても、考え方がだいぶ違うので、
「TMは好きだけど小室さんの提供曲は聴かない」という層もいたりする。

2 音が中心

2つ目は、作られた曲やその時代にもよるのですが、
歌の中でシンセやコーラスや音がすごく主張していて、
場合によってはそういった音の方がボーカルより主張していることが多いです。
作曲と編曲をしている小室哲哉という人が自己顕示欲の塊のような人なので、
サントラみたいに作っているにせよ、自分の音をどんどん聴かせたくなるというのが、ひしひしと色んなところに滲み出ていることがとっても多い。

そのため結果的に歌のメロディよりもパワーのあるメロディが、
アレンジの音で使われていたりするし、彼がミックスも手がけている曲だと、
音がほぼ主役のような曲になっていたりすることもある。

ミックスの例だとこれとか。

なのでそこを楽しめたり、脳内でボーカルをバックトラックのようにして、
アレンジを聴くように楽しめたりすると、急に良くなったりもする。
ボーカルが良くも悪くも主張していない歌なので、そういう聴き方もしやすい。
例えばこの曲だと、僕は歌が入るパートでも大体ストリングスやパッドみたいな音を聴いてます。
 全体的に、良い意味で単調なリズムやリフの曲も多く、転調で構成しているような曲が多いので、個人的にヒップホップを聴くのがけっこう好きなのですが、それの楽しみ方にも近い印象。
(他のヒップホップ好きがヒップホップをどう楽しんでるのかは知らないですが)

3 滲み出るロック

3つ目は、これが一番大きいところかもしれませんが、
1つ目で書かせてもらった「サントラ」があまり徹底されすぎていないところで、徹底されていない隙間から人間味が出てきます。
例えば2つ目の「自己顕示欲」がテーマを飛び越えてしまっているところや、
宇都宮さんの声やパフォーマンス、頻繁に聴こえてくるコーラス、
ライブでの小室さんの即興演奏や鍵盤のミスタッチ等から来る部分もあると思う。
要はデジタルな音を多用した音で、サントラのようでありつつも、
アナログならではのノリも忘れていないので、隙間から本人たちのロック的な素養であったり、人間性であったりなどが滲み出てくる。
 テーマや物語で完全に徹底されていると、何かの映画の上質なサントラとか、
徹底したデジタルな音楽とか、物語を描いたプログレなど、
他に代替えがありそうなものなのですが、人間的な部分が滲み出ているので、
それらが交わって唯一無二の仕上がりになっているなと感じます。
逆説的に言うと、元々はロックの人たちが、前述した
1 歌や音に世間の定番の歌にあるようなメリハリが少ない
2 ボーカルが感情をあまり表に出さない
3 ハードで感情を表に出すような演奏がほとんど無い
を意図して作品を作り上げる上でしているように感じられるのがTM NETWORKで、それがTM NETWORKの個性だと思います。
そこを初めから感じ取れる人も世の中にはいると思うのですが、
個人的には難しいと思っているので、普段は簡単に人におすすめし辛い。

終わりに

というわけで、大半の曲がじっくり聴くということが前提となるのですが、
TM NETWORKは好きですし、じっくり聴けそうな方にはおすすめしたいです。
とりわけSFの世界観が多いので、そういうのが好きであればイメージしやすいかもと。
説明のために割愛しましたが、フォークソングがルーツのメンバーもいて、
そのメンバーも作曲をしているので、バラードっぽい曲などもたくさんある。

あと、とっかかりもある方が良いと思うので、
一応個人的なおすすめの曲も1つ紹介しておきます。

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