妻は財布を盗まれた。
法務局に行ってきたのですが、なんと、妻が財布をコンビニのトイレに放置し、そのまま盗まれてしまったようです……。傷心の妻に話を伺いました。
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イケダ:お疲れ様です。無事に法人登記はできそうですね。
ミキ:うん。
イケダ:よかったよかった。心は穏やかになったかい。
ミキ:うん……。穏やか……。
イケダ:心中穏やかではない。
ミキ:いや、別にそんなことはないけど「戻ってくればいいな」と思っちゃって。それが心に残っているから気持ち悪いね。
イケダ:残心。
ミキ:お金は別にいいんだけど、その他いろいろなものが戻ってきたらいいのになぁ……と。
イケダ:そりゃそうだね。免許証とか再発行面倒だしねぇ……。この願望を振り払うのは難しい気がするね。実際、見つかる可能性はあるからね。
ミキ:「どこかにぽいっと捨てられて、明日あたり連絡がくるかもしれない」と思って、さっきから携帯が気になっちゃってる。
財布を持たない。
ミキ:でもまぁ、そんくらいだね。
イケダ:立ち直りが早いね。
ミキ:はっくんだったら、しつこいだろうね。
イケダ:うん。しつこいよ、俺は。ぐちぐちとダメージを引きずるよ。
ミキ:負の感情を撒き散らし続けるよね。そして社会に対して文句を言い続けるよね。その結果、財布を持たない男になったのか。
イケダ:そうです。いいことでしょう。財布を持たなければ、盗まれることも、なくなることもないのだ。
ミキ:カバンからお札が落ちて、5,000円札をカフェに置いてきたこともあるよね。
イケダ:2回くらいね。返ってきたしいいんじゃない?
ミキ:うーん、財布を持たない生活かぁ。
イケダ:合理的じゃない?
ミキ:汚いな。汚いよ。汚すぎるよ。カバンとかあらゆるところにジャラジャラ落ちてて……。クルマのなかも小銭がすべてのポケットに入ってるし、家の中にも小銭が落ちてて不快。
イケダ:宝探しみたいでいいじゃん。散らばってるのが「鳥のフン」とかだったら嫌だけど、お金じゃん。
ミキ:嫌だよ。
イケダ:すみません。
盗まれない財布について考える。
ミキ:財布はほしいよ。
イケダ:またなくすかもよ。
ミキ:そうだねぇ……。もっと派手な財布がいいのかも。
イケダ:派手?
ミキ:いや、ド派手な財布ならトイレを出るときに目に入ってただろうなって。忘れることが減りそうじゃん。
イケダ:それよりも、「盗んだらやばい」と思わせる財布にするといいんじゃない?
ミキ:「毒」とか書いておくとか?
イケダ:そうそう。何がいいかなぁ。
ミキ:やっぱり「菌」がいいんじゃない。「サルモネラ菌まみれ」とか……絶対違うなと思っても触りたくないよね。
イケダ:それはたしかに。触りたくないw
ミキ:実験してみたいね。なんだろう、もっとやばそうなもの……炭疽菌?
イケダ:「炭疽菌」はわからない人もいるんじゃない?また違う方向で、「持ち主がやばそう」な財布とか。ヤクザの名刺を入れておくとか……?
ミキ:名刺じゃ、財布を開けるまでわからないじゃん。
イケダ:急いで返しにくるんじゃない?
ミキ:逆に怖くて返せないでしょう。ヤクザがいるかもしれないじゃん。
イケダ:そうか。そうだね。難しいな。
想像する妻。
ミキ:今回のは、「なるべくしてなった」ような気もするんだよね。
イケダ:ほう。
ミキ:チホが「おしっこ漏れる」と騒ぎ出して、たまたま男子トイレしか空いてなくて、あと少しで女子トイレが空くけど、仕方なく入ったんだよ。で、そのまま忘れてしまって、盗まれたみたい。
イケダ:そういう運命だったのかもね。
ミキ:トイレで「財布でよかった。こどもが誘拐されたんじゃなくてよかった」と想像してゾッとしたんだよね。
イケダ:すごいね、その一瞬の想像力。
ミキ:普段しない行動が何重にも重なって、盗まれてしまったという。男子トイレなんて入ったの、人生で初めてなのに……。でも、なんで財布盗んじゃったんだろうね。
イケダ:お金がなかったんだよ。
ミキ:そうかぁ。十分にあったらそんなことしないよね。
イケダ:困ってたんだよ、きっと。
ミキ:お金だけ取ってくれればよかったのに……。
イケダ:そりゃそうだね。
ミキ:「財布を取られた!」と思った瞬間に悪人のイメージを作ってしまったけど、そうやってお金がない人の姿をリアルに想像してみると、ちょっとマシになるね。
イケダ:まぁね。それが真実だよ。中学生とかじゃない?
ミキ:そうかぁ。
イケダ:プロファイリングすると面白いね。プロの犯行ではないよね。丸ごと持っていくのは。足が付きやすくなるし、財布捨てるの困るし。
ミキ:そうだね。
イケダ:ってことは素人の仕事だよ。なんか財布を見つけて、気が動転してしまったんだよね、多分。
びっくりさせたかった妻。
ミキ:うん。なんかドキドキしてきちゃった。「もうちょっと早く戻って、トイレから出てきた挙動不審な人に声をかけていたら、どうなっていたかなぁ」と想像したらドキドキしてきたよ。
イケダ:いちいち想像力がすごいね。でもまぁ、盗んだ人と接触することは増えそうだね。今は「財布にチップを入れておくと、財布の場所がわかるデバイス」とかあるからね。
ミキ:それが付いてたら、盗んだ人はびっくりしてただろうなぁ。びっくりさせたかったなぁ。大きい音がなるんだっけ?
イケダ:ピンピンピン!!! みたいな。
ミキ:そしたらどうなるかなぁ、「うわぁぁぁぁ!!」みたいになるかな。ただの財布なのに爆発するんじゃないかと思ったり……?
イケダ:爆発するとは思わないだろ(笑)でもまぁ、びっくりしてすぐに捨てるだろうね。
ミキ:えー。
イケダ:いやこれ、すごいんだって。財布に入れておくと、置き忘れたときにスマホに通知が来るんだよ。
ミキ:へー。いいね。
イケダ:そもそもモノはなくすからねぇ。それが盗まれることもあるし、仕方ないさ。
ミキ:クルマに戻って、うんちをもらした下の娘が、にこーって笑ったんだよね。そんで生きていればいいや、と思ったよ。
イケダ:そうだね。
ミキ:瑣末なことだよね。
イケダ:こうしてネタにできたしね。あ、noteのサポートで慰労金でも集める?
ミキ:いいよそんなの。それだったら地震とかで困ってる人にあげてほしいよ。
イケダ:そうだね。
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