地殻変動がテレビ業界で起こる?

広告費自体は変わらず5兆円産業のままですがリーマンショックをピークに、ほぼ横ばい状態になったテレビ広告費です。残念ながらじわじわとジリ貧状態が続いていましたが、新型コロナウィルスを契機に急激なビジネスモデルの変革を放送局は迫られるようになるかと思います。さて、今日はこの記事をベースに議論をしたいなと思います。

民放、衝撃のCM収入減 「ステイホーム」期間中、「スポット」不振 3〜4割下落

前回、放送局におけるスポット広告とタイム広告があるとご説明しましたがでした。それぞれの視点から述べたいなと思っております。個人的に東〇新聞さんもよくこういう煽り見出しでよく書けるなと思います。というのも、博報堂DYMPさんの月次売上報告を見ているとテレビよりも新聞の方が酷いからです。

新型コロナ以前の市況

実はテレビ業界も消費税増税の影響がテレビ広告市場にも受けておりました。また某局のスポット広告が市場価格を破壊したせいで市況は着実に酷い状況になっていました。キー局5社の新年社長挨拶の中で4社は、「リーマンショックを超える状況」だと発言しておりました。そんな中、新型コロナウィルスはテレビ業界を直撃し、壊滅的被害を受けている訳です。

スポット広告の不振は本当?

記事中にある佐々木社長のご発言がすべてを物語っているかと思います。

「精査はしていないが、過去最大クラスだろう。われわれは普通、2%や3%下がったら『大変だ!』と言っているのに、それが30%や40%も落ちているわけですから」。八日のTBSの定例会見で、佐々木卓(たかし)社長はCM収入についてこう言及した。

TBSさんの場合だと、2020年3月期で約800億のスポット広告の売上となるので、この数字を使うと月平均66.6億の売上となります。ここから40%縮小となると、約26億の売上が無くなり、月40億にまで落ち込んでいるという感じでしょうか。流石に通期で40%減というのはどの社も想定はしていないと思いますが、通期で見た場合大体15~25%ぐらいの売上減で構えるのかなと思っております。

なお、「連日連夜新型コロナバッカリ報道しているから、クライアントが愛想尽かしたんだ!」という方がSNSではいらっしゃいますが、これは広告出稿には関係ありません。日本中の購買行動が自粛していた訳ですし、一歩間違えると時勢に沿わないCM出稿をして大炎上すらある可能性を考慮した広告主が多く存在して、広告出稿を控えていたためです。

タイム広告の構造的限界

新型コロナウィルスが猛威を振るったのは3~5月頃となります。不幸中の幸いにも、この時期は4月期の改編セールスが終わっていたのでスポット広告のみ影響を受けました。しかし、次の改編セールス、すなわち10月期のセールス時期は今まさに行われております。恐らく放送局のビジネスモデルが確立した以降、最悪の状況になるのではないかと予想されます。

当然と言えば当然ですが、広告主からすれば、冬を跨ぐ時期にいつまた大流行するか分からない中買おうとする広告主などいないと思います。またそうなった場合、何しろ広告費を捻出するのが困難な状況になるのではないかなと思います。

今までテレビ局の安定収益源とされていたタイム広告は壊滅的被害を受ける可能性が非常に高いと思います。これから様々な数字が上がってくることになりますが、恐らく散々たる結果になるのではないでしょうか。

なぜテレビは遅れて影響を受けるのか?

これは諸説あります。
従来より広告主からインターネット広告の「出稿スピード」と比べ、テレビの「出稿スピード」としての遅さがと指摘されてきましたが、これが理由ではないでしょうか。例えば、テレビ出稿へのリードタイムが2~3か月掛かるため景気が回復基調になったとしても、最後に乗り遅れてくるメディアになってきたからだと思います。

こういう指摘は他にもありますが、常日頃からの問題であり、ある種のオペレーションの問題でもある訳ですからこういうのをサボってきたテレビ業界のツケは大いにあるのではないでしょうか。

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