支える力をつける(8)その資質

No2の資質というよりリーダーあるいはすべての人に求められる資質ではありますが次の①から⑪まで身に付けたら誰でもどこででも成功できるのではないかと思います。

① 多面的なものの見方
いくつかのケースを冷静に見る目を養うことはNo2にとってもっとも重要な資質だと思います。十人十色、百人百様とはよく言ったものである事に直面した時、各人がそれぞれ違った思いを持ったり、意見が異なったりするのは当然です。特に意思決定の段階でNo1に有益な意見を述べるためには多面的なモノの見方をした上でする事がNo1の心を落ち着かせ的確な判断が出来るようになるわけです。No1の人にありがちなのが前に進むことに集中するがために振り向いて自分のしてきた事を見直すことをしない事です。今の船はレーダーもついているので前だけを見ていれば足りるのでしょうが、昔は航跡を確認することで自分たちがどちらに進んでいるのか知ることが出来たわけです。No2は上手くいっている時ほど、時には後ろを振り返ってNo1に忠告をしていくことも大切です。
皆さん日本人は優秀な民族だと自負していると思います。単一民族(正しくないかもしれませんが)、江戸時代の鎖国、島国という現実と歴史的経緯を見た時、欠点になってしまうのが多面的なモノの見方の欠如です。モノの見方で長期的観点、短期的観点と全体的、部分的そして多面的、一面的がありますが前2者は多くの日本人が身に付けている能力ですが多面性は欠如しがちなので是非No2には持ってもらいたい資質です。多面性は一朝一夕では出来ません。多くの時間、人との付き合い、旅に出るなどしての経験・体験(昔では武者修行などもあったでしょうし、今ならバックパックで国内外への旅行)をして多面性を持って多面的な意見を出せるようにしたらいいでしょう。多面性があるという事はその時の状況に応じた対応が出来る、選択肢を増やすことが出来るようになります。
数年前に家内と二人でアメリカ大陸横断ドライブをしたことがあります。そこで一番学んだことは多面性です。アメリカという多民族国家ですから地域により自然環境は大きく異なります。旅したのは8月でしたがある場所ではTシャツ一枚の半ズボン、次の訪問先では昼は熱波だったのが夜はダウンのジャケットが必要になったりしました。気候が違えば生き方も考え方も変わるのは当然です。
その当然を実体験たことで多面的に物事を判断する必要性を感じました。
あるいは民族により多種多様な習慣や慣習があることにも気づかされやはり多面性を持って行くことの重要性を学んだ次第です。特に価値観は人によって違うわけですからNo2がNo1を支える中で多面性を身に付けることが不可欠だと確信しました。旅をすること歴史を学ぶことが多面性を身に付けるには一番です。日本の官僚への提案ですが入省して2,3年目に引かれた路線でなく自分で計画し実行する一人旅を1,2年したらと思います。これからの日本をリードしていく人に多面的な見方が出来る人が不可欠です。

② 洞察力
洞察力とは外面を見る観察力とは違い内面的なモノを見る力です。その人の心理状態がどうなのかを見抜く力です。今ある局面を見抜く力、見通す力でありただ漫然と見ているだけでは見えないものを直感的に見抜き判断する力が求められるわけです。多くのNo1はこの洞察力に優れています。洞察力の人の特性として客観的かつ冷静に物事を見る、豊富な経験を持ち失敗を生かしていく発想の天かが出来る、又判断に先入観や偏見を持ち込まないがあります。No2にはNo1と違った観点・方向からの洞察力が備わっているとNo1の判断に大きく寄与できることは間違いありません。人は誰でも生理的に好き嫌いがあることは否めません。ただそれが強くなっては人を支えることもNo1に仕えることも出来ません。人を評価するのにNo1一人でなくNo2と一緒に考えることで判断に誤りが少なくなるでしょう。事象に対する洞察も信頼関係を持った二人がすることで組織をさらに強くすることが出来るでしょう。

③ 先見性
  読んで字の如しで先を見る力です。No1にありがちなのが現在の事象に囚われて先を見誤る危険性があるのでNo2はこの先見性の能力を高めていくことです。大事なことは過去の情報であっても先見力を高めるためにしっかりと分析をしておくことです。
  封建時代から近代国家へと舵を切った歴史に名を残している政治家の多くは先見性が豊かだった人だと言えます。明治維新前後の人物で直ぐに浮かぶ名前が沢山います。革命家、政治家では坂本龍馬、西郷隆盛、伊藤博文、大熊重信、板垣退助、山縣有朋、大久保利通、木戸孝允、陸奥宗光、実業家、教育家では日本の資本主義の父渋沢栄一、慶応義塾創設の福沢諭吉、三菱の創始者岩崎弥太郎など明治時代には日本にも多くの先見の明がある人がいたんですね。明治時代は時代が先見性のある人間を求めていた証として挙げられるのは津田塾を作った津田梅子、東京女子医学専門学校を創設した吉岡彌生でしょう。あの時代に女性の地位向上のために教育を考えたことは凄いことだったと思います。令和時代にもこういう女性をもっともっと多く輩出してもらいたいです。
昭和では戦後の吉田茂、池田勇人、田中角栄も先見性があった政治家だったのではないでしょうか。平成、令和に見当たりませんね。
  


④ 柔軟性
性格にもよるでしょうがNo2に柔軟性がないとNo1の信頼度は大きく下がってくるでしょう。八方美人とか風見鶏では困りますが柔軟な判断、対応は
No1を補佐するのに沢山のカードを持てることになるでしょう。又No1に対してでなく交渉相手に対しても、いい印象を与えることが出来てスムーズに事が運べるようになるはずです。緊急時ほど柔軟性が必要とされることはありません。①の多面性を鍛えるにも柔軟性は不可欠です。

⑤ 情報収集力
No1にいつでも情報を提供することができなければNo1は意思決定をすることが出来ません。当然正しい情報が前提ですがある時は噂の類のものであっても有益な情報になる時もあるでしょう。常日頃から人との付き合いを大切にして直接に関係のある情報だけでなく間接的にかかわりのあることでも情報を蓄積していくと思わぬ時にそれが役立ってくることは皆さんの過去からも同意できるのではないでしょうか。最近の多くの人が新聞離れしていますし特に若い世代では全く新聞を読まない人もかなりいるでしょう。自分が求めているあるいは関心のある事象にはネットで直ぐに情報は得られますが新聞やテレビのニュースは世の中に知ってもらいたい情報を発信しています。そんな時代だからこそNo2としては幅広い範囲で情報収集をすればNo1から重用されるようになります。災害や危機の時ほど情報が重要になるわけで情報収集力を身に付けることは現代では不可欠です。

⑥ 聞(聴)く力
No2に求められる資質を持ち続けるには聞く力は重要です。聞く力がなければ状況の把握だけでなく、No1とのコミュニケーションだけでなく部下からの情報も適切に入ってこないでしょう。相手が話易い雰囲気を作ることも大事ですし、モチベーションを高めるのも聞いてもらえることから始まるのではないでしょうか。聞き上手は話し上手というのはよく言われることです。話を聞いてあげると相手はあの人は話すのが上手いですよねという印象を持つものです。ゆっくりと話を聞いてあげると相手は安心感を持ち更に上質の情報をくれるものです。

⑦ 調整力
No1にとって調整力に優れたNo2を持つことは自分の夢やゴールを実現させていく過程でどうしても欲しい人材だと思います。まず組織内部でもいろいろな人間がいるわけです。No1に対してはそれなりの従順な態度は皆さん持っているでしょうが横の関係になると多くの絡みが出てそれを調整が必要になります。No1がいちいちその人間関係を調整し物事を進めていくのに対しNo2がNo1の意向を上手く部下たちに伝えることで調整が出来ればどんなに楽になるでしょうか。

⑧ 分析力
現代は情報の時代と言われているわけですがそれは今に始まったことではありません。文明ができた古代であっても情報が大切であったことは疑いの余地はありません。戦争を行い自分の土地を広げていく時も、ビジネスでどこが何を求めている、必要としているといった単純な情報も早くに入手した方が勝つわけです。現在の様に情報が洪水の様に溢れかえっている時代にその情報を分析する力を持っていることは欠かせないことです。最近のスポーツの世界を見ているとアナリストと呼ばれる人が試合中に情報を収集しそれを迅速に分析して監督や担当コーチに伝達していることは目にしていると思います。アメリカンフットボールのプロの試合だとかなりの角度から戦況を観察し分析をしています。それだけ分析力は過去に比べて重要視されているわけでNo2にその分析力を期待するのはすべてのNo1がそうでしょう。ビジネスの世界でもコンビニなどPOSを使って商品の売れ行きを即座に分析して商品陳列に生かしていることからも分析能力に優れたNo2の存在は情報を求めるNo1を支える大きな力になるでしょう。この分析力はAI の発達で人間にとって代わるようになるでしょうがそれでも人間の空気を感じ取っての分析はそれなりに価値があると言えます。

⑨ 企画力
会社には総合企画部を初めとし人事企画、営業企画などがりますがどこにしても会社の中枢を担っていることは間違いありません。経営コンサルタントを採用して新しい目で企画を立てることも大切ですが社内で経験を積み会社の現状を知っているとか、歴史を知っているとか、人間関係がどうなっているとか企画を立てるには相当の能力が求められます。トップにとって自分なりの目標を待っているわけですがそれを実現させるための企画は不可欠です。そこに支える人の企画力が大きな意味を持ってきます。企画力を付けるには勉強も大切です。本をたくさん読む、セミナーなどに参加する、知人から学ぶ、時には若い人や後輩からもその世代に知識を貰う姿勢をもてば幅広い企画が創造出来るでしょう。
 
⑩ 説明力
コミュニケーション能力とも言えるでしょう。説明力を付けるには人の話をしっかり聞きそれを理解する能力を身につけなければいけません。いくら貴重な情報を持っているにしてもそれを使わなければ何の役にも立たない事は言うまでもありません。使えるようにする為にはトップへの説明、部下への指示がされるわけです。要領を得ずに漫然とだらだら話したりすれば聞く方は嫌になってしまいます。起承転結にするとトップも判断・決断を即座に出来るでしょうし部下であれば間違いを起こすことが少なくなるでしょう。しゃべり方や言葉遣いも大切です。何かのプロジェクトのスタートやスポーツで試合前などはペップトークでそれで意気の高揚も図れるのですから大きな効果的な支えが出来ることになります。
 
⑪ 交渉力
どんなときにも結果を出すために相手との交渉が必要になります。最後はトップが出て決めるわけですが当然その前に交渉が行われるのが普通です。例えば外交でも言えば外務省の高官が相手国の同じレベルの担当者と打ち合わせをし、次に外務大臣が調印するか、あるいは首相なり大統領が調印するわけです。この交渉力は支える人にとって腕の見せどころになります。①~⑩までもちろんすべて重要ですがすべて結果を出すのは交渉で決まるわけですから相手をいかに納得させるかは交渉次第という事は皆さん経験済みでしょう。前に述べた秀吉は信長に仕えていた時代に認められた大きな要素が信長の意を酌んだ交渉でした。ここで注意しておきたいのは支える人はあくまでも支えるのが第一の使命ですから自分がやった、まとめたなどとくれぐれも言わない事です。よく聞きますが実はあれは俺がまとめた話なんだなどと自慢する人を見かけますが能ある鷹は爪を隠すが肝要です。。No1に認められればいいのです。 


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