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ガーデンズ文学カフェ

鹿児島市の商業施設マルヤガーデンズにはガーデンと呼ばれるコミュニティスペースがある。ガーデンズ文学カフェはこのガーデンを舞台にした読書イベントである。企画・運営に携わるのは鹿児島国際大学の小林潤司研究室と鹿児島大学の井原研究室の学生たち。定員は30名で、各テーブル3〜5名、司会と各テーブルの進行役(テーブルリーダー)は学生が務める。

今週末から始まるシーズン4のテーマは「本を開けば、旅」。有川浩「阪急電車」(6月10日)、夏目漱石「草枕」(6月30日)、カズオ・イシグロ「日の名残り」(7月7日)の3冊を取り上げる。

文学カフェは案内人(小林氏と私)のトークで始まる。本の読みどころについて20分程度解説した後にテーブルトークに入る。テーブルリーダーは参加者が話しやすいよう話題提供をおこない、参加者同士で話が盛り上がってくれば聞き役に回る。30分たったところでコーヒーブレイク。10分間のコーヒーブレイクを挟んで全体トークに移る。各テーブルリーダーがテーブルトークの内容を紹介し、案内人を交えて参加者全員で話し合う。開始から2時間を経過したところで終了となる。

私個人としては、ほとんどぶっつけ本番の案内人および全体トークが毎回楽しみである。小林氏はどんな球でも打ち返してヒットにしてくれるイチローのような存在だ。シーズン2(「子どもたちの時間」)の樋口一葉「たけくらべ」の回も凄かった。私が後からちょこっとパスを出すと、特別ゲストの村瀬士朗氏(鹿児島国際大学准教授)と小林氏のツートップが何度も華麗なゴールを決めてくれた。村瀬氏は「草枕」の回に再登場の予定。

本来読書は個人的なものだが、百人いれば百通りの読み方があることを文学カフェは教えてくれる。ガーデンズ文学カフェの最大の眼目は、職業、性別、世代を超えて人々が集い語り合う場を提供することである。学生たちの頑張りにも期待したい。

2012年6月6日(南日本新聞コラム「南点」掲載) ※見出し画像はシーズン5「坊っちゃん」の回より。左から井原、村瀬氏、小林氏。