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総裁選報道に感じる自民党の黄昏(たそがれ)と若手への期待

 われもわれもと次から次へと手が上がり、とても見ていられない。

 みなさん立派な方々なのだろうと思うが、自分のことばかりに一生懸命で置かれている状況を冷静に認識できていないように映る。

 そのように感じるのは、私だけではないだろう。

一つの方針で行き詰まると、対照的な政治手法をとる者に切り換えて、事態を打開し国民の期待をつなぎとめるのが、自民党の得意技である。

「日米戦争と戦後日本」(五百旗頭真) 講談社学術文庫

 自民党という組織も、伝統の得意技を忘れて久しい。

 そもそも、今回ばかりは国民の期待をつなぎとめるのは至難の技だろう。

 だが、過去の経験から、自民党に代わって国を託せる政党が見えてこないのも現実。

 どんなに国を憂うる立派な人物であれ、選挙という政争に敗れてしまえば、その抱負を実行することはできない。
(中略)
 いつしか手段が自己目的化する。よき政策を行うための手段であるべきせ権力保持自体が至高の目的と化す。
(中略)
 政策上の大義を、政争のジャングルをくぐり抜けて実現できる者でなければ、政治はつとまらないのである。

(同上)

 私は、小林鷹之さんという方、詳しくは存じ上げないが、期待を込めて言動に注目している。

 雑音や揚げ足取りのリーク報道に負けずに、ジャングルをくぐり抜け、未来に責任を持てる年代であることを武器に、ぜひ「男子の本懐」に挑んで欲しいと思う。

 それにしても、五百旗頭真先生の卓見にふれるにつけ、急逝されたことが本当に残念でならない。

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