隠しごと

生まれてこなかった子どもたちを慰めるために、どれほどの量のメロンソーダがいるのか計量することはできない。まじめに計算することを放棄することで大人たちの正気は保たれているから。
すべての命の価値は平等だと教えられたわたしたちだからこそ、両親を驚かせるほど「死ね」を口にする。それは、ペペロンチーノという言葉に去勢されフリルを着た男を思い浮かべることもしない親たちへの、精一杯の復讐なのかもしれない。
季語にはなりえないファストフードを食べながら「全ての子どもにとってすべての妊娠は望まない妊娠なの」と言われた。
死ねとさんざんつぶやくくせに、自分の子どもすら殺せないわたしの中で
言葉の無力さに救われていのちが育ってゆく。

#詩

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