窓のことを

ほんとうは釣り人のことを待ち人と呼びたいが
ことばがそれを許してくれない
そうしないと体がばらばらにくずれてしまうのだろう
今日も指で蟹を作れるのは
歯医者を炭鉱夫と同じ仕事とみなせないからだ
傲岸不遜なほどに定義にこだわることばが
わたしの体をしつけてしまっている退屈だ
指では蟹を作れるのに
ことばで蟹をつくれないことのずれに
ずっと気分を悪くしている
日曜日の定義をひっくり返した革命がいつかあれば
それもまたいつかエンジニアと医師の関係性を
逆さまにできないことに怒るものに
同じような革命を起こされるだろう
その時の王の首でサッカーをしたとしてもむなしいだろうから
わたしはそのときひとりで窓のことを抜け道と呼ぶ

#詩

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