「読むべき囲碁の本 昭和囲碁風雲録」
こんにちは。IGOcompany-Uです。
前回、囲碁漫画と、将棋漫画について書きまして、
そういえば、有名な、読むべき囲碁の本って何かなぁと考えてみたら、
中山典之先生の「昭和囲碁風雲録」じゃないかと思ったので紹介します。
囲碁の仕事していると、
江戸幕府が棋士に禄を貰与えて日本の囲碁の礎が築かれたんですよ~とか、茶道や華道の家元のように囲碁にも井上家、安井家、林家、本因坊家の四つがあったりしたんですよ~とか、ちょっとした歴史を述べたりします。
知識の厚みがあったら、講義の話にも深みが増すと思います。
で、今回は「昭和囲碁風雲録」の話です。
大正末期から、昭和、平成にかけての囲碁界の事を上下巻に分けてまとめています。囲碁界ってナニって思った人は手に取ってみて下さい。
関東大震災、第二次世界大戦を経て、囲碁界がどう進んできたかがわかります。
木谷実先生、呉清源先生、坂田栄男先生、藤沢秀行先生などなど偉大な先生の話も読むことができます。
それだけでもだいぶ魅力的じゃありませんか?
簡単に内容をまとめると、
上巻は、
・大正12年(1923年)の関東大震災をキッカケに、日本棋院が発足
・昭和3年(1928年)に呉清源先生が来日
・昭和8年(1933年)木谷実先生、呉清源先生による新布石の発表
・原爆下の本因坊戦
・戦後の囲碁界の話
・東西対抗戦と関西棋界の分裂
となっています。
個人的には、第二次世界大戦中の本因坊戦、橋本昭宇本因坊に岩本薫七段が挑戦した「原爆の局」の描写が好きです。この「原爆の局」は、まだ実物は見た事ありませんが、シアトル囲碁センターの外壁に飾ってあるそうです。
それから、長年、なんで関西には「関西棋院」と「日本棋院関西総本部」がるんだろうと思っていたんですが、その謎(?)の答えも教えてくれます。
下巻は、
・呉清源先生の活躍
・高川秀格先生の時代
・新棋戦の登場と、名人戦の誕生
・坂田栄男先生、頂点に立つ
・名人戦騒動 囲碁界史上最大の風雲
・棋聖戦の創立
・昭和から平成への囲碁界
って流れになっています。
ここでは、スポンサー問題でもめにもめた「名人戦騒動 囲碁界史上最大の風雲」のところが凄く熱かったです。
今、囲碁のタイトル戦のスポンサーは殆ど新聞社が担っています。
それはというのも、昭和の頃は囲碁の棋譜を新聞に載せれば部数が大幅に伸びたっていう時代があったからなんですね。野球・相撲・囲碁将棋がキラーコンテンツでした。今の時代からは考えられませんね。
そこで勃発した「読売朝日名人戦騒動」。
もともと読売新聞が名人戦のスポンサーをしていたんですが、読売新聞への不信感を背景に、杉内雅男先生が「契約を打ち切る」と通告したことが端を発しています。
作中では「巨象に噛みついた蟻」とまで表現をしています。囲碁界が巨大メディア(今の比ではないと思います)相手に反旗を翻したのです!
(だいぶ反撃も喰らったようですが)。
不信感の原因は、この本の206ページにある「各社の年度別契約金一覧表」の金額で説明していました。
読売新聞は、昭和36年の2500万から始まって、昭和49年に2750万円を支払っています(※現在とは貨幣価値が違います)
毎日新聞は、昭和36年に950万円、昭和49年に2440万円
朝日新聞は、昭和36年に1000万円、昭和49年に1960万円
産経新聞は、昭和36年に1180万円、昭和49年に1590万円
日経新聞は、昭和36年に559万円、昭和49年に1400万円
です。
ん?って思いませんか。
そう読売新聞が、昭和49年も一番多く出しているんですね。でも、「戦後の物価が上昇している中、2500万円を→2750万円にしか増やさないのは何とも棋士を馬鹿にしてる!」って理屈だったみたいです。まあ、他にもいろいろ理由あったんでしょうけど。
中山典之先生は棋士の側なので、1億2500万円にするべきだった、高給を食んでいた新聞社のお偉方には、こんな簡単な理屈も分からなかったのだ、と書いています。
これも今では考えられない騒動ですよね。
すごい時代を感じて面白かったです。
この騒動が、メディアの反撃を喰らい、どう落ち着いていったのか、興味のある人は読んでみて下さい。
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中古だと300円くらいで購入できるみたいです。文庫版は僕も持っていないので買ってみようと思います。
おまけ
結果だけ言うと、そこから名人戦に代わり読売新聞がスポンサーの序列(賞金)1位の棋聖戦が誕生するなどしています。
サポートありがとうございます。コロナの影響もあり、今囲碁界はどんどん縮小していっています。どうにかしたいと思っている方は多いと思います。まずは小さな一歩から、囲碁の本を買ったり、近くの囲碁サロンに行ってみたり、周りに囲碁を教えてみて下さい。サポートは囲碁普及に使わせて頂きます。