【囲碁】全100回を目指す!上達に役立つ棋譜解説!!第16回「女流棋聖戦第3局を眺めてみよう!」
こんにちは。
IGOcompany【U】です。
財団法人日本棋院での15年間の勤務を経て、囲碁をビジネスに起業。
もうすぐ10周年になる「宇佐美囲碁教室」っていう教室を運営したり、武蔵小杉の「永代塾囲碁サロン」にて指導碁や交流会をしたり、
「新百合囲碁学園」の学園長を任されたりしながら、世田谷や麹町、大学などで囲碁を教えて、ご飯を食べてます。
本日のnoteは、
【囲碁】全100回を目指す!上達に役立つ棋譜解説!!第16回「女流棋聖戦第3局を眺めてみよう!」
です。
仲邑菫先生の日本での最後のタイトル戦だったということで、メディアの注目も凄かったようですね。かつてないほどの報道陣が来たとか。。。
今回は、その対局についてまとめていこうと思います。
実際に、僕の教室でも講義した内容になります。
「この手が勝負の分かれ目だったんじゃないか!?」と思ったりした部分もあるんですが、(別に何かを批判するワケでもなく)あくまで個人の感想ですので、気楽に眺めて頂けると嬉しいです。
というワケで、
【囲碁】全100回を目指す!上達に役立つ棋譜解説!!シリーズの第16回目となります。
前回の棋譜解説はこちら。
※必ず前回のnoteを載せていますので、もし興味があれば遡ってみて下さい。
いつも書いてるんですが、
囲碁の棋力向上の為には、沢山の囲碁の知識に触れることが必要です。
囲碁は、これだけを覚えれば大丈夫!ってことが(ナカナカ)ないんですね。
応用の連続と言いますか、難しい言葉で表現すると「棋理(囲碁の理屈)」の理解が重要です。
色々な局面に対応するために、それぞれの知識が必要になるので、たくさんの棋譜解説を読んで、囲碁の知識の引き出しを増やしていかないといけません。
身も蓋もない言い方をすれば、兎に角、数をこなさないことには強くならないんですよね(笑。
なので、拙いnoteですが、コツコツせっせと色んなことを書きますので、良かったら眺めてみて頂けると嬉しいです。
「何かひとつだけでも新しいことを知ってもらえば十分だと思います」
それから、
解説を始める前に(すみません、宣伝ですが)、
この棋譜解説をどんどん追加しているマガジンのお知らせと、
僕の書籍の紹介もさせて頂きます。
スキのリアクションを頂けるだけでもモチベーションになりますので、そちらだけでも応援宜しくお願い致します!!
それでは、
棋譜解説を始めていきましょう。
参考教材は、こちら。
良かったら棋譜を並べながら解説を読んでみて下さい^^。
【解説した部分の総譜(白84手目まで)】
2024年2月5日(月)に打たれた対局です。
【女流棋聖戦第3局 黒 上野梨紗二段 白 仲邑菫女流棋聖】
【黒1手目~黒17手目まで】
左上隅、黒7のカカリから白16まで「両ガカリの定石」。
白16まででひと段落と言われてるんですが、実戦の黒は左辺黒17と迫っています。すぐに、こういうツメを打つ打ち方もあるんだなと思いました。
【参考図①】
黒17のツメの意味を説明する前に、この定石後のキカシについて解説します。すぐに打つワケではありませんが、黒1の逃げ出しの味があります。
黒1と逃げ出し、黒3と5のアテを決めて、黒はちょっとだけその石を役に立てようと企てます。
【参考図②】
黒1の逃げ出しに対して、白2と下からオサエを打つのは黒3とマガリを打たれて黒石が連絡してしまいます。
黒△の切りも入っているので、これは白が悪い形でしょう。
【参考図③】
石を捨てずに黒3とマガリを打ちたくなる人もいるかもしれませんが、それは黒が筋悪。囲碁には「二線を這うは敗戦」という格言もありまして、このようにただただ二線を逃げ出すのは黒が悪い進行でしょう。
【参考図④】
ただし、実戦の黒17の位置、
下の図の黒△の位置に黒石があれば、黒3の逃げ出しが成立します。
これを黒は狙って、黒17と打っているんですね。
【参考図⑤】
ということで、黒17の位置に石が来た時はAに受けるのが本手です。
知っていましたか??
反発できないのかなと考えたんですが、(とりあえず)黒17にはAと打つと覚えておきましょう。教室で、生徒さんに抜きはダメなんですかと訊かれたんですが、それでも問題ないと思います。
【実戦の進行 白20手目まで】
実戦は白18のツケと黒19のノビを交換してから、白20と受けました。
この後、白からAにサガリを打つのも部分的には好点です(ただ今は白20を優先しているワケです)。
【参考図⑥】
ちょっと捕捉。
実戦の白18のツケは先手を取ろうとした打ち方です。
部分的には、下の図のように白1と打つ手も考えられます。後に白はAとオキが狙いの一手(白△の石がある場合に厳しい打ち方)。
【参考図⑦】
仮に、白1のツメに黒2などと手を抜くと、白3のオキが厳しいのです。
黒4と遮りたいトコロですが、白9までで黒の石が取られてしまいますね。
【参考図⑧】
なので、白3のオキにはツナギくらいが形なのですが、このように進むと、(黒が死ぬワケではないのですが)左上隅の黒石は二眼がちゃんと出来るのか不安になってしまいます。
【参考図⑨】
以上の手があるので、白1に対しては黒2のブツカリが形なのですが、そこで白3と打つと白は「後手」を踏んでしまいます。
実戦、仲邑菫先生は、先手を取って白20と打ちたかったので、白18のツケを利かして「先手」を取る手順を選んだということになります。
【実戦の進行 黒23手目まで】
黒21の三間ビラキに、白22の打ち込み。
ちょっと気楽な言い方になってしまいますが、(自分が戦えそうなトコロなら)三間ビラキに対しては、「とりあえず打ち込んでみる」って思っていても良いかもしれません。
黒23に対してどう打つかは悩ましいトコロ。
皆さんだったら、白24をどこに打ってみたいでしょうか?
僕だったら、AやBなどと、白2と6の間を分断されないように補強する手を選びそうです。
ちなみに、前に無料のnoteで、去年の本因坊戦の感想を書いたんですが、(局面は違いますが)一力先生はAと受ける手を選択していました。
【実戦の進行 白24手目】
実際に、仲邑菫先生が選んだのは、白24!?
こういう形もあるんですね(AIも示していました)。
黒からAなどに分断される手が心配にもなるのですが…
【実戦の進行 黒33手目まで】
実戦は、黒33手目までこのように進みました。
AIにかけて検討してみると、この辺の進行は、ほぼAIが示した手と一致しているのでお互いに研究済みの進行なのかもしれません。
白32のポン抜きを許すのも意外でしたが、黒33手までで左下隅の地も取れるので不満がないということなのでしょうね。
皆さんは、左下のワカレは、黒と白、どっちが良いと思いますか?
【実戦の進行 黒37手目まで】
左下隅が黒33まででひと段落したので、白は白34とかねてからの好点にまわりました。
この白34に対しては、このnoteを読んでいるほとんどの人は黒35でAにオサエを打っておくのが手厚いと思います。
実戦は、黒が「あなたの石だって弱いでしょ?」と黒37とハサミを打ってやり返しています。
【黒39手目まで この碁の注目の局面!】
ここまでは、評価値的にも、ほぼ互角の進行。
ちょっと形勢が傾いたのは、黒57手目あたりからなんですが(上野先生は112手目?くらいで黒が良くなったかもなってコメントしていましたね)、
個人的には、下の図の黒39に対する白40の手が、ちょっと原因なんじゃないかと思っています。
皆さんだったら、白40をどこに打ってみたいでしょうか!?
【実戦 白40手目】
実戦は、
白40手と堂々とした一間トビ!
左下隅にポン抜きもあるので中央で戦えると判断しての一手ですが、
(僕は個人的に)この手から少しずつ白が打ち難くなっていったんじゃないかと考えているので、
例えば、教室の生徒さんに対して「こういう時はこう打つんですよ」って言える、分かりやすい手を、以下の有料部分で紹介したいと思います。
この局面、白40手目でオススメの手は!?
それでは、
以下、有料部分となります。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!!
これから全100回を目指し、定期的に皆さんに役立つ情報を発信していきますので、応援宜しくお願い致します。
【参考図⑩ 白40ではこう打ってみたかったです】
サポートありがとうございます。コロナの影響もあり、今囲碁界はどんどん縮小していっています。どうにかしたいと思っている方は多いと思います。まずは小さな一歩から、囲碁の本を買ったり、近くの囲碁サロンに行ってみたり、周りに囲碁を教えてみて下さい。サポートは囲碁普及に使わせて頂きます。