見出し画像

【囲碁】全100回を目指す!上達に役立つ棋譜解説!!第12回「三々定石と両ガカリの定石、AIによると緩めの定石」

こんにちは。

IGOcompany【U】です。

財団法人日本棋院での15年間の勤務を経て、囲碁をビジネスに起業。

もうすぐ10周年になる「宇佐美囲碁教室」っていう教室を運営したり、武蔵小杉の「永代塾囲碁サロン」にて指導碁や交流会をしたり、

「新百合囲碁学園」の学園長を任されたりしながら、世田谷や麹町、大学などで囲碁を教えて、ご飯を食べてます。

先日のnoteで、兎に角、有意義な記事を、しっかりコツコツ書いていこうと決意を新たにした次第です。

少しでも皆さんの棋力向上に役立つ記事を書き続けていきたいです。

さて、

本日の棋譜解説は、

自戦解説でちょっと恥ずかしいんですが、

1月8日(月祝)に公開対局をしたので、

その棋譜を反省の意味も込めて載せてみたいと思います。

人前で対局をするのは、

2018年のロシアのウラジオストクの国際棋戦以来ですね。

あとは、その昔、王唯任先生の主催する囲碁旅行で、生徒さんの前でボコボコにされたことがあります(笑。

イベントの様子はこんな感じ。

永代さんと金子真季先生が大盤解説をしてくれてました。

それと、

前回の棋譜解説はこちらです。

※必ず前回のnoteを載せていますので、興味があったら遡ってみて下さい。

毎回言っていますが、囲碁の棋力向上の為には、沢山の知識に触れることが必要です。

囲碁は、これだけを覚えれば大丈夫!ってことが(ナカナカ)ないんですね。

応用の連続と言いますか、難しい言葉で表現すると「棋理(囲碁の理屈)」の理解が重要です。

色々な局面に対応するために、それぞれの知識が必要になるので、たくさんの棋譜解説を読んで、囲碁の知識の引き出しを増やしていかないといけません。

身も蓋もない言い方をすれば、兎に角、数をこなさないことには強くならないんですよね(笑。

なので、拙いnoteですが、コツコツせっせと色んなことを書きますので、良かったら眺めてみて頂けると。

この棋譜解説シリーズは、毎週定期的に発信していきますので、週に1回でも「新しい知識」に触れてみて下さい!

このnoteの年間50局分以上の棋譜解説(や色々なnote)を読んでいただければ棋力向上は間違いなしだと思います。

有料記事は、有料noteのマガジンにまとめておきますので、全部読みたい人は下のバナーをクリックしてみて下さい。

購入してもらわなくても、スキのリアクションを頂けるだけでもモチベーションになりますので、そちらだけでも宜しくお願い致します!!

それでは、始めていきます。

【囲碁】全100回を目指す!上達に役立つ棋譜解説!!第12回「三々定石と両ガカリの定石、AIによると緩めの定石」

参考教材は、こちら。

【解説した部分までの総譜】

実際は上辺でもうひと騒動あるんですが、左辺の攻め合いまでの棋譜です。この段階で、やや白良しの形勢となっているようです。

とうまくんは凄く強かったので、

もう少し経ったら抜かれてしまうかもしれませんね。

白98まででひと段落

【1手目~12手目まで】

左上隅、白8の三々入りから「三々定石」。

ちょっと昔だったら、黒9のオサエは「左辺から!」って頑なに言うようなトコロですけど、令和の昨今は、白9のオサエも「ありえる」トコロです。

とはいえ、教室で生徒さんに伝える時は、左辺からが基本の形ですよってお伝えします。

白12のオシに、黒Aとオサエを打ってしまうと白が隅を確保しつつ、中央にも進出してしまうので、黒13手目ではBの出を打つのが定石です。

知らないとAと打ってしまいそうですよね。

【参考図①】

黒1の出から黒3黒5の「手続き」をしてから、黒7とオサエを打てば、白は白8と手を戻すので、黒が中央、白が隅を確保するというワカレになります。

黒11のカケツギは上にカケツギを打つ形もあります

もし詳しく知りたい方は、手前味噌(?)ですが「三々定石」についてしっかり基本事項をまとめている自著がありますので、良かったら読んでみて下さい。Amazonで絶賛発売中です。

【実戦の進行 白22手まで】

実戦は、黒15と反対に切って隅を取るような変化になりました。

白20の逃げは「いつ打っても良い」キカシなので、昔は決めない方が多かったんですが、タイミングを考えるのも大変なので、すぐに決めてしまいました。今のタイミングなら、絶対に黒21と打ってくれますしね(場合によっては、白20の右から打つ可能性も考えられます)。

白22は、ちょっと悩んだところです。

AIでも同じトコロがオススメされていましたが、他にもA、B、Cなどの左辺の白石を強くする手も有力でした。

僕の感覚では、ポン抜きしている白石に一手かけるのは手厚すぎるような気がしたんですが、後々の攻防で、思ってたより左辺の白石は弱かったようなのでAに一間トビしてるのも立派だったかなぁと思います。

白22も勿論好点です

【黒27手目まで】

黒27と両ガカリの形。

打たれてみると黒23も良いトコロですよね

【参考図②】

両ガカリの攻防について詳しく解説する前に、

級位者のへのオススメの形を紹介します。

両ガカリをされた時は、白1のコスミが簡明です。まず生徒さんに両ガカリを教えるのなら、この形から説明します。

黒2に対してオサエを打つ場合もありますが、白はいったん手抜きをして大場などに先行します。

2手だけ覚えていればいいので、覚えやすい定石です。

上辺や左辺の星にがあれば、オサエる手もあるでしょう

現代の感覚では、部分的にあまいとされている形ではあるんですが、そんなギリギリの手ばっかり覚えても大変なんですよね。

囲碁は長い勝負なので、あまり細かいことを気にせずに、大筋が合っていれば大丈夫です。

この後、僕もいわゆる今はヌルイと言われている「昭和の定石」を選択したりもするんですが、AIが示す手ばっかりが最善とは限らないんですよね。

遅れたとしても、立派に手厚く一手入れた方が良いことが多いのです。

特にアマチュアは時間制限がある碁ですからね。

ちなみに、この公開対局は持ち時間が30分で切れ負けでした(なので全部悩めないので割り切って打つ必要があります)

【参考図③】

有段者、高段者になると、白2でコスミを打たずに、変化の多い下の図のような白2のツケを選択するようになります。

白2のツケから黒5のツケ。

昔の定石だったら、白6でワリコミを打っていたんですが、今は白6と隅からハネで打つ方が多いです。いずれ両ガカリについても詳しく取り上げたいと思います。

白12は一路高く四線にハサミを打つ場合もあります。

僕個人の見解だと、白12は三線に打った方が「厳しい」意味があります。

で、

だいたい両ガカリの定石は、下記のような進行なんですが、白10のキカシは白12と打つ前に決めておくのがポイントです。

ウロオボエで白12を白10の前に打ってしまうと、困ってしまうことになる場合があるので注意が必要です。

ちなみに、ここは絶対に押さえておいて欲しいトコロなのですが、白16は棒ツギが定石です。僕は実戦でワリコミで打ってしまったので、ちょっと困ったことになってしまいました。

白16は棒ツギで打つのが形です

【実戦の進行 白48のケイマまで】

この形で、白48のケイマまで。

AIで勉強した時もこの形を示してたなと覚えていたんですが、白44のワリコミを決めてしまうと、ちょっと問題が生じてしまいます。

白48はオシで打つべきだったのかもしれません

白48の何が問題なのか分かりますか?

【実戦 黒49手目】

白48のケイマだと、黒49の単純なマガリで困ってしまいます。

ああ、やっぱり、定石は定石通り打つべきなんだなと思いました(笑。

黒49のマガリにオサエを打てない

【参考図④】

白△でダメが詰まっているので、白はシチョウで出切ってきた石を取る事が出来ないんですね。ホント、ウッカリしていました。

AIによると捨てても打てるようなんですけど、取られたら恥ずかしいですよね

【参考図⑤】

解説の金子先生は、白1のツケはどうだろうとおっしゃっていました。

こういうツケる発想は僕にはないので、勉強になりました(なるほど)。

【実戦白 60手目まで】

前述した通り、白50でオサエが打てないので、

実戦は白50と一間トビで外して打ちました。

白60は、昔ながらの「三本オシてケイマ」の形ですが、後々検討すると、白60ではAに打っておくのが良かったとようです。

黒61でAに打たれると急所

【実戦 白66手目まで】

白64は、自分でも「呑気な」一間トビでした。

とはいえ、一間トビに悪手なしですから、中央を厚くしておけば、そんな簡単に負けないだろうって気持ちもあります。

黒65はAに打っておくのが厳しいです。

黒65と打ってからAに打つのなら2手かけて右辺を取っている意味があるので、そんなに大きくはないかなと思って白は66のカカリにまわりましたが、
目数を計算すると、ここは受けておく一手だったかもしれません。

右辺が大きいです。受けておくのが普通

【白70手目まで】

白70で、僕は、最近はあまり打たれない定石を選択しました。

今日の題名に「AIによると緩めの定石」って書きましたけど、最近だとこう打つ人は少ないかもしれません。

事実AIにかけると、この定石選択で10数%評価値が落ちていました。

緩いというのは、地にあまいとか、相手を強くしてしまっているって意味があるんですが、先程も言った通り、AIが示す手ばっかりが最善とは限らないんですよね。

白64の呑気な一間トビや、ここを厚くしておくことで、後々良いこともあるのです(その良いことについては後述)。

時間のある碁だったら、この後説明する手を選択したと思いますが。。。

白70の定石は最近珍しい

とうまくんとは、何度も置碁で相手をしているので、厚くしておく方が後々良いかなぁって思ったってのもあります。

【参考図⑥】

ここでは、白1とハサミで打つ方が有力と言えば有力です。「黒の石を(カケて強くせずに)攻める」っていうは、当たり前の発想になります。

白1の方が良い手だったかもしれませんね

【実戦 白80手目まで】

とはいえ、先手で白80と受けに戻ることが出来たので、白も(あまいかもしれませんが)そんなに不満がない進行です。

白78に黒79と受けるのは部分的に立派ですが、黒79の手で右辺に打たれていたら黒が地を先行していると思います。

右辺の白80はべらぼうにでかいです。

さて、

この後m

黒が仕掛けてきて、戦いが開始します。

実は黒は、戦いを仕掛けないで、こう打っておけば形勢良しで打ち進められる手があったんですが、

それは有料解説の部分で紹介します。

この局面で、黒の好点はどこだと思いますか?

答えは、

以下の有料部分で。



ここまで読んでいただき、ありがとうございました!!


【参考図⑦】

黒が有力な進行は、以下の通りです。

ここから先は

1,530字 / 8画像
この記事のみ ¥ 330

サポートありがとうございます。コロナの影響もあり、今囲碁界はどんどん縮小していっています。どうにかしたいと思っている方は多いと思います。まずは小さな一歩から、囲碁の本を買ったり、近くの囲碁サロンに行ってみたり、周りに囲碁を教えてみて下さい。サポートは囲碁普及に使わせて頂きます。