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【囲碁】「ツケノビ定石」を使ってみよう!!の有料note。

こんにちは。
 
IGOcompany【U】です。

囲碁をビジネスに起業して「宇佐美囲碁教室」っていう教室を運営したり、武蔵小杉の「永代塾囲碁サロン」にて指導碁や交流会をしたり、

「新百合囲碁学園」の学園長を任されたりしながら、世田谷や麹町、大学などでも囲碁を教えて、ご飯を食べてます。

10月から、読売カルチャー八王子さんの方でも教室を持つことになったのでお近くの方は、是非ぜひ宜しくお願い致します。

最近は、つぶやき投稿も使って、毎日noteを心がけているんですが、

(また連続投稿を目指します!)、

本日は、久々に普通の(?)noteです。

前回お知らせした通り、

Amazonにて、

Amazon.co.jp: 【囲碁】「ツケノビ定石」を使ってみよう!!いちばん最初に学ぶ基本定石の考え方 eBook : 宇佐美 太郎: Kindleストア

が出版されました!!

サンプルを読めますので、良かったらご覧になってみて下さい^^。
Kindle Unlimited 会員の方は、無料で読むことが可能です。

今日のnoteは、

kindleじゃなくnoteで読みたいって需要もあると思うので、

出版した本を変更・加筆修正しながら、後半部分を有料にして、載せてみたいと思います。

電子書籍だと980円、ペーパーバック版だと1,188円で販売している書籍の内容です。全部で16000字くらい、参考図は50図以上あります。

それから、

ちょっと宣伝になってしまいますが、

有料マガジンの設定を、皆様にお得な良い方向へ変更してみました!

マガジンを購入して頂いた方は、ずっと有料記事を読むことが出来ます。

1回1回購入するのが面倒だなって方は、この機会に是非ぜひマガジンに参加してみて下さい^^。

これからも有料記事を書き続けますし、書籍は10年で100冊を目指して書いていきたいと思います!応援、宜しくお願い致します!!

以下、

書籍の内容、

↓ ↓ ↓

【囲碁】「ツケノビ定石」を使ってみよう!! いちばん最初に学ぶ基本定石の考え方

【はじめに】

皆さん、こんにちは。

【囲碁】「ツケノビ定石」を使ってみよう!!
いちばん最初に学ぶ基本定石の考え方

を手に取って頂き、誠にありがとうございます。

著者の宇佐美太郎です。

写真は、2018年にウラジオストクで行われた日中韓欧露の国際大会に日本代表で出場した時のものになります。

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(何か自分が写っている写真がないかなと探したんですが、最近の写真はコロナの影響でマスクをしたものばかりでした…)。

最初に、少しだけ自己紹介をしますと、公益財団法人日本棋院という所で、ずっと囲碁教室の先生をしていました。日本棋院というのは、囲碁の公益財団法人で、プロ棋士の先生方が所属している囲碁の総本山です。

そこでの15年間の勤務を経て、2021年に囲碁をビジネスに起業。

今は東京や神奈川を中心に活動しています。

「宇佐美囲碁教室」という教室を運営したり、武蔵小杉の「永代塾囲碁サロン」という所で指導碁会や交流会を開催したり、

他にも、麹町の「ダイヤモンド囲碁サロン」や、世田谷の「ひだまり友遊会館」、大学などで囲碁の指導をして、ご飯を食べています。

最近は「新百合囲碁学園」の学園長を任されました。上の写真は、私が講義をしている様子です。

秋から八王子の「よみうりカルチャーセンター」でも新しい教室を担当する予定です。

こんな風に武蔵小杉の「永代塾囲碁サロン」で指導碁もしています。

お近くの方は、是非ぜひ一度遊びに来てみて下さい。

さて、

この書籍、【囲碁】「ツケノビ定石」を使ってみよう!! いちばん最初に学ぶ基本定石の考え方 では、

最初にまず「ツケノビ定石」を使う前の基礎知識を説明し、「ツケノビ定石」と使う局面を紹介、

そして、基本の変化を3種類に分けて解説していきます。

最後には、棋譜並べ用の参考譜も載せてみますので、手を動かしながら、「ツケノビ定石」を勉強してみて下さい。

副題に「いちばん最初に学ぶ基本定石の考え方」と載せてみましたが、

「ツケノビ定石」に至るまでの理由も掘り下げていきますので、

この本を読めば、定石の手順だけなく、どうしてそこに打つのか、どういう時にその着手を選ぶのか、といった囲碁の知識も身に付くことでしょう。

「ツケノビ定石」の基本の3種類の変化に入る前に、説明しないといけないことが沢山ありますが定石を理解するためには大切なことなので、のんびりと読んでみて下さい。

もちろん、それぞれの具体的な変化を知りたい人は、ページを飛ばして必要な知識を探して頂いても問題ありません。

「ツケノビ定石」は囲碁の入門者が19路盤に入った時に、まず最初に習う定石のひとつです。最初に習うということは簡単な定石ということなのですが、突き詰めると意外と奥が深い。

置碁の時にも有効な定石なので、色々な場面で使ってみて下さい。

私の教室に通ってくれている生徒さんに「この本を読めば大丈夫ですよ、ツケノビ定石は難しくありませんよ」と伝えられるように、出来るだけ簡明な解説を、この一冊に詰め込んだつもりです。

中には少し難しい変化を載せてしまっているかもしれませんが、全部を覚える必要はありません。

何かひとつだけでも、新しいことを知ってもらえたら嬉しいです。

この本が皆さんの棋力向上に、お役に立てればと願っております。

宇佐美 太郎

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【囲碁】「ツケノビ定石」を使ってみよう!! いちばん最初に学ぶ基本定石の考え方

『ツケノビ定石を勉強する前に』
・基本の3つの変化
『①白5とノビを打った場合の変化』
『②白5とツケを打った場合の変化』
『②白5とツケを打った場合の変化』
『棋譜並べ用の参考譜』

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『ツケノビ定石を勉強する前に』

【まずはツケノビ定石の基本形】

この図が、ツケノビ定石の基本形のひとつ。

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参考図には、手順に番号を振っています。

一手目が白1、二手目が黒2というように着手の順番を示しているものです。

星にある黒石に対して、白1のカカリ、黒2のツケ、白3のハネ、黒4のノビというように黒8まで「ツケノビ定石」が進行します。

囲碁の本に慣れない内は、手順を追うのも難しいと思います。実際に碁盤に並べて、まずは「ツケノビ定石」の基本形を覚えてみて下さい。

【定石という考え方】

そもそも「定石」という言葉も難しいかもしれません。

辞書で引いてみると、

定石とは、囲碁で昔から研究され最善とされる手順のことです。

黒と白、お互いにこう打っていれば部分的に不満のないワカレ(手順)のことを定石と言います。

ちなみに、囲碁では「定石」、将棋では「定跡」と表記します。読み方は、どちらも「じょうせき」です。

海外でも(囲碁を知っていれば)「JOUSEKI」で通じます。

昔から研究され打たれてきた手順が、段々と定石として定着していきます。その打たれていた手順が、研究により効率よく洗練されていくイメージです。

しかし、その後の研究次第では、その定石が満足のいくワカレでないと判断される場合もあります。その時は、過去の定石として廃れていったりもします。

最近では、人工知能のAIの台頭で、囲碁の世界にも様々な変化が出てきました。今まで打たれていた定石が(だいぶ)見直されたりもしています。

逆に、江戸時代に打たれていた定石の変化の方が良かったなんてこともあったりします。結構、流動的なものなのです。

定石を勉強する時は、手順を暗記するのではなく、そこに至るまでの理屈(囲碁の言葉で「棋理」と言ったりもします)、手の意味を理解することが大切です。

また、これから勉強する人にとっては嫌な言葉ですが「定石を覚えて二目弱くなる」なんて格言もあります。これは「棋理」を理解しないで、ただただ定石をまる暗記して使っても意味がないという戒めの言葉です。

適材適所という言葉があるように、選ぶ定石も、その局面に合ったものではいけないということになります。

今回紹介する「ツケノビ定石」は、色々な場面で活躍する、最初に使ってみたい定石のひとつです。是非ぜひ、実戦で試してみて下さい。

この書籍、【囲碁】「ツケノビ定石」を使ってみよう!! いちばん最初に学ぶ基本定石の考え方 では、手順を解説するだけではなく、出来るだけ簡明に「何故そのように打つのか」を、皆様に分かりやすくお伝えしていこうと思っています。

【ツケノビ定石の名前の由来】

「ツケノビ定石」は、次の図の手順から発生する定石のことです。

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右上隅の星の黒石に白1とカカリを打ち、黒2のツケ、白3のハネに対して、黒4とノビを打つから「ツケノビ」定石です。

「ツケノビ定石」を選択した黒は、ツケてノビを打っているワケです。

この定石を、19路盤に入った時に最初に習う定石と説明しましたが、

この白1から黒4までの石の動きが、石の働きを損なわないように教えたい動きなので、囲碁で教える時によく使う言葉としても重宝されています。

囲碁の講座を受けたり、今だったらYouTubeで囲碁の動画を見たりすると、講師の誰もが「ツケにはハネよ、ハネにはノビよ」と説明していると思います。それが上の句で、その後は「ノビたらツゲよ(ツギを打てよ)」と続いたりもします。

例外もありますが、これは囲碁を打つ時に心がけたい基本の石の動きです。

初心者の内は、まだ意味がわからなくても、その言葉通り打ち進めると綺麗な石の流れだよと伝えたりもします。

そんな、ツケにはハネよの動きで進むのが「ツケノビ定石」の序盤なのですが、この後に白5と隅へのノビを選択すると、最初に紹介したツケノビ定石の基本形になります。

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黒石と白石がお互い根拠を持ち、しっかりとした形になるのが特徴です。

この「お互いにしっかりとした形になる」ということを、実は不満に感じる時もあるのですが、これについてはおいおい説明していきます。

【ツケノビ定石の変化の解説に入る前に】

「ツケノビ定石」の変化や、それぞれの着手の意図を暗しく解説する前に、まず定石に至る前段階「星にカカリを打つこと」について確認しましょう。

【囲碁の大場の優先順位】

囲碁はどこから打ち始めても自由です。将棋やチェスは駒を置いた状態からスタートしますので、そこからの戦略を持って対局を進めていきます。

囲碁は、最初は盤の上に黒石も白石もありません。

打ち始めるキッカケがないので、自由過ぎて、それを難しいと感じてしまう人もいることでしょう(それが囲碁の面白さ、魅力でもあるのですが)。

最初は「19×19」の361マスの19路盤のどこから打っていいのかすら皆目見当がつかないと思います。

例えば、

次の図の黒1のように天元(盤の真ん中)から打っても自由ですが、囲碁の本を書いている私ですら、この後に、どう打つのが最善かはわかりません。

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天元に打つのは広すぎて、碁盤の深さに溺れてしまいそうです。

一般的には、この図の白2などのように、空き隅「星」の位置に打つことがオススメされています。

とりあえずではありますが、模範となる大場の着手の優先順位がありますので、そちらを紹介します。

それを踏まえた上で、自分なりの打ち方を模索してみて下さい。

大場(広いトコロ)の順序は、

1に「空き隅」、2に「シマリ」か「カカリ」、3に「辺」、4に「中央」
というように説明されます。

まずは、そんなイメージで、隅からを基本として、後に中央へと発展していくように打つのが良いでしょう。

「ツケノビ定石」も、空き隅を打ち終わった後の星の石にカカリを打つところからスタートします。

【星にカカリを打たれた時の選択肢】

参考図なので空き隅がまだ空いていますが、右上隅黒〇の星の石に、白の方が白1とカカリを打った局面です。

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このように星にカカリを打たれた時、

皆さんは、どんな着手を選択しますか?

また、どのような理由があって、その着手を選んだのでしょうか??

意外とこう訊かれると答えに窮してしまうのではないでしょうか。

もちろん、最初は「なんとなく」で構いません。習うより慣れろという言葉があるように、まずは囲碁の対局をたくさん打つのが大切です。

対局を重ねる内に、少しずつ着手の意味を理解していくことでしょう。

いずれ「今日はこういう気分だから、こういう手を打ってみました」などと答えられるようになると、囲碁を打つ楽しみも増えると思います。

次の解説では、「ツケノビ定石」を説明する前に、カカリに対する応手の目的を解説します。

【カカリに対する応手の目的】

星にカカリを打たれた時の着手の選択肢について、いくつか紹介してみます。

【小ゲイマの受け】

白1のカカリに対して、黒2の小ゲイマの受け。

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いちばんオーソドックスな手と言えます。白1のカカリに対して攻めようと意図はなく、星にある黒石をまずはしっかりさせるという意味の着手になります。

【黒2のハサミ】

白1のカカリに対して、黒2の一間バサミ。

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これは白1のカカリに対して、黒は少し攻めてみようと思った時の着手です。また、この手を打つということは、黒は上辺ではなく右辺を大切にしよう(白に右辺を打たせたくない)という意図もあるでしょう。

ここで白が三手目で、Aの三々に入れば「三々定石」の始まりです。

※宣伝になりますが、「三々定石を基本事項の総まとめ あなたは三々定石を知っていると自信を持って言えますか?」という書籍も出版していますので「三々定石」が気になる場合はこちらも是非ぜひ読んでみて下さい(Kindle Unlimited 会員の方は、無料で読むことが出来ます)。

【黒2のコスミツケ】

白1のカカリに対して、黒2のコスミツケ。

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コスミツケを打たれた後は、白5までの三間ビラキがよくある進行。

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白1から白5までの構えを「二立三析」と言います。
白の2本立っているトコロから、三間にヒラキを打った構えのことです。

ひと昔前は、この白の構えが「良い」と言われていたので、「二立三析」を与えてしまう時は、コスミツケをあまり選択しませんでした。

しかし、現代の碁では、隅の地を確保するためにコスミツケを選択することも多くなりました。

【攻めるための黒2のコスミツケ】

こちらも、白1のカカリに対して、黒2のコスミツケ。

しかし、この局面では、右下隅に黒〇の黒石があるので、意味合いが少し違います。

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このような場合は、隅を確保しつつ、相手の白の石を攻めてやろうという気持ちを持った着手がコスミツケになります。

白は「二立三析」を得ることが出来ず、窮屈な白5までのヒラキとなって、根拠を十分に確保することができないのです。

黒はコスミツケからの攻めが成功していると言えるでしょう。

ちなみに、囲碁は海外でも大人気で、この着手のことを英語では「Kick(キック)」と訳されています。相手を攻めたい時(蹴りたい時)の攻撃的な着手のイメージの手がコスミツケです。

【カカリに対して、様々な着手の選択肢】

このように、星の石に白1とカカリを打たれた時、黒としては「どう打とうかな」と色々な思惑が生じます。

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右上隅の黒〇の星の石を守ろうか、あるいはハサミやコスミツケで攻めるべきなのか、そういうことを考えて、いくつかの選択肢の中から着手を選ぶのです。

【手抜きも選択肢のひとつ】

この本の主旨とは違いますが(まずは「ツケノビ定石」使ってカカリに対応してみましょうという書籍です)、

ちょっと捕捉として、白1のカカリに、黒2のように手抜きをする選択肢もあることも紹介します。

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その場合は、白3と「両ガカリ」をされるので、右上隅の黒はツライと言われていますが、その分、先に黒2と左下隅に先行出来て得をしています。

右上隅は部分的に悪くても、左下隅に先に打ってみようという気持ちの時は「手抜き」で打ちます(碁は大筋が合っていればよいので、色んな打ち方が肯定されます)。

日常生活の手抜きはよくないですが、囲碁の場合は手抜きが好手になる時も多くあるのです。「手抜きで打てれば上級者」なんて格言もありますね。

上で紹介した参考図は、囲碁の自由さがあらわれた局面ですが、そのどこに打っても一局という自由さが「囲碁は難しい(どう打ったらわからない)」というイメージが生じる理由かもしれません。

囲碁の正解は、ひとつではないのです。その後の打ち方と関連すれば、悪い手も良い手に化ける可能性すらあります。

【カカリには、まずは「ツケノビ定石」を使ってみよう!】

とはいえ、

この書籍は、題名は、

【囲碁】「ツケノビ定石」を使ってみよう!! いちばん最初に学ぶ基本定石の考え方です。

カカリには、まず「ツケノビ定石」を使ってみて下さい。

置碁定石と言う人もいますが、使い時を間違えなければ互先の碁でも、有用な定石です。

まずは、カカリに対して「ツケノビ定石」を試してみて(もちとん、その他の応手も試してみて)、色々な考え方に触れてみて下さい。

『基本の3つの変化』

【この書籍で紹介する主な三つの変化】

さてさて、

前置きが長くなってしまいましたが、

それでは「ツケノビ定石」について、詳しく解説していきます!

黒4までが、前述した「ツケノビ定石」の最初の形。

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ここかから白の選ぶ着手によって分岐が始まります。

この本で紹介する変化は、次の図で示すA、B、Cになります。

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ここから白がAとノビを打った場合、Bとツケを打った場合、Cと三々に入った場合について取り上げます。

【ツケノビ定石の3つの変化は】

『①白5とノビを打った場合の変化』

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『②白5とツケを打った場合の変化』

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『③白5と三々に入った場合の変化』

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以上の3つです。

それぞれを掘り下げるつもりですが、その前に、実際にツケノビ定石が使われている棋譜をみて、その選択の「印象」を感じて欲しいと思います。

【ツケノビ定石の変化を掘り下げる前に】

ここからは19路盤を使って解説していきます。

右上隅でツケノビ定石が現れました。

この形になった時の印象はいかがでしょうか?

黒が良さそうですか?白が良さそうですか??

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「ツケノビ定石」は、定石(お互いにこう打っていれば部分的に不満のないワカレ)ですので、お互いにしっかりした形で落ち着いて不満がありません。

9子局の碁なので、先に9個石を置いているワケですから、リードを保ったまま局面が進んでいることになります。

【コスミツケで攻めたいという場合】

しかし、人によっては9子も置き石があるし、右辺の黒〇の石があるんだからもっと得をしたい、コスミツケで攻める方がもっと良くなると教える人もいると思います。

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それも間違いではありません。

確かに着手の厳しさでいったら、コスミツケの方が強い手です。

相手の石を攻めているコスミツケの着手。しかし、この場合は、ツケノビ定石ほど右上隅の黒石がしっかりしているワケではありませんので、いずれ反撃をくらってしまう可能性もあります。

「ツケノビ定石」の場合は、黒の石がしっかりとします。その代わり、白の石もしっかりしてしまいます。

どちらの進行でも、良い点と悪い点があるのです。

どちらで打っても一局ですが、ここでお伝えしたいことは、「いちばん厳しい手が、その人の棋力によっては最善の手になるとは限らない」ということです。

【ハサミを打って白を隅に閉じ込めようかな】

黒2のハサミを打って、白を三々に閉じ込めれば、中央の黒が厚く十分でしょうと考える人もいると思います。

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しかし、ハサミを打ったからと言って必ず白が三々に入ってくれるとは限りません。

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相手が白3と一間トビをしたり、Aなどと両ガカリを選択する場合もあるでしょう。

当たり前ですが、その場合は、また違った変化を勉強しなければなりません。囲碁は、変化が多ければ多いほど複雑になり、難しくなるイメージです。

まずは「ツケノビ定石」を使ってみましょうとオススメするのは、このような変化を避ける意味合いがあるのです。

「ツケノビ定石」は、最初に習う簡明な定石。

これからまとめる基本の変化を押さえておけば、「ほぼ」その通りになるので、最初に覚える定石としては最適だと思まいます。

囲碁を打つ時の最初の武器にしてみて下さい。

※ただし、相手が基本の変化を知った上で、あえて違う手を試してくる場合もあったりはします。それが「ほぼ」と書いた理由です(囲碁は奥が深いですね…)。

【ツケノビ定石で打ってみましょう!】

こちらが先程も載せた「ツケノビ定石」の形。

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前述したように、「ツケノビ定石」を打つとお互いの石がしっかりと落ち着きます。

いくつか石を置いている置碁なら、なおさら「ツケノビ定石」は有力です。

ツケノビ定石が、互先の対局で何故打たれないかというと「ツケることによってお互いの石が強くなってしまうから」です。攻めてみたいと思う時は、「ツケノビ定石」がそぐわないと感じる場合もあるでしょう。

いずれ「ツケノビ定石」を打ってしまうとモッタイナイと感じる時もくるかもしれませんが、最初の内は、まずは「ツケノビ定石」を使って囲碁を楽しんでみて下さい(いずれ変化が複雑になっても、ハサミやコスミツケを選択しようとする時がくれば、それは棋力が向上したという証です)。

【ツケノビ定石が効果的な場合】

例えば、

こういう局面だと、ツケノビ定石が有効と考えられています。

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右辺は白△の石があり、白が強いトコロです。ツケによって右辺の白を固めても惜しくはなく、逆に上辺は黒〇の石があるのでツケることによって上辺の黒模様を広げることができます。白は、右辺だけに石が偏っている印象すらします。

【ツケノビ定石以外を選択したい局面】

先程と似たような局面ですが、右辺に黒△の三子がある場合などは、白の石を攻めてみたいなと考えるのが有効です。

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こういう局面では、上級者は「ツケノビ定石」を打たないという選択肢もあるでしょう。

白1の石は、黒と黒の間にあるので「ツケノビ定石」を打って相手の石を落ち着かせるよりも、黒はコスミツケやハサミで攻めて主導権を取った方が良いと考える場合もあるのです。

次の図のように、コスミツケを選択するのも有力です。

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このような展開になると、相手の白石の根拠がまだはっきりしていません。

言い方を変えると、次の図のように「ツケノビ定石」を打った時よりも、白の石が強くならないのです。

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とはいえ、ここで「ツケノビ定石」を選択したからといって、すぐに負けになるワケではありません(上辺の黒〇があるから、ツケノビ定石でも打てるって思う人はいることでしょう)。

最初の内は「ツケノビ定石」を選択すると、お互いの石が強くなる、それが良いか悪いかを悩まなければいけないということだけを覚えておいてもらえれば十分だと思います。

それでは、お待たせしました。

『①白5とノビを打った場合の変化』
『②白5とツケを打った場合の変化』
『③白5と三々に入った場合の変化』

について、それぞれ詳しく解説していきます。

『①白5とノビを打った場合の変化』

10もう一度

白1のカカリに対して、黒2のツケ、白3のハネに黒4のノビ、

そして、白5とノビを打った場合の変化です。

【白5とノビを打った場合の基本形】

白5とノビを打った場合の変化は、黒6のオサエから、白7のカケツギ、黒8の一間トビと、次の図のような形になることが多いです。

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黒6を、白5の左に打ってしまう方をたまに見かけますが、しっかりと隅をオサエていて十分です。黒8は相手の出切りを防ぐ大切な守りの手。

また、次の図のように、白7をカケツギではなくケイマで打ったり、黒8も一間ジマリではなくケイマで打ったりと工夫の余地はあります(それぞれ定石形です)。

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【白からの出切りは大丈夫】

黒8の守りがあれば、白9の出切りは問題ありません。

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白11と切りを打たれたとしても、それは成立しません。黒は、黒12のアテから「シチョウ」の手筋で白の石を取ることが出来ます。

【黒8まででひと段落】

黒8まででツケノビ定石はひと段落です。

定石が終わると、お互いの石が強くなります。強いことを、囲碁では生きている(根拠がある)と表現したりもします。

格言で「生きている石の傍(近く)は小さい」という言葉があるので、お互いが強くなっていれば、早く別の大場に向かうことがオススメされています。

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たまに白9などと、定石後に定石の近くに続けて打ってしまう人を見かけますが(もちろん、この手が絶対に悪いということではありません)、白9では他の隅へのカカリや三々いりなどの大場へまわる方が自然です。

右辺の黒〇の石があると、まだ白の石が弱いんじゃないかなと感じてしまい用心して一手入れてしまうのだと思いますが、大場に先行して大丈夫です。

【黒に追求された時に一手入れれば良い】

白9などと大場に先行して問題ありませんと書きましたが、黒10と打たれた時などは白11と一手かけて打つことは大切です。

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黒10と打たれた後に、白は手を抜くと、相手に攻められてしまいます。

相手が来てから対応すればよいので、定石後は定石の近くに打つ手は不要なのです。もう一度言いますが「生きている石の傍(近く)は小さい」です。

【白からの強手】

白7で、×印のナナメの傷を守らずに出てくる場合も考えられます。

白7では、カケツギやケイマで×印の傷を守るのが定石ですが、このように白が打ってきた場合はどうすれば良いのでしょうか?

追加25-1

結論を言えば、この手は白の無理手(成立しない手)です。

正しく黒が対応すれば、白の石は取られてしまいます。

しかし、とは言っても、その「正しく対応する」のが難しい。

以下で簡明な対応と、難しいけど真っ向から受け止める対応を紹介します。

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