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【まとめ】第5回 多様性について

日時11/28(水) 16:00~17:30 参加人数:5名

今回のサロンでは、官公庁の障碍者雇用比率水増し問題を取り上げ、今一度多様性を見直すことが必要ではないかという問題提起のもと議論が行われた。

【議題】
1.あなたの考える多様性とはなにか?
2.この社会が多様性を推進する目的とは何か
  また、それを測定可能化することは必要か?
  その理由も添えて。

3.あなたの考える多様性ユートピアとは

【議論の様子】(→はまとめを表す。)

1.多様性とは何か

  人種・身分・性別なく尊重し合うこと。
  社会的マイノリティを一般人扱いする、政策、女性によって
  異文化への違和感、嫌悪感を抑え込む、書き換える
  影響力を与えるアクターが多い(人種、性別、身体的特徴、政治思想)
  社会の中に自分とちがっている人が多い、寛容性
  必然性を伴うグローバル化
  イデオロギーとイデオロギーの妥協点
→人々の多元性(人種、性別、身分)、違う人々への寛容性(制度、価値観など)である。

2.推進する目的と測定可能化について
   マイノリティを組み入れるために、マジョリティの能率が向上する
   社会ダーウィニズム、ナショナリズムの発生を防ぐ。
   アカデミックの観点からより多くの考え方が必要だ(百家争鳴)
   グローバル化の流れ、時代の趨勢
   過去への反省(ナチズム、朝鮮人虐殺、ルワンダ)
   社会に多くの側面を持たせることにより、構成員の選択肢が増える。→過去への反省、時代の流れ、ブーム、社会への利益など様々な側面から必要とされる。 

測定可能化は必要か?
それが目的化しない限り必要(中身が最も重要) 
今までマイノリティで、社会に虐げられていたものたちがいきなり「権利を与えたから自由競争をしろ。」といっても無理があるように思える。そういった点で多様性保護の初期段階としては必要である。将来的には不要だ。
数値目標の設定によって組織、社会などの自由が奪われるから必要ではない。→数値目標については、それが目的化するという懸念からの反対の声と、合理的配慮の視点からの賛成の意見に分かれた。

多様性の孕む矛盾(議題を話し合う上で新たに生まれた議論)
多様性を推進しようと言う人たちが、多様性を阻害するような意見を言う人々に対してその言説を正すようにいうことは矛盾しているのではないか。
多様性の推進によって、他人を批判することがはばかられ、何も言わないこと、立場を示さないことが一番よくなるのではないか。
→結局のところ批判は認めるが、存在否定や迫害をしないという、「批判」と「存在否定」の分離、寛容性が必要。

3.多様性ユートピアとはどのような場所?
弱者や社会的少数派が不自由のない生活をおくることができる場所
「多様性」は重要であるという共通認識がある上でお互いの違いを尊重し合う場所
人間図書館(属性の違う複数のものがひとつのところに集まり、相対化、優越のない場所)
嫌悪感の反省ができて、感情に支配されず、自らの感情の否定もない場所
多種多様な人々が集まり、「嫌い」と「存在否定」の分離がされる場所

【主催者総括】
 「多様性」というものは現代の私たち、そして社会に求められている一つの要素となっている。その理念は、国連憲章、憲法、法律という形で示されている通りだ。しかし、その実体を、その目的を私たちは捉えられているだろうか、考察できているのだろうか。ただ、表面的に「多様性」と謳えばよいというようになっていないか。そういう疑問が主催者のなかに生まれれ、これをサロンのテーマにしようとした時に、ちょうど「官公庁による障碍者雇用の水増し」という問題が明るみになった。これは、私たちの社会に多様性を求めていたはずの公の機関の水増しである。少なからず、多様性の正当性が揺らいだのだろう。やはりもう一度話し合う必要性があるようだった。
 今回のサロンでわかったことは、私たちが日々目にし、耳に聞かされている多様性とは様々な側面から要求されうるということだ。グローバル化による時代の趨勢、多様なアクターが存在するほうが社会への便益が高いと考えられること、そして過去への反省。それを肯定する理由は様々なものがある。また、多様な側面があるゆえに様々な対象があげられる。障碍者の人々、女性、LGBTの人々、特定の人種、時として何を組み込むのか。できるだけ多く組み込むことが良いだろうが、それが自然なかたちであるのか、はたまたある程度の数値による強制が必要になってくるのか。それはその社会の過去、めざす未来、目的によって変化していくのだろう。どの社会も少なからず多様性が求められていることは間違いない。また、上で挙げられたように多様性とともにそれを担保するような、批判の自由と存在否定の分離といった寛容さが社会、そしてその構成員にもとめられるだろう。
 最後の参加者各々が描く、多様性ユートピアではそれぞれが自分の描く多様性とその姿を皆に提示した。参加者各々が自らの言葉によって示したユートピアの実現に向けて、そしてユートピアの構成員として自らの日々の生活において多様性を実践していただきたいと思う。善き社会の実現にむけて参加者は歩みだしたのであった。
 お忙しい中参加して頂いて、ありがとうございました。