空気について3

【まとめ】第二回「空気」について

日時:10月23日(火)18:15~19:45 場所:ラーニングコモンズ

参加人数:7名

議題:①空気とは何か、そのメリット、デメリット②私たちは空気とどうむきあっていくべきか

①ここでは空気の定義とそれが孕むメリット、デメリットについて話合った。冒頭、「空気」を感じたことがある人に挙手をしてもらうと参加者の全員が手を挙げた。

定義については個人よりも集団を優先させる思想であること、教義のない秩序、宗教、フェロモン、複数人で発生するもの、意思疎通の流れをコントロールするもの、空気の通用するウチと通用しないソトを分ける論理であると言った議論が見られた。

メリットについては、コミュニケーションの理性が図られる、集団の協調性がとれる、責任をとらなくてもよい、その空気になじむことができると楽などと言った議論が見られた。

逆にデメリットについては、個の軽視、差別が生まれる、空気になじめない人が苦しい、関係の固定化、マンネリ化、理不尽な上下関係、責任の所在が不明、変わり者がたたかれるなどと言った議論が見られた。

空気の特徴とは良くも悪くも、複数、集団の関係性を重視することであると考えられるのであった。

②ここでは①を踏まえたうえで、空気への対処法を話し合った。

空気への対処の仕方については読む、読まない、作る、壊す、逃げるなどの方法が参加者から提示された。

まずは、空気というものは発生することを割り切ってとりあえず読んでみる。そのなかで不正、悪意などに空気が流れれば、その空気を読まない必要性が出てくるという議論が展開された。

そして次に、空気は早い者勝ちであるという考えから、あらかじめ自分に有利な空気を作ってしまえば良いのではないか、空気が悪くなれば逃げればいい、空気が気持ち良い共同体で過ごす時間を長くすればいいなどという、「読む」、「読まない」とは一見変わった視点に立った、議論も見られたのであった。

最終的にこれと言った一つの結果に合意することはなかったが、議論を終えた参加者からは空気を疑う必要があると考えるようになった言った声が聞かれたのだった。

また、議論のなかでは中国に「空気読めない」という言葉が輸出されていることや、「とりあえずビール」、「東芝の不正会計」、「万引き」など空気と関連ある様々な例示が参加者からなされた。

【主催者総括】

今回のテーマは空気であった。「KY」や「忖度」と言った言葉が並ぶ現代、また神風特攻隊を肯定する理由にも使われた言葉、そして少なからず参加者全員が感じたことのある空気。それはいったい何なのかもう一度見つめ、それへの対処法を考えることを目的として今回はこのテーマにした。

①では未だ、使われてはいるけれども明確には定義されてはいない「空気」というものについての解明をした。そのなかではやはり集団という言葉が多く聞かれた。空気は複数人で発生し、その間に生まれる、実態のわからない均衡点なのである。その均衡によって時には、安心したり、協調性がはかられたり、存在意義を見いだせたり、時には、自分が見えなくなったり、マンネリ化したり、変化しなければならないのにできなかったりする。良くも悪くも空気は関係性を結ぶ私たちの周りに存在し、決まりどころのないものなのである。

②では空気への対処法について話し合った。ここでの議論では①で話し合ったこともあり、空気というものがあることを前提としたうえで建設的なかたちで様々な意見が飛び交った。ある人はとりあえず読めと言い、ある人は壊せと言い、ある人は自ら作り出せと言い、ある人は逃げろという。それぞれがそれぞれの意見に対して共感を示しながら、質問を投げかけ合いつつ議論をすることができた。これを踏まえて空気へ対処するためには、まずは空気を疑ってみるということが必要ではないかと考える。そこからの対策は上のように多種多様な方法があるだろう。

これからますます独創性が重要視されてくるなかで私たちは集団をベースに考える思想である空気との付き合い方も一旦整理することが求められるだろう。私たちは捉えどころのない、「空気」というものを今一度疑い、そして時には読まないことや壊すことも必要となってくるだろう。まずは疑いそしてその中で個別具体的な経験を重ね、トライアンドエラーのなかで空気との付き合い方を見出すことが求められる。

最後に、雨、夜遅いなか、大学まで駆け付け、活発な議論を展開してくださった参加者の皆さまに感謝します。

写真:議論で用いたホワイトボード


次回は11月7日(水)テーマは「孤独」