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「生ジョッキ缶」は生き残ることができるか? 【MADMEN's view for Beer】

アサヒビールが投入したフルオープンの缶ビール「生ジョッキ缶」。スーパードライへの採用後、一時は販売休止期間もあったが現在では供給も安定し他の一部商品に同じ仕様の容器が採用されている。
スーパードライに限って言えば、アサヒはあくまでメインは従来型のプルタブ缶だと考えているだろう。販売店での生ジョッキ缶の配置数は、広告投下量を考えると極めて少ない。

おそらく生ジョッキ缶は長続きしない(させない)のではないか。当のアサヒビールも、あくまで「話題づくりのギミック」として位置づけているかもしれない


そもそも缶ビールはコップやグラスを別に用意する必要がなく、それらを事後に洗浄する手間も省ける合理的商品だ。生ジョッキ缶はプラスの要素として開封による泡の生成を加えている。だが、

ビール好きは、缶ビールでもグラスを使う

しかも個人レベルでも銘柄ごとに使い分けたりと、まったくもって始末のワルい嗜好品だ。
それはアサヒだって百も承知のはずだから、「節水に貢献するエコな商品」というような打ち出しもしていない。

その肝心の「泡」だが、

写真のような理想的な泡立ちをするのは(筆者にとっては)極めてまれなのだ。ローンチ当初、おそらく多くの人が吹きこぼれを経験したはずだ。原因は明らか

生ジョッキ缶商品は「移動に弱い」のだ。

「8時間以上冷やせ」とあるが・・・

上記写真の泡は一昼夜保存したものである。
帰宅したらすぐにも飲みたいから途中で寄り道しても買って帰るのが缶ビールだ。発売直後から「吹きこぼれてしまって泡ができない」という声は多かったが、商品仕様に消費者行動が一致していないことによるものだ。

大型店では動画での解説を流したり

いったん吹きこぼすと泡が立ちにくくもあった。その回復策の指南もあるのだが、これまた(僅かとはいえ)冷やしたビールを温めるような作業が求められるようにも思える。
買って帰ったビールはすぐ飲むな、泡立てに失敗したら手で温めろ(?)と、これほどの「儀式」を消費者に要求するビールは記憶にない

今後アサヒは生ジョッキ缶のバリエーションを微妙に増やして容器(専用トップ)の消化を進め、想定量に達する見込みだけは立てて2024年中にはエンドマークを打つと予想する。

「次の展開」へのヒントはあったか


本記事を書くために試したのはノンアルコール版だが、他社も含めたビール系商品の中では炭酸を強く感じた。
それが上述の「泡を立てるために缶を手で包む」ことでの冷涼感の僅かな損失への対策と見るのは大げさだとは思うが、ビール系ノンアルコールとしては味のレベルは高い。「強炭酸(?)という手法が活きる2024年夏商品を期待したい。

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