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成果の対価を作業の価値へ【biz】

スケジュール上は既に年末として動いています。案件は大小さまざまありますが、一番大きいものは長い取引が続いているクライアントの広報用定期刊行物の編集です。当初年1回、年末のみの発行だったものが2回になり現在は3回となっています。
もちろん営業努力を重ねた結果と自負していますが、印刷物としての成果(誌面づくり)に満足してもらっている面も多分にあるでしょう。

その刊行物に大きな転換期が来ました。
これまで印刷物として納品してからクライアント側で購読者に封入発送していましたが、今回の年始号からこれを外部委託することになりました。

これに伴って、全ての作業スケジュールが今までよりも大幅な前倒しになります。これまでも年始号は発行日を遅らせることはできませんでしたから、たとえクライアントからの原稿が遅れても年内納品に間に合わせてきました。
今回からは発送を行う外部業者への納品となりますので、納期が2週間繰り上がります。相当厳しい進行になることは明らかです。
これで今までと同じ料金で受けてしまっては自分の負担が増えるだけにしかなりません。

このため、料金改定の申し出をしました。編集料、印刷データ作成料、校正料など全面的に大幅アップの見積りです。長く続けてきたこの案件を失う可能性もある額だったと思います。これまでクライアントは一冊いくらの印刷物単価で見ていたはずですから。

物理的原材料のない作業に対する料金アップですので、なかなか理解してもらうのも難しいところがあると想定はしましたが、可能な限り算出根拠も明示することで料金改定は承諾されました。もちろんこれまでの実績もモノを言ったでしょう。
クライアントの性格上、まだまだ印刷物の占めるボリュームは高く、それを複数の会社に分配しています。こちらの見積りに満足できなければ、その額を基準に他社との交渉もできたはずです。

「これまでの実績」にも色々な要素があるとは思いますが、一番は編集力ではなかったかと考えています。
預かった原稿を誌面に落とし込んで整えていくだけならどこの印刷・制作会社でもできるはずです。私は預かった原稿の精査に一番の時間を費やし、誤字脱字の修正補正は当然、過剰なほど多用される句読点の整理、無用な漢字のかなへの変更だけでなく、より豊かになる表現の提案まで行ってきました。そこが他社との差だったでしょう。そのクオリティーを従来より短時間でも失わせない作業の価値(換価)に理解を得られたのは大きいと思います。


私は「この道ひとすじ」で来たわけではないので異業種在職時代に培われた能力の上に、現在の実務を通して力を上乗せすることができました。まあ、運が良かったとも言えますが

企画、編集、ライティングなどは実務に勝る場はありません。
近年は新しい働き方として、当所(note)でも着目したWebライターを名乗る方が増えていますが、実務経験の乏しさから力をつける前に去っていくケースも少なくはないはずです。
下地なしからスタートするなら、せめて実務経験の豊富さが明確な人から学ぶのが適切でしょう。結果それが、文字を連ねる日々の作業に価値を生む第一歩だと思います。

あ、学ぶなら私みたいなのからではなくね。


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