第五話「暗号解読」

青山は、ぼんやりとプロジェクト・エクリプスのロゴを眺めていた。ふと、彼はそのロゴをデザインしたのがプロジェクトのメンバーの一人、女性だったことを思い出した。しかし、彼女の顔や名前はどうしても思い出せなかった。彼女がロゴに込めた意味や、彼女自身についての記憶がぼやけているようだった。


彼は目を閉じ、深く集中しようとした。すると、ふとした瞬間に、彼女がロゴについて語っていたことが思い浮かんだ。彼女はそのマークに特別な意味を込めていたのだ。それはプロジェクト・エクリプスの目標だけでなく、彼女自身の何かを象徴しているように感じられた。彼女はそのマークに「秘密の印」と呼ぶべきものがあると、ある日彼に打ち明けていた。


彼女がロゴの特定の部分を指し、「ここに私の小さな秘密が隠されているの」と言っていたことを思い出した。それはロゴの中心部分にある、微妙に異なるパターンだった。彼はその部分をよく見つめ、何か手がかりが隠されているのではないかと感じた。





青山の脳裏にふとある考えが浮かんだ。彼が以前開発した画像解析ソフトウェアを使えば、この複雑なロゴの暗号を解読できるかもしれない。そのソフトウェアは、複雑な幾何学模様やパターンを解析するために特化して作られていたのだ。


青山は急いでソフトウェアを起動し、ロゴの画像をアップロードした。画面には無数の計算式とアルゴリズムが流れ、ロゴの各部分が詳細に解析され始めた。青山の目は画面に釘付けになり、彼の心臓は期待でドキドキしていた。


数分後、ソフトウェアがついに解析を完了し、ロゴのパズルピースが正しい位置に配置されると、驚くべきことが明らかになった。ロゴは見事に「KEY」という単語を形成していた。青山は息をのんだ。彼はこの単語がUSBメモリの暗号解読の鍵であることを直感的に理解した。


彼は興奮を抑えながら、速やかにこの「KEY」という単語をUSBメモリのパスワード入力欄にタイピングした。そして、エンターキーを押すと、USBメモリのファイルが解読され、ある画像があらわれた。


つづく

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