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脳出血1日目

それは、突然のことだった。会社で打ち合わせをしていて急にしゃべるのが億劫になる感覚、ろれつが回らない。お酒を飲み過ぎた後のような感覚。

そしてふらつき。一瞬脳裏をよぎる「脳出血?!」でもそれを認めたくない自分。「血圧がさがりすぎただけ」「低血糖になったかも」「体調が悪いから先に帰るね」と社員に伝えて家に向かう。もし倒れるとしても嫁がいる自宅でという意識と、自宅近くの総合病院にいつも診てもらってるからという意識があった。会社でくたばってたまるか。

青山一丁目から地下鉄半蔵門線に乗車。ずっと左右の手の指を動かしながら麻痺がおこっていないことを確認「大丈夫だ。俺は脳出血じゃない」言い聞かせる。

最寄駅を降りて、自転車置き場に向かう。自転車に乗ってみる。が別にいつもどおり。低血糖かもしれないから、コンビニによって甘いものを買おう!左手にプリンを持ったがそれがふいに左手から滑り落ちる。なんか変な気もするし、ろれつもまわらない。

自宅マンションに帰宅する「なんか体調が変なんだ」と嫁に言う言葉がろれつが回ってない。自宅で血圧を測ると205。これは低血圧じゃないぞ。すぐに三井記念病院の代表電話に電話する「救急外来にいきたい!症状?もともと高血圧で通院していていまろれつが回らない!!しかし救急外来にまわしてもらってもつながらない!!もう救急車を呼ぼう携帯で119を回した。「火事ですか?救急ですか?」嫁に電話で伝えてもらう。サイレンが遠くに聞こえる救急隊員が部屋に来た。血圧を測ってる。220高いな。。。


ぱたかぱたかぱたか・・・呂律を確認するテスト。うまく言えない。電車の中では言えたのに。俺はどうなっちゃうんだ。でも妙に冷静な自分もいる。ここであがいても仕方がないという諦めか、俺なら大丈夫と言う根拠のない自信が成せるわざなのか。

この1年で救急車は2回目慣れたものだ。病院に着いてストレッチャーに運ばれて救急病棟で診察が始まる。救急外来の医師や看護師が慌ただしく俺の診察をして点滴の準備をする。自分の名前とここの場所と日付を聞かれる。記憶は鈍っていない。やばいおしっこが漏れる。尿瓶をくれーー!!

若い美人看護師が俺の息子をつまんで、尿瓶の入り口にあてがう。「ついでに尿検査もしますからねー」そんなにまじまじ息子を見つめられたら緊張して出るものもでない。まわりのおばさん看護師がひやかすように「見られてたら緊張してでないわよねぇ」なんという羞恥プレイ・・・尿瓶と息子をもぎ取り自分で処理をする。あぁ気持ちいい。誰が言ったか知らないが、男性の射精はがまんしていたおしっこを出す程度の気持ちよさらしい。まさにがまんしたおしっこを出すのは、射精並みの快感。思わず「あぁぁ」という声が漏れる。美人看護師にまさか心の声を聞かれてないだろうな。すぐにCTを撮りに2階へ移動する。CTを撮った後で戻ってきて医師が何かを嫁とおれに向かって叫んでる「脳出血!!脳出血!!」いまからは血圧をコントロールする闘いだと。これ以上出血が広がったら緊急手術をすると。気が付くとベッドにあるはずの左手が動かない「うそだろ!」「これがマヒ?」「これからパソコン使えない・・・バイクにも乗れない」マジか。。。おれはおれの左手をまだ許さない。右手で左手を掴んで自分でリハビリ開始。左手よ動け!!

そして集中治療室ICUへ運ばれて終了。

絶対にこの病気に負けない。人生の運はチャラ。きっとこの困難も何かにつながっているんだ。はやく尿管とれないかなぁそう言い聞かせて眠った入院初夜。


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