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Weekly iGEM〜A User’s Guide to Golden Gate Cloning Methods and Standardsの解説〜

今回は、ACS Synthetic Biologyという合成生物学に関する論文雑誌に掲載されている論文の中から「A User’s Guide to Golden Gate Cloning Methods and Standards」という論文について内容をまとめていく。

論文の情報
・Doi:ACS Synth. Biol. 2022, 11, 11, 3551–3563 
・筆頭著者  Andrea Giachino
・現在、この論文誌で最も読まれた論文(Article viewは驚異の43000!)である。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36322003/

概要


前回まとめたDNA工学やDNAアセンブリの応用版みたいな話。
制限酵素でDNA断片をいじくる技術は、モジュール化され標準化されており、さまざまな手法のサブファミリーが含まれるが、最も広く採用されているのはMoCloとGolden Braid標準である。
この論文は、ゴールデンゲートアセンブリの初心者向けガイドであって、利用可能な様々な標準を比較している。さらにこのゴールデンゲートアセンブリの最新情報についても記述されている。

ゴールデンゲート法とは?

(ここから本題)
・ⅡS型エンドヌクレアーゼを用いた制限酵素を介したアセンブリ方法

エンドヌクレアーゼって何だっけ??
→特定のヌクレオチド鎖のホスホジエステル結合を切断する酵素
→これまで見てきた制限酵素はエンドヌクレアーゼの1種
→ⅡS型は分解過程にATPを使用しない(Ⅱ型の例としてはEcoRⅠなどがある)

・OnepotでたくさんのDNA断片をアセンブリできる
(前にまとめたギブソン・アセンブリと似てますね)
・直鎖DNA、環状DNAどっちもいける→プラスミドに情報を保存できるよん
・CRISPERからタンパク質の局在化まで色々な実験や研究で使える。

しかし、現状なかなか浸透していない方法である(残念🥺)。

図1  ゴールデンアセンブリの2つのやりかた(論文より引用)

制限酵素の役割


制限酵素は、その認識配列に対して一定の距離でDNAを切断する。つまり、その認識配列は、エンドヌクレアーゼがDNAを切断する場所を決定するだけで、どの塩基を切断するかは決定しない。単一のIIS型エンドヌクレアーゼは、エンドヌクレアーゼ認識配列を標的切断部位から適切な距離に置くだけで、任意の塩基配列のDNAスティッキーエンドを生成することができ、切断部位の位置と向きを適切に設計することで、認識配列が最終的な構造体に保持されないことも保証される。

Ⅱ型は、認識部位と切断部位の2つの部位がある。(参考以下の図)

論文より


目的ベクターの選択
・アクセプターのバックボーンを供給する。
Ⅰプラスミドのレプリケーター
Ⅱ選択可能マーカー
Ⅲエンドヌクレアーゼ認識配列の間の脱落マーカー
これらはアセンブリが成功するとアセンブリされた遺伝子に置き換わる。
認識配列は外向き。
アセンブリの目的ベクターは、アセンブリの全てのパートベクターと比べて異なるマーカーを持たなくてはいけない。
(大事~~~!!!!!)

階層アセンブリの実行
ゴールデンアセンブリは、階層アセンブリすなわち、組み立てられたProductをDNAパーツとして後続の組み立て工程で再利用できることである。
各転写ユニットを別々にアセンブルし、その後別々のユニットを1つのアセンブリーに統合させるという手順を踏む。
仕組みが複雑なので詳細はここではカット。

まとめ
DNAのアセンブリに万能的な手法はない。
この問題に取り組むには、ツールメーカーとユーザー(合成生物学者)のコミュニティの活発化が重要だ。(井上翔也)


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