第9節横浜FC戦(H)1△1

無敗の首位相手に得た勝点1

8節終了時点で首位に立つ横浜FCとの一戦。
序盤から試合を優勢に進め、いくつか先制のチャンスを得るものの、前半終了間際に失点。
ただラストワンプレーで追いつき、終わってみれば1−1のドロー。
千葉が12本シュートを放ったのに対して、横浜FCはわずか5本。
それでも数少ないチャンスをしっかりと決める決定力の差が、そのまま千葉と横浜FCの勝点の差に現れているのだろう。

プレス合戦

戦前の予想通り、横浜FCは高い位置から積極的にボールホルダーに対してプレッシャーを与えていく。
しかしそのプレッシングは効果的とは言えなかった。
各選手の出足は鋭いものの、パスコースの限定が甘く、連動したプレッシングが行えないのだ。
またチームとして、どこでボールを奪うかが設定できていないようにも見えた。
そのため千葉は容易に横浜FCのプレスの1列目を突破することができていた。
仮にうまいこと横浜FCのプレスがハマったとしても、前に蹴り出すことでプレスを回避。
そしてこの前に蹴り出したボールを、櫻川がしっかりと収めたことが何より大きかった。
落ち着いたビルドアップで横浜FCのハイプレスをいなし、無理はせずにロングボールで逃げる。
一方で、横浜FCのボール保持に対しては千葉も高い位置から積極的にプレッシャーをかけていった。
ここでも櫻川のファーストディフェンダーとしての働きは大きかった。
横浜FCのビルドアップは、中盤の30番手塚が最終ラインまで降りて、千葉と同じように4−1−4−1の形に可変してボールを動かしていた。
それに対して櫻川は、中盤の「1」を担った14番田部井へのパスコースを上手に消しつつ、ボールホルダーへアプローチ。
それに連動するように後ろの選手もパスコースを限定しながら、縦パスが入ったところで刈り取る。
このイメージがチーム全体で共有できていたため、特に前半は横浜FCにほとんど何もさせない守備をすることができていた。

勝点差「11」

そんな中で前半39分、千葉は絶好の先制のチャンスを得る。
この試合、ゴールキックを後ろから繋いでいた横浜FCだが、ほとんどのボールを千葉に回収されていた。
それを嫌がった横浜FCのゴールキーパー、ブローダーセンはロビングパスを大外につける。
しかしそれも千葉が高い位置で回収。田口のヘディングパスはペナ角でフリーになっていた見木へ。
見木は反転すると一気にニアゾーンへ侵入。

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この時、見木には
・ディフェンスラインとゴールキーパーの間を通す低く速いクロス
・大外の高木への浮き球のクロス
・遅れて入ってきた田口へのマイナスのクロス
という3つの選択肢があった。
選んだのは低く速いクロス。櫻川が飛び込むが触れず、大外で詰めていた高木も決めきれない。
見木のその選択自体はけして悪いものではない。
ここで言いたいことは、ここで決めるか決めないかが、冒頭でも述べたようにそのまま千葉と横浜FCの勝点差として現れているということだ。
横浜FCが同じシチュエーションを迎えていたら、しっかりと決めきっていたのではないだろうか。
逆に言うと、そういうところできっちりと決めることさえできれば勝点を積むペースも自然と上がっていくはずだ。
そしてその鍵を握るのが、この日千葉でのデビューを果たしたチアゴデレオンソだろう。

3 on line

フットサルにおける3人の選手によるコンビネーションプレーのひとつに、「3 on line」と呼ばれるものがある、らしい。
これはボールホルダー含む3人の選手が同一線上に立つことを指す、らしい。
そういうものがあると知った上で千葉の試合を見てみると、特にサイドの崩しの場面において、この「3 on line」を意識した立ち位置をとっていることに気がつく。
例えば、4−1−4−1に可変してセンターバックがボールを持った際、センターバック、シャドー、ウイングバックが同一レーン上に縦一列に立ち位置を取る。
これによって生まれたのが、前半5分、最初のチャンスだ。
チャン、高木、福満が縦一列に並ぶことによって大外の新井一耀がフリーになり、際どいクロスを送るに至った。

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さらにそのクロスのこぼれ球を左サイドで回収した後、田口ー見木ー福満、田口ー見木ー秋山、見木ー熊谷ー福満と3 on lineを作り続けてニアゾーンに侵入。
前半11分には、右サイドの大外でボールを持った福満と中央で待ち構える櫻川の間を熊谷が突っ切ることで、櫻川へのパスコースを作っている。
フットサルでいうところの「サイ」と呼ばれる動きだ。

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後半になると、55分には鈴木大輔ー見木ー田口の3人の関係から田口が中間ポジションで反転、相手に引っかかってしまったものの、スルーパスを送る場面を作った。
これ以外にも、2人の選手の間のポジションを意識的に取っているシーンは少なくない。
フットサルからの流用かどうかはともかく、少なくともそれを意識づけるようなトレーニングは常日頃から行なっているはずだ。
3人のコンビネーションというとまっさきに思い浮かぶのが、いわゆる「3人目の動き」と呼ばれるフリーランだ。
時折、「千葉の攻撃には3人目の動きが少ない」という意見を目にするし、それは事実だと思う。
しかし3人でのコンビネーションは、なにもフリーランを伴うものばかりではないのだということは、今後ひとつの視点として踏まえておきたい。

次節、ある意味で首位よりやりにくい最下位の大宮が対戦相手。
3試合続いた上位との対決を無敗で切り抜けた真価が問われる。
上位には負けない、下位には勝つ。
昇格を目指す上での条件の一つだろう。

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