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20年後の自分

先日、奥さんが子供を身ごもったことがわかった。今は妊娠3ヶ月。早まって上司に奥さんの妊娠(と育児休業の打診)をしてしまったが、安定期に入ってからでもよかったなぁと今になって思う。

子どもができたことがわかってから、自分の心境にいろいろな変化があった。一番の変化は、この先何十年の自分の人生についてこれまでよりもリアリティをもって想像することができるようになったことだ。

僕は今30歳である。20歳の頃、僕は自分が30歳になっている姿をうまくイメージすることができなかった。なんとなく、このままずっと20歳あたりをさまよっているような気がしていた。(もちろん、論理的にはいつかは30歳になることはわかっていた。)

同じように、つい先日まで僕は、10年後の自分や、ましてや20年後の自分をイメージすることができずにいた。10年後の自分は40歳だ。・・・40歳!?なんだかめちゃくちゃ歳をとったような年齢に感じる。20年後の自分は50歳。もう「おじいちゃん」に片足を突っ込んだ年齢ではないか。

子どもができてからなぜ、これらの自分をリアリティをもってイメージできるようになったのかというと、子どもが育っていく過程がイメージしやすいからだ。自分自身の育ってきた過程を振り返ればよい。7歳で小学校に入る。13歳で中学校に入って何かしら部活をやる。15歳で高校受験、18歳で大学受験、一人暮らしを始める。4年後(あるいは6年後)に就職する。スムーズにイメージできる。

僕の母親は30で僕を産んだ。ちょうど今の僕と同じ歳で、僕を産んだ。つまり、僕の子どもが20歳になったときの自分は、僕が20歳になった頃の母親をイメージすればいいのだ。(こうして考えてみると、先ほど考えた「おじいちゃん」に片足を突っ込んだ年齢、というのはそれほど間違ってはいないのだなと思う。)

何のとっかかりもなく10年後や20年後をイメージしようとしてもあまりうまくいかないが、自分の過去をものさしにしてやるとそれらをイメージしやすくなるのだと知った。

20年後の自分をリアリティをもってイメージできるようになったことで、これまでよりも未来を見据えて行動できるようになった。

例えば最近、コーヒーを飲むのをやめた。コーヒーは大学生の頃からずーーっと飲み続けており一種のクセになってしまっている。が、そのせいで夜なかなか寝付けず、それをごまかすためにまたコーヒーを飲む・・・といった悪循環が発生していたりした。(一日一リットルくらい飲んでいた。)

なぜコーヒーをやめることができたのか?
それは、50歳の自分をリアリティをもってイメージできたからだ。50歳になった僕は、今よりもずっといろいろな病気の発病リスクが高くなっていると思われる。いくつかの病気については寝不足や寝不足からくるストレスが、発病リスクを引き上げることが知られている。どこかの時点でコーヒーを飲みまくる習慣をやめなければ、歳をとるにつれて発病する(最悪、突然死する)リスクが高くなっていく。

僕が50歳になったら、母親は80歳である。父親は86歳だ。妻の両親も似たような年齢である。これらの人々がいつまで元気でいるかはわからないが、いざとなれば地元に戻って、あるいは妻の地元に行っていろいろなことをする必要があるだろう。コーヒーを飲んで病気になっている場合ではない。そういったことが、理屈ではなくリアリティをもって実感できるようになった。

コーヒーの例は少し極端だが、これと同じような思いがいくつか湧いてきた。ジュースではなく青汁を飲むようになった。歯医者に定期健診に行くようになった。日々のお酒の量を控えるようになった。毎日少しずつ文章を書くようになった。人生についてたくさんの本を読むようになった。

20年後がリアリティをもってイメージできるようになったのは、明らかに僕の人生にプラスに作用している。これは、まだ名前もつけていない我が子から、僕への最初の贈り物なのかもしれない。


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