『スラムドッグ$ミリオネア』を見て vol.185
今、学んでいるコミュニティの方の紹介で、読書会ならぬ映画会参加させていただくことになりました。
読書会にはさまざまな形があるのですが、今回は本ではなく課題の映画を期日までに観て、当日を迎えるといった形のものです。
映画といえば、私の印象は観た後には、「ああ、終わってしまった」という寂しさと、時間をとられるというマイナスのイメージが強いため、なかなか避けていたのですが、たまにふと観たくなる時があり、そんな時には多くの学びを感じます。
例えば、先日たまたま観た映画は、「ショーシャンクの空に」です。
その時にもさまざまな気づきをもらいました。
長く多くの人に見続けられる映画には、それなりの価値とそれだけのエネルギーがあるのでしょう。
今回、課題映画として挙げられたのは、『スラムドッグ$ミリオネア』です。
【スラムドッグ$ミリオネア】
世界最大のクイズショーで、残り一問まで辿り着いたスラムの少年。間違えれば、一文無し。正解すれば、番組史上最高額の賞金を手に入れる。〈スラムの負け犬:スラムドッグ〉が全てを賭けて出した、人生の“ファイナル・アンサー”は―?
※映画説明欄引用
案の定、たくさんの学びをいただきました。
兄弟の思考
私がこの映画を見て、最も印象深く感じたのは交差する兄弟の思いです。
兄は生きることに必死に、弟は信念を貫くことに必死に。
言い換えるならば、兄は現実主義者、弟は夢追い人。
兄は欲望に素直、今を生きる、弟は環境を生きる、守る。
そんな兄弟の思いの誤差に心を悩ませながらも、それが錯綜する展開は非常に息を飲むものでした。
そして、最後は兄が弟の思いに折れます。
いや、兄の中にも弟のようにいきたいという羨む気持ちはあったのかもしれません。
そして、それを弟に投影して弟に託した。
その二人の心境の変化を幼少期から、繋げてみるのには自分もまるでその心の変化を開いて一緒に伴走しているかのような気持ちになりました。
作中では数度、運命という言葉が出てきますが、これこそがこの兄弟の運命なのかと感慨深いものになりました。
そして、同じ兄としてはちょっと複雑です笑。
運命を信ずるのは、自分を信じること
弟のジャマルは、ミリオネアというクイズ番組に出て、次々と問題の正解を選択し続けます。
しかし、それは彼が知識として持っていたものではなく、自分の人生を思い返した時に見えてきたもの。
それを答えているだけにすぎないのです。
神様のお導きと行った方がしっくりくるのかもしれません。
それほどまでに奇跡の正解を連発していきます。
そして、ジャマルは自分の記憶を全くもって疑うことなく、信じ続け答え続けます。
それが運命であると信じて。
そして、その信念の裏にはただ一つ、自分の思い他人ラティカと出会いたいという強い思いだけで行動していたのです。
その自分を信じて、動き続け転じていく様を運命とジャマルは言いますが、それは運命などではなく、自分を信じ続けた上での信念なのでしょう。
途中、子供を引き取っては体を傷つけ、お金集めの道具にする悪い商人に出逢います。
そこで、できた友人もたくさんいましたが、最終的に兄サリームとジャマルはそこを逃げ出します。
数年後、ラティカを探すジャマルはその時に両目が見えなくなってしまった、友人が歌を歌いお金を集めている乞食のようになっている姿を発見します。
たった数分のカットですが、これにはジャマル自身もそうなる可能性があった、そんな世界線があったということを示唆するには十分すぎる演出だと感じました。
そこを回避できたのは、やはり自分を信じ続けたからこそのものです。
スカウターモード全開
映画としては、何箇所か疑問に思う点もあります。
時代背景はどのようになっているのか、幼少期の男の子2人でこれまで生き残れるものなのか、兄と弟での性格の差はどこから生まれたのか、最後の兄の弟を思う気持ちは急にどこから湧いたのか、など多くの不思議に思う点はあるものの、それも映画を楽しむための一つの要因なのでしょう。
見えない部分をいかにして、想像するか、そこにどのようにストーリーを仕立て上げるのか。
まさに普段のコミュニケーションと同じでしょう。
相手の見えない背景を想像しながら、会話や対話をする。
映画にはそんな面白さもあるのかもしれません。
ともすれば、ただ一つの映画を見るにしてもレビューが全て、評価が全てではなく、その見た人それぞれにとって、映画の内容は異なり違った色を見せるのかもしれません。
だからこそ、このような映画会の場が生まれるのでしょう。
今からその時が楽しみです。
私にとってこの映画は、ビッグドリームというよりかは、「愛との対面」という印象が強かったです。
兄サリームの弟ジャマルへの兄弟愛、ジャマルのラティカへの愛。
これらを物語に乗せて、感じることのできる最高の時間でした。
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