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レッサーパンダとのふれあいについて ぱーと2

昨年、京都市動物園から“ふれあい”中止期間中は、お腹を壊すモルモットが減ったという報告がありました。

モルモットの“ふれあい”によるストレスに関して、動物園関係者とお話をする機会があったのですが、園館によって、“ふれあい”の内容が異なっているため、ストレスの度合いも異なる可能性があることを伺いました。
モルモットに関しては、園館によって「抱っこ」はOKで「撫でる」はNGのところ、「抱っこ&撫でる」ともにOKのところ、「餌やり」はOKで「抱っこ&撫でる」はNGのところなど“ふれあい”もいろいろとのことでした。
一概に“ふれあい”がモルモットの体調に悪影響を及ぼしていると短絡するのではなく、モルモットの生態や個体の性格などを考慮すれば、モルモットに悪影響を与えない“ふれあい”も実現できるのではないでしょうか。

いままで、“ふれあい”は、「抱っこ」と「撫でる」を動物に行うことと思い込んでいたようです。

動物によってどのような“ふれあい”があるのかの一例として、米国Houston Zooを紹介します。

草食動物には概ね「餌やり」ができ、「セルフィー(一緒に写真撮影)」が可能な動物もあります。また、「飼育体験」や「トレーニング体験」が可能な動物、興味深いのは、チータとの「トレッキング」があります。「抱っこ」や「撫でる」ができる動物はほぼ見当たりませんが、ゾウは「撫でる」ができると紹介されています。Houston動物園では、すべての“ふれあい”は、AZA規定に準拠しており、動物の健康が最優先され、飼育員の判断が下されると記載されています。また、すべての“ふれあい”体験には、専任者による生息地の環境教育プログラムが、組み込まれています。

Houston動物園の例にもあるように、“ふれあい”には、さまざまな種類があることがわかります。また動物との“ふれあい”を行うことで、動物を身近に感じる経験を得ますが、さらに環境教育を行うことで、動物から自然保全の重要性に結びつけています。ただ「かわいい」を消費するだけではなく、消費した分を自然に還元することが、動物園の役割であり責任であることを実感します。

以前、noteにて『レッサーパンダとのふれあいについて』を記していました。

上記noteを記したときは、“ふれあい”とは「抱っこ」と「撫でる」と思い込んでいたため、“ふれあい”の内容については記していません。このnoteでは、レッサーパンダの“ふれあい”にどのような種類があるかを調べた結果を記しています。

調査方法

Googleを用い”Red Panda Encounter”の文字列で検索できた動物園(オーストラリア7園、ニュージーランド1園、イギリス5園、アメリカ11園、カナダ1園の25園館)から、“ふれあい”プログラムの紹介内容をもとに抽出しました。流行病対策で、検索時には“ふれあい”体験停止中の園館も含まれています。

調査結果

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レッサーパンダとの“ふれあい”の種類は「餌やり」「バックヤードツアー」「写真撮影」「Q&A(飼育員への質問)」「おさわり(撫でる)」「飼育体験」「環境教育」「抱っこ」が抽出されました。
地域によらず「餌やり」体験がとても多いことがわかります。北米では「バックヤードツアー」が多いですが、オセアニアでは見当たらず、英国では1園のみ見つかりました。
「写真撮影」も各地域で見られますが、セルフィーが許されている園館と、園館が撮影して写真を渡す場合など、園館によって違いがありました。この「写真撮影」は、展示場内や、バックヤードでの撮影であり、一般的な動物園内での撮影とは異なります。

このように海外の事例を見ますと、日本で飼育されているレッサーパンダでも、「餌やり」とか「バックヤードツアー」などの“ふれあい”が実施されている園館が存在することがわかります。

飼育下動物への“ふれあい”は、批判もありますが、生息地の自然環境教育や生息地の保全活動の援助を行うきっかけになることもあり、今後も議論や動物にかかる負担の調査が行われるでしょう。

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