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レッサーパンダ:四川系とネパール系の生息域の境界線 ぱーと2

先日noteに記した記事の続きです。

もともとは、四川系レッサーパンダとネパール系レッサーパンダの境界線は、Nujiang川であると考えられてきましたが、以下の2本の論文により、二(亜)種の境界線は、より西側を流れるYalu Zangbu川、もしくは当該河川の下流となるSiang川の可能性があると報告されました。

この発見は、四川系レッサーパンダの生息国が追加されることを意味しています。

例えば、Wikipedia(2021年1月25日時点で)では、以下のように、従来の生息国が記載されています。

ネパール系(A. f. fulgens)は、インド北東部、ネパール、ブータン
四川系(A. f. styani)は、中国南部、ミャンマー北部

Nujiang川は、中国南部からミャンマー北東部の外側を掠めるように流れていることから、従来の四川系レッサーパンダの生息地は、中国国境内部です。しかし、Yalu Zangbu川は中国南部からネパール、ブータン北部の外側を流れ、インド北東部のArunachal Pradesh州に流入しSiang川と名称が変わることから、四川系レッサーパンダの生息地は、インド北東部が追加されることになります。

実際に論文発表を受けて、The Times of Indiaは、以下の記事を発表しました。

この記事中に以下の記載があります。

Contrary to the previously held belief that only one species of red panda is found in India, Indian scientists have established that India is home to both the Himalayan Red Panda (HRP) and the Chinese Red Panda (CRP). (要約:インドは、四川系レッサーパンダとネパール系レッサーパンダの両種の生息地がある)

この四川系レッサーパンダが生息するArunachal Pradesh近辺は、過去インドと中国で武力衝突(中印国境紛争:1962年)が起きており、いまだ中国が領有権を主張しているようです。
つい最近では、中国が実効支配を目論んでインド領内に集落を建設したことがニュースとなったりしています。


レッサーパンダが生息する貴重で豊かな森を、人間同士が争いのために破壊するのはとても愚かなことです。


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