令和2年度の「石川県日本語教室大会」、「地域別会議」についての報告

石川県と(公財)石川県国際交流協会(IFIE)が令和2年度に実施した、「能登地区会議(11月5日)」、「加賀地区会議(1月17日)」、「石川県地域日本語教室大会(2月5日)」の3つの会議の報告です。
これらの会議は、「地域日本語教育の総合的な体制づくり推進事業」として文化庁の支援を受けて行われました。

1.能登地区会議

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能登地区会議はのと空港ターミナルビルを会場に14名が参加し、「珠洲市日本語教室」、「ふれあいにほんごひろば(羽咋市・宝達志水町)」、「中能登にほんご広場~茶の間」の3つの教室の報告を聞き、自治体と教室の2つのグループに分かれディスカッションしました。
3カ所の教室は、それぞれ「自治体主導から市民主導に移行」、「2つの自治体が共同で開催」、「3年間の文化庁事業を利用して開講」という特色があります。
ディスカッションでは、自治体グループから、市民の教室への主体的で積極的な参加が不可欠であること、その活動の場を自治体がどう作り、継続的に支援していくのか、といった議論が出ました。
教室グループからは、10年前と比べ、教室の意義や課題が変化しており、教室同士の連携や、自治体からのサポートが不可欠との声がありました。
能登の教室は技能実習生の参加が多く、日本語教室の問題は地域の問題と直結しているという意見もありました。(詳細は上のPDF見てください)

2.加賀地区会議

加賀地区会議は23名がオンラインで参加し、「小松市国際交流協会」、「能美市国際交流協会」、「珠洲市日本語教室」の事例報告を聞き、コロナ禍での物資支援を中心とした活動について意見交換しました。
「小松市」は外国人住民自身も日本語教師や防災士として活躍し、市内に新しいクラスを設けました。「能美市」も市と密接に協力して4会場の教室を運営しています。
コロナ禍で両教室は、フードバンクの開設、帰国できない人への住居提供等の活動も行いました。

3.石川県地域日本語教室大会

全県を対象とした大会には、37名がオンラインで参加しました。
第1部では本田先生に「公共サインと外国人住民 -地域の防災と安全のために-」と題して講義をお願いしました。
移動の自由は大切だが、日本の公共サインの「掲示しすぎ」「説明しすぎ」はそれを妨げる。生活のために読む能力は必須だが、日本語教育では会話を重視しすぎではないか。非漢字圏出身者が国内に増加しており、漢字の構造や基本を手を取って教える必要がある。とのことでした。
第2部では中尾先生、鹿野先生にコロナ禍でのオンライン授業の実践例を紹介してもらいました。
所属する石川県日本語講師会では、教師間での教材の共同作成、オンラインでの共有化が行われており、コロナ禍でもトピック型の授業を行ったり、大学生等とのオンラインでの意見交換を授業とつなげるなど、新たな展開も行えたとのことでした。

令和3年度に向けて

コロナ禍とはいえ、県内の地域日本語教室はそれぞれの工夫で活動を続けたところも多くありました。
3つの会議では、改めて自治体担当者と日本語教室、自治体と地域の連携・協力の重要性が確認され、オンラインでのつながりもある程度普及しました。
これらのコロナ禍での成果を、今後、日本語教室空白地域の解消なども進め、「地域づくり」としての地域日本語教育をさらに進めていきたいと思っています。

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