未成年の子供がいる母子家庭の問題点

母子家庭の問題点
今回は、未成年の子供がいる母子家庭の問題点について考えていきたいと思います。母子家庭の場合、母が死亡という場合に遺族年金が支払われるということは周知されていることと思いますが、その金銭のデリバリーはどのようになるのでしょうか。誰が誰にどのような方法によって金銭の受け渡しを行うのでしょうか。ある市役所に聞いてみましたところ「遺族年金は銀行口座に振り込みです」との回答でしたので、誰の銀行口座に振り込まれるのですかと聞いたところ「遺族の銀行口座ですとのことです。」では、その遺族が未成年の場合は誰の銀行口座に振り込まれるのですかと聞いたところ、「その子供の銀行口座です」とのこと。今般の市役所での聞き取りはことで終わってしまったわけですが、まだまだ疑問が残ります。例えば、母子家庭で母27歳、子供2歳という場合に遺族年金の請求はどのように手続きするのでしょうか。2歳の子供が自転車に乗って市役所に行って受付で「遺族年金の請求ささたいのですがどこにいけばいいですかー」とでも聞くのでしょうか。母子家庭の場合は母が死亡した場合に未成年の子供が相続人であればその子供が法律行為をする場合は親権者の同意が必要となるわけですが、この場合は親権者のいない子供ということになり未成年後見人が代理して法律行為を行うということになります。遺族年金の請求手続きは未成年後見人が行うことになるのでしょうか?また子供の銀行口座に振込みするとのことですが、2歳の子供がまだ銀行口座を持っていないとすると現金を2歳の子供に手渡しするのでしょうか?それはないはずですから銀行口座を作ってくださいということになるのでしょうが、そもそも銀行口座を開設する手続きは誰がするのでしょうか。未成年の場合の金融機関の口座開設手続きは親権者の同意のもと手続きされますので、この場合は未成年後見人が代理して口座開設手続きをすることになるのでしょう。
さて問題はこの未成年後見人が誰がなるかがわからないというところです。未成年後見人は本人からの申し立てにより家庭裁判所が選任します。想定されるのは被相続人の兄弟姉妹、父母、そして厄介なのが離婚した夫です。離婚した夫が未成年後見人となると遺族年金は事実上その人に払われるようなものです。そのお金が子供のためにきっちりと使われるのかということが懸念されます。遺言で未成年後見人を指定しておけば良いという方もいますが、未成年後見人の選任は遺言できません。
では生命保険はどうなるのでしょうか。未成年の子供が保険金受取人と指定されていると未成年後見人が保険金請求手続きを行うわけですから前出のような例の場合、離婚した夫が事実上保険金を受け取ることになってしまいます。未成年の子供を保険金受取人としてしまうと子供が受け取ることができず、未成年後見人が誰になるかわからないということは受取人すら決まっていないということになります。
生命保険は、手取りに固有の財産であると言う性格を持っていますので、成人である受取人であれば、確実に死亡の場合に元金が支払われるので、信頼できる人を受取人としておけば、子供の生活のためにそのお金を活用していただけるというわけです。
遺族年金に関しては、どうしても疑問の残るところです。遺族年金が本当に子供の手元に入るかどうかわからないというリスクを回避するために生命保険は有効に使えます。その場合にセールスパーソンは契約者、被保険者となる母子家庭の母に「あなたが死亡の場合に子供の面倒をみてくれるのは誰?」と聞くことです。そして申込手続きの際には必ず受取人と指定される人の同席の元、その経緯を説明して受取人がその事情を把握しておくことが何よりも大切です。
行政、立法機関において未成年の母子家庭の遺族年金の問題について手当てを検討していただきたいと願います。

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