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Black Cloth_異次元の流れの中で


黄昏の中に身を委ねながら
ひとり、私は歩いていました。

歩きながら自分自身に問いかけ、
そして会話をし、時に悩み、
後ろを振り返りながらも前へと歩き続けています。

歳を重ねるごとに私は、今まで多くの経験をしました。
嬉しかったこと、悲しかったこと、
そして辛かったこと。
しかしそのすべての経験が
今の私をかたち作っているのです。

いつもと変わらぬ場所に居て、
いつもと変わらぬ道を歩いていると
そう思っていたのに、いつの間にか見慣れない場所に
足を踏み入れていました。

どうやら異次元の流れに迷い込んだようです。

仕方なく 辺りを見回しながら前へと進んでいると
ひとりの"Black Cloth"に出会いました。

「やぁ ちょっと道に迷ってしまって.....
どうしたらここから抜け出せるか
教えてくれませんか?」

私は助けを求めて
見ず知らずのBlack Clothに声をかけていました。

すると彼女は笑いながら こう答えたのです。

「道に迷う? 迷うわけないわ。
ここはあなたの心の中よ。」 と

「僕の心の中だって?冗談じゃない。
自分自身の心の中に迷い込むなんて......
じゃあ あなたはどうやってここに来たのです?
どうしてこの場所に居るのですか?」

「私は外の世界から来たんじゃない。
ずっとここに住んでいる。
私はほかでもないあなた自身なのだから。」

「僕自身だって?それじゃ 
あなたは僕のすべてを知っているのですか?
これから進むべき道も。」

「もちろん。」

「それではぜひ教えてください。
僕はこれからどうすればいいのです?
どこへ向かえばいいのでしょう?
いったい何を手に入れたら
幸せになれるのでしょうか?」

Black Clothは微笑みながらこう答えた。

「私自身があなたに答える必要はないわ。
なぜならあなたが求めているその答えは
すでにあなた自身の心の中に存在するのだから。
あなたはただその存在に気がついていないだけ。」

あまりの驚きに言葉を失いながらも
私は彼女にこう訪ねたのです。

「そもそも Black Clothが
どうして僕の心の中に居るのですか?」

「私たち、Black Clothは現実の世界にでも
異次元の流れにでも至るところに存在しています。
そしてあなたの心の中にも。」

そう言うと彼女は私の前から姿を消したのでした......

ただ呆然と辺りを見回しながらも
彼女から言われたことを心に思い描きながら
とりあえず私は前へ進むことにしたのです。

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