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Black Cloth_48_時空という名の流れのもとに



黄昏と時空という名の時の流れに身を委ねて、
わたしはその場所にたどり着きました。

辺りはそろそろ夜の夕闇に覆われようとしています。

ひとり、歩きながらわたしは自分自身と向き合います。

自分の中に潜む、
数々の苦しみと痛み。悲しみ。そして不安と絶望に。

わたしを襲うその猛威に対して、
自分はこんなにも無力なのかと落胆せざるをえません。

苦しみから這い上がり、また次の苦しみを覆い隠し、
打ちのめしたかと思えば
今度は別の猛威がやってくる..........

彼らは無限の存在なのでしょうか?

はるか彼方から進化し続けてきた
我々人間の中に潜む猛威。

文明を身にまとい前へと歩み続ける今、現在でさえ
その猛威を完全に消し去ることはできません。

ただ 呆然と辺りを見回しながら歩いていると、
ひとりの女性がそこにたたずんでいました。

そしてじっとわたしを見つめ続けています。
わたしは思わず声をかけました。

「やぁ この場所に来たのは初めてなんだ。
自分でもどこを歩いているのやら。」

そう言うと彼女はこう答えたのです。

「初めてなはずはないわ。
この時空とこの場所を作り出したのは
ほかでもないあなた自身よ。」

その言葉を聞いて驚きながらもそんなはずはないと
わたしはその女性にたずねました。

「なかなかおもしろい作り話だね。
じゃあこの場所を作り出したのが僕自身なら
君はどうしてここに居るんだい?」

「この空間に存在する"わたし"は、
わたしであって、わたしじゃない。
わたしの実体はあなた自身よ。」

さすがになにも言えずに立ち尽くしていると
彼女は続けて話し始めました。

「あなた自身の中に潜む、
数々の苦しみと痛み。悲しみ。そして不安と絶望。
その無限とも思える猛威にも
かならず欠点と弱点がある。

それぞれの猛威を構成する断片を紐解けば、
かならずそれらを無力化することができるはずよ。」

「自分では、成すすべがない状態だよ。その方法を教えてくれるとありがたいんだけど......」

「数々の苦しみと痛み。悲しみ。そして不安と絶望。
それらを無力化する方法とその答えは
すでにあなた自身の中に備わっている。あなたは
ただその方法と答えの存在を確かめればいい。」

そう言うと彼女は姿を消してしまったのです。

ただただ あっけにとられていたわたしでしたが、
とりあえずこの場所から抜け出そうと
再び歩き始めたのです。

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