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大人の歯列矯正治療記録

どうも、いえっさです。私の矯正治療もまもなく5か月を迎えるということで、治療の進め方や、それに付随して困ったことなどを書いていこうと思います。矯正治療に興味がある人の参考になれば幸いです。

初回相談

私が最初に矯正歯科を訪れたのは、およそ1年前のことです。当時定期的に通っていた普通の歯医者さんでたまたま矯正治療の話が出たことがきっかけでした。お医者様曰く相談無料のおすすめの矯正歯科があるということで、無料ならとりあえず話だけでも聞いてみようと足を運んでみたのが始まりです。後で知りましたが相談無料の矯正歯科は意外と多いので、気になる人は予約してみるといいでしょう。先生から具体的な話を聞くとさらに意欲が高まるかもしれません。

避けられぬ抜歯

初回相談では、先生に口の中を見てもらい、治療を行うときの大まかな方針や料金について説明を受けます。私の場合は、治療をするなら上下左右4番目の歯を抜歯する必要があるということでした。全部で4本抜くことになります。というのも、歯の数に対してあごのスペースが狭いことが歯並びを悪化させる原因となっているので、まずそれを解決しなければならないということでした。歯並びが悪くなる原因は、他にも「指しゃぶり」や「舌で歯を押し出すようなクセ」、「横向きに生えた親知らずの萌出」などがあるそうで、いずれにせよそれらの原因を解決した上で治療に臨む必要があります。ただ、親知らずならいざ知らず、通常の健康な歯を抜くということに抵抗がある患者や医者もいるそうです。しかし、その時のリスクについても説明を受けました。私のようなタイプにおける非抜歯矯正は、狭いベンチに大人数を押し込めるようなもので、やはり物理的に無理が生じやすいとのことです。リスクの具体例として、治療終了後にまた歯並びが悪くなってしまう「後戻り」や、見た目にはきれいに並んでいるように見えてもうまく口を閉じることができなくなる「不正咬合」などがあります。私も抜歯についてまるで抵抗がなかったというわけではありませんが、その必要性については十分に納得がいったので、もし治療をするなら抜歯はしてもらおうとその時決めました。

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また、抜歯する歯の選定についても説明を受けました。基本的には上述した通り4番目の歯を抜きたいとのことで、特に私の場合、その4番目の歯が90度ねじれていて、このような動かすのが面倒な歯を抜いた方がいいだろうということでした。しかし同時に、5番目の歯の側面におそらく虫歯があり、それならば抜歯するのは虫歯の歯がいいという考え方もできるということでした。結局、後の正式な契約の時にやはり治療がしやすい方でということで、4番目の歯を抜き、虫歯は抜歯後に治療するということになりました。この虫歯の治療はすでに終わっており、幸いまだ初期段階であったため、麻酔もなく10分程度の簡単な処置で済みました。

また、抜歯の話からは逸れますが、こうして先生に診てもらうと自分の歯について意外なことがわかります。私の場合、歯が90度捻転してるということ以外にも、実は下の奥歯がかなり内側に傾斜していて、ほとんど歯の外側で咬合しているということも教えてもらいました。このように自分では気にしていなかった部分にも問題があることがわかったりすることがあるので、話を聞きに行くだけでも十分に価値があると思います。

親知らずの抜歯

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さらに親知らずも時期が来たら抜いた方がいいかもしれないとのことでした。横向きに生えた親知らずが萌出してくると、それがせっかく整った歯並びを崩してしまう恐れがあるからです。人によっては治療前に親知らずの抜歯を行う人もいるそうですが、私の場合は、親知らずがやや前後にズレていて、仮に親知らずが伸びてきても歯並びに影響しない可能性もあるということで、ひとまず治療しながら様子を見ていくことになりました。ちなみに私は、親知らずは子どもの頃に一本抜いただけなので、もし抜歯をするなら通常の歯と合わせて全部で7本の抜歯をすることになります。親知らずの抜歯はやはり難抜歯になることが多く、必要な時は口腔外科を紹介していただけるそうです。通常の歯医者では難しい抜歯でも、口腔外科では難なくこなしてしまうそうですが、それでも人によっては全身麻酔が必要だったり、1泊の入院が必要だったり、そうでなくともハードルが高いことには間違いありません。治療中の今、親知らずについてはまだ何も指示がありませんが、いつその指示が来るかと今からビクビクしています。親知らずってなんで存在してるんでしょう。

装置の種類

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装置の種類についても説明を受けました。装置には大きく分けて2種類あり、マウスピースをはめる方法と、ワイヤーを使う方法とがあります。さらにワイヤーの方は装置自体の色や場所を変えることで、より目立たなくするオプション(?)があります。それぞれのメリットとデメリットについてですが、マウスピース矯正は取り外しができ、治療中の口腔内ケアがしやすいことや、日常生活で審美性を大きく損なわないことが利点です。しかし、歯を大きく移動させるには不向きであったり、うっかり付け忘れると矯正が進まないというデメリットがあります。ワイヤーの方の利点と欠点は基本的にその逆です。

さらに値段については、最も一般的な、表面にシルバー色のワイヤーの方法が最も安く、マウスピースや裏側矯正のように利便性や審美性を追求するほど、たいていの場合料金が高くなります。私の場合は、大きくズレている歯が複数ありマウスピースには不向きだったのと、できるだけ安くしたいという思いから、最も一般的な通常色のワイヤーを使った装置を選択しました。

アンカースクリュー

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初回相談の時にアンカースクリューについても提案がありました。アンカースクリューとは、一言でいえば歯を動かすための支点です。ネジをはぐきに打ち込んで、それを支点にして歯を動かそうというものです。従来の矯正治療は例えるなら氷の上で綱引きをしているようなもので、仮に前の歯を動かしたいと思っても、それを引っ張る支点となっている別の歯も動いてしまっていました。その微調整に時間がかかることで矯正期間が長くなったり、それ自体が難しかったりしたそうです。ちなみにこの方法ができる前は、ヘッドギアのようなものを頭につけてそれを支点にしていたそうですが、さすがに日常生活に支障をきたすことが多く、あまり万人向けの方法とは言えなかったそうです。確かに矯正治療している人は見かけても、ヘッドギアをしてる人は見たことありませんね。

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もちろんこのアンカースクリューは必須ではありませんし、料金も1万円ほど高くなります。しかし私にはとても合理的な装置に思えたので、それもお願いし抜歯のついでに打ち込んでもらいました。はぐきにネジを打ち込むなんて言葉にすると怖いですが、当然麻酔もありましたし特に痛みはありませんでした。時間も1分くらいだったと思います。これが生体にしっかりと定着したのを確認してから使っていくそうです。スクリュー自体は2か月前に埋めましたが、ワイヤーの支点としてはまだ使用しておりません。

治療費

肝心の料金ですが、私の場合は総額70万円ほどでした。内訳は、装置自体の料金が53万円、検査料(初回の歯型取りやレントゲンなど、詳しくは後述)が3万円、抜歯が1本につき3000円(4本抜歯で12000円)、調整費(基本的に月1回)が4000円(2年通うとすると約10万円)、アンカースクリューが約1万円となっています。口腔外科で親知らずの抜歯を行うとしたら、ここにもういくらかプラスされることになります。

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印象としては思ったより安いなという感じでした。もちろん自由診療なので値段は医院によってさまざまです。安ければ安いほど良いというわけでもないと思いますが、それでもやはり高額な買い物ですから、値段の上下にはかなり敏感になります。いずれにせよなんとなく100万越えは当たり前だと思っていたので、この値段はかなり自分を治療に踏み切らせてくれました。

契約と検査

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初回相談から半年ほど経ち、一括払いできるお金が溜まったところで契約に行きました。初回は契約ついでに検査をしてもらいました。レントゲンを撮ったり歯型を取ったり、口腔内の写真を撮影したり、唾液の成分をチェックをしたり、要は今後の治療の為に必要なデータを詳細に取っていく検査です。歯磨きの仕方も教わります。赤い薬液を口に含んで歯磨きをし、プラークが取れていないところを示してくれるアレです。衛生士さんに手元を見られながら、「うん、うん、あ~上手ですね!」みたいなことを言われながら歯磨きをします。この赤ちゃんプレイは装置をつけた後にも行うことになります。特に装置をつけると歯磨きの難度がすごく上がるので、それ自体は必要なことだと分かってはいるのですが、いかんせんアラサーになってからの歯磨き講座はなかなか恥ずかしいものです。話が逸れましたが、そうしたデータを元に今後使っていく装置や道具の準備をしてもらいます。2回目はその準備ができた頃に行くことになります。

いよいよ装置をつける

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最初は上の歯だけ装置をつけてもらいました。ワイヤーの支点となるシルバーのブラケットを接着剤で歯に固定し、そこに形状記憶合金のワイヤーを結紮(けっさつ)していきます。最初なのでそんなに強いワイヤーではないようで、思ったほど違和感はありませんでした。ただ人によっては、ブラケットが唇の内側にあたることに関して違和感を抱えることもあるそうです。しかしたいていは1週間程度でそれにも慣れるそうです。私自身も今は上下とも装置をつけていますが、違和感は全くと言っていいほどありません。

矯正治療の痛み

痛みに関しては個人差があると聞いていましたが、私は最初からそれほど気にしていませんでした。なにせ小学生でもやってることですから、仮に痛くても耐えられないほどであるわけはないと思っていたし、やはり実際のところそうでした。あるとすれば、ワイヤーによる多少の締めつけられる感覚と、噛みしめた時に生じるじーんとした痛み程度です。痛みによって物が噛みにくいという不便は確かにありましたが、そうした痛みも動くための力がかかっているんだと思うとそんなに苦ではありませんでしたし、そもそもその痛みも1週間もすればほとんどなくなります。個人差はあるということなので、あまり適当なことは言えませんが、健康な成人であればよほどのことがない限り、痛みに耐えかねて治療を断念するということはまず起こらないだろうというのが私の印象です。

口内炎との闘い

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装置に違和感はないと言っても、やはり口内に異物があることには変わりありませんので、矯正治療中は装置と粘膜が当たるところが擦れて口内炎ができやすくなります。しかし、口内炎について必要以上に恐れることはありません。通常、口内炎はかなりやっかいで煩わしいものですが、装置の擦れによる口内炎は、原因がはっきりしている分対策も簡単で、それさえ講じてしまえば治りも早いものです。最初はつらいと感じることもありましたが、ストレスや外傷、栄養不足による口内炎に比べるとなんてことはありません。治療初めに専用のワックス(下写真参照)をもらっているので、口内炎ができた時はそれを使用します。見た目は小さいろうそくみたいなもので、これを必要なサイズにちぎって口内炎に当たるブラケットに被せてつけます。すると、その時点で痛みもなくなり、半日から1日もすればあっという間に元通りになります。

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通常歯の抜歯

装置をつけてから3回目の診察でいよいよ抜歯を行います。通常歯の抜歯なので、そんなに大変ではないそうですが、歯の根っこが折れて体内に残ったりすると口腔外科行きになるそうなので、そういう面倒なことにならないことを祈りながら抜いてもらいます。麻酔をしてもらい、少し時間を置いて麻酔が効いているかどうかを確かめます。先生がペンチのようなもので軽く歯をぐりぐりし、麻酔が効いていることが確認出来たら、ゴリゴリと力を入れて抜いていきます。もちろん痛みはありませんが、ミシミシと歯が骨から分離していく音が不気味に響きます。施術時間は麻酔で置いた時間も含めて(2本で)20分ほどだったと思いますが、意外と緊張しました。先生がグッと力を込めた瞬間にいきなり痛くなったらどうしよう、みたいなことを考えていたと思います。

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別日に下の2本も抜いたのですが、こちらはやや時間がかかりました。まず麻酔があまり効かず、下の歯に比べて麻酔を4倍くらい多く打ってもらいました。また、私が麻酔の効きを判断するのが下手で、なかなかGOサインを出せなかったのも長引いた原因の1つでした。これを読んだ方は「いや、麻酔の効きを判断するのが下手ってどういうことだよ」と思ってらっしゃると思いますが、その時の感覚が非常に微妙だったのです。グリッとされると痛いような、いやこれくらいなら痛くてもワンチャン耐えられるか…(何がワンチャンなのかは不明)という際どいラインでの攻防が私の神経では続いていたのです。

意を決して抜歯作業に入った後も、歯の根が骨にがっちりとくっついているようで、上の歯に比べると抜歯自体にも時間がかかりました。途中、作業をしやすくする為に抜歯する歯の一部を削る作業もあったのですが、それがまた染みるような痛みがあり途中で断念したことでより時間がかかりました。少し話を逸らしますが、子どもが異常に歯科治療を怖がるところには、この「染みる痛み」によるところが大きいですよね。この「染みる痛み」は鈍痛とはまた違う耐えがたい痛みだと思います。麻酔の効きや痛みの感じ方もかなり個人差が出る部分だと思いますが、今のところ私がいちばん大変だと感じたのがこの抜歯でした。

ちなみに抜歯後の痛みは全くありませんでした。一応麻酔が切れて痛みが生じた時の為に痛み止めをもらっていましたが、まったく使う場面はありませんでした。たださすがに親知らずの抜歯になると、ほとんどの場合大きく腫れて、ほぼすべての人が麻酔が切れた後の痛みと格闘することになるそうです。

食べカスとの闘い その1

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装置をつけるといたるところに食べカスが溜まります。食事が終わるまでずっと食べカスがまとわりついた状態というのがなかなか不快であります。食事が終わるとまず全力でうがいをしてそれでもうまいこと隙間にはまった食べカスたちを歯間ブラシで除去します。毎食やる必要があるのが面倒ですが、これも慣れてくるとだいたいどの辺りに食べカスが溜まるかがわかるようになり、必然的にそれを除去する作業も早くなっていきます。先ほどから矯正治療で生じる不便はだいたい慣れで解決しているような気がしますが、これについては高額な治療費を自分で払っていることも大きいかもしれません。70万の貯金をこしらえるのとそうした少しの手間を比べると、自然と「こんなの大したことないな」と思えてくるのです。

食べカスとの闘い その2

しかし、それでも大変なのが抜歯後の食事です。抜歯後の2週間ほどは抜歯によってできた穴(抜歯窩)が塞がっていませんので、そこに容赦なく食べカスが侵入します。しかも、ある程度傷が塞がるまでは、なんと強いうがいはNGなのです(軽くゆすぐ程度はOK)。というのも、抜歯窩はまずぷるぷるとした血の塊(血餅)ができ、それが乾いてかさぶたのようになることで傷が塞がっていくのですが、そのかさぶたが形成しきる前に血餅がはがれてしまうと、抜歯窩がぽっかりと空いた「ドライソケット」と言われる状態になってしまうのです。これは骨がむき出しになりますから、非常に強い痛みを伴い、さらに別途治療が必要になってしまいます。

では傷が塞がるまで食べカスはどうするのかというと、なんと基本的に放置です。身体に食べカスのような異物が吸収されることはないそうで、それが中に入ったら極力触れずに自然と排出されるのを待ちます。もちろん抜歯窩以外に挟まった食べカスはこれまで通り除去しますが、その際もうっかり傷口に触れないように注意しなければなりません。ともすると気になるのは食べカスによる口臭ですが、食べカスも何日も溜まったままというわけではないので、口臭が格段に悪化するということはありません。ただ1日中食べカスと共存しなければならない感覚がとにかく不快です。一度パスタを食べた時にパスタの切れ端が傷口に突き刺さり、茶柱のようになったことがあります。痛みはありませんが、とにかく気に障ります。食べカス自体は、たいてい寝て起きるとふやけた状態になって軽くゆすぐだけで取れる状態になっています。もちろんその後の朝食ですぐに次の食べカスが侵入してくるわけですが…。

意外と歯が動くのがわかる

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ここまで矯正治療における不便さや怖さばかりを強調してきましたが、もちろん良いこともあります。無論それは歯並びが整っていくことなのですが、これが予想以上に早く効果が見えてくるのです。矯正を始めたばかりの頃は、歯の動きなぞなかなか分からないくらいほんの少しずつ動くのだろうと思っていましたが、これが意外に数週間で一見してわかるくらいの動きがあるのです。もちろん劇的に良くなったわけではありませんし、これこそ個人差が出るところだと思いますが、デコボコしていたところ、特にへこんでいた部分が前に出てきて、明らかに歯が動いているのがわかります。さらに舌で歯の裏側をなぞると、今までは凹凸のあった感触がなだらかになっています(本当は舌で歯を触るのはあまり良くないのですが)。また、最初は歯並びに合わせてウェーブしていたワイヤーが、明らかにまっすぐになってきているのもわかります。こうした目に見える変化は、矯正生活で生じる不便な思いをやる気に変えてくれました。長い矯正生活ですから、効果があると実感できると治療も継続させやすいですよね。

最後に

まだまだ治療は始まったばかりで、今後どうなっていくかはわかりませんが、ひとまず挫折せずに治療を続けていくことはできそうです。続編はまた治療が進んだ半年後くらいに書こうと思います。感想や質問などがあれば、ぜひコメント欄やツイッターにお寄せください。

最後に、このnoteが矯正治療を考えている人の一助になれば幸いです。ここまで読んでいただいてありがとうございました。それではまた。

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