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雪は煌めき、木々は広がり、呼吸は煙り、夜は眠る
工事現場では 打ち捨てられた巨大なピンクの脳髄が 雨に塗れて脈動する
夢の女は砂の城に眠る 茫々たる木々は波のように城を包む 濡れた髪を散らかして
夜の喫煙所、ロータリーを眺める 鄙びたビルに囲まれて たった今、電源が落とされて 影のような人たちは、音も立てずに帰路へつく
フランスのガイコツ、ギリシャのカミナリ、イタリアのマンホール、スペインの噴水、ドイツのトロンボーン、ロシアの太鼓、モンゴルのコマ、ハワイのぶどう、メキシコの花火、ポルトガルの戦車、韓国のフエ、中国のシャボン玉、ベトナムのカーテン。
白線は聖なる場所 誰にも侵されない 新宿の車道で私はみた 白線上の鳩の死骸を
指はスラッシュ 口に当てれば/沈黙 何かを指せば/景色
薄汚れた街の一角 カロリーの少ない土からそれは生まれた 枯れた木にまとわりついて、朝の日差しに顔をしかめている
惑星 無数に存在する惑星の裏側には何があるだろう 目を閉じて宇宙について考える もしかしたらないかもしれない惑星について思いを巡らす そして、ないかもしれない惑星の裏側をそっと想像する
いつものY字路で私は忘れ物に気づく ああいけない、そういって道を戻れば、あの時のアイツに出くわす アイツはあの時のように、家で待っているよと言ってくれる
気づけば岩だらけの海岸にいた カモメが何羽も飛んでいる その時ある迷信が頭をよぎった
この先はまるで螺旋のような道 ぐるぐると回転する道をひたすら登ることにした あたりは暗く、風も吹かない 私は十字架を見つけた
私は走る ツノの生えたシマウマに跨って 私は走る 灰色の大地には紫色のカミナリが降り注ぐ 私は走る
ただ、そこに独り 街の喧騒、誰かの喋り声、車の走る音、パンのいい匂い、雨上がりの湿った香り 違う、ここではない ただ、そこに独り 木漏れ日、風に揺れる木々、鳥の声、水の流れる音、腐った土と草の香り 違う、ここではない ただ、そこに独り