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3組中1組が紹介契約のセキスイハイム(積水化学工業)の仕組みとは?

この記事では、積水化学工業株式会社の2019年度(2020年3月期)第2四半期について、取り上げていきます。

積水化学工業株式会社は、本店・本社を大阪府大阪市北区に置く、住宅、管工機材、住宅建材や建材用の化成品、高機能プラスチックなどを中心に製造する大手樹脂加工メーカーである。積水化学工業住宅カンパニーのブランドには「セキスイハイム」がある。

2019年度第2四半期決算および経営計画進捗説明会

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住宅事業は主力である

積水化学工業は、主に4つの事業から成り立っていますが、カンパニー別の売上高・営業利益を見ると、住宅事業は主力となっています。ここではできるだけ住宅事業の内容を取り上げています。

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2Q時の住宅事業の売上高と営業利益を見ていくと、前年度よりは伸び悩んでいるようにみえます。ただ、2018年度1Qの営業利益は▲16なので、2018年度2Qの営業利益187から差し引くと171となり、だいたい前年度と同じぐらいになっています。

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それぞれの事業を合算しているため詳細がわからない

損益計算書も貸借対照表も、それぞれの事業を合算した数字になるため、1棟当たりの粗利益や、顧客獲得コストなどまで調べることができないのは非常に残念です。この辺りの数字がわかると、他社との比較も明確になり、投資家にとっても有益な情報になると思います。

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粗利益と販管費の比率を見ていくと、

18年度上期:粗利益÷販管費=1,782÷1,361=約1.31
19年度上期:粗利益÷販管費=1,794÷1,379=約1.30

となっており、あまり変わりはありません。

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参考までに、資産と負債のバランスや、基本的な指標を見てみましょう。

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決算スライドでは、資産や負債の仕分けがわからなかったので、決算短信も調べてみました。2020年3月期 第2四半期決算短信[日本基準](連結)

・流動資産:502,746
 ・現金預金:36,558
 ・現金預金以外の流動資産:502,746-36,558=466,188
・流動負債:296,681
・固定負債:126,360

となっており、現金預金は流動負債より少ないですが、負債の合計よりも流動資産の方が、797億500万円上回っている状態です。

成長

このバランス状態のことを「成長」と呼んでいます。

現金がある程度、潤沢にある状態で、お金があるため、事業への積極的な投資もでき、成長しやすい状態でもあります。ただし、現金預金が流動負債よりも小さい状態ので、ハイリスク・ハイリターンのような大きな投資は難しいとされています。

比率で見ていくと、流動比率は169%となり、平均よりも上回っています。

《数値の目安》
優良:200%以上  平均:120~130%  危険:100%以下

また、それぞれの資料から、「現金預金」「借入金」「たな卸資産」の数字も確認してみました。指標で見ていくと、額の印象を受けないので、客観的に捉えることができます。

まず現金・預金ですが、前年度の決算時と比べると、69,882→107,366と1.5倍ほど増えています。「手元流動性比率(月)」は、107,366÷(556,515÷6)=1.1ヶ月なので、まずまず適切な範囲内です。

中小だと1.5月以上、大手の場合は1ヶ月以上必要とされています。

借入金も、短期も長期も増えており、「現金預金対借入金比率(%)」は、107,366÷(8,654+4,745+22,046)×100=約303%なので、実質無借金経営です。

一般的には30%以上必要とされています。

そして、工事中住宅、建売住宅や分譲土地などで、たな卸資産も増えています。

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非住宅部分を除いて住宅部門だけで見た時、注文住宅部分だと、「棚卸資産回転期間(日)」は、((265+37億円)÷(2,569億円÷(365日÷2))=約21日。不動産部分だと、((139+421+143億円)÷(2,569億円÷(365日÷2))=約50日となります。十分な範囲内です。

建設業の平均値は40日、不動産は200日程度と言われています。


2年間で販売単価は30万円↑ 床面積は2.3㎡↓

住宅部門の実績で、記載されている主なデータで気になる点を挙げると、

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・住宅の売上高は前年度上期と比べ、61億円UP(前年度比:約104%)
・リフォームの売上高も前年度上期と比べ、27億円UP(前年度比:約106%)
1棟当たりの価格は、3140万円
(多分税込だと思われるので、税別だと約2907万円?)
1棟当たりの床面積は120.6㎡(約36.5坪)

という辺りが参考になります。

また、戸建ての販売単価と床面積を過去2年のデータと比較すると、

・販売単価は、3110万円→3120万円→3140万円と、30万円アップ。
・床面積は、122.9㎡→121.7㎡→120.6㎡と、2.3㎡(約0.7坪)小さくなる。

という風に、販売単価は上がり、床面積は小さくなる傾向に向かっています。


4組中1組は建替えで、3組中1組が紹介

その他、建替え比率24%、紹介契約比率33%なども掲載しているのは興味深いです。つまり、4組中1組は建替えで、3組中1組が紹介ということになります。戸建ての販売棟数は2019年上期で5,120棟ですから、およそ1300棟が建替えで、1700棟が紹介ということになります。

紹介率の高さは満足度に比例すると言われていますが、積水化学工業が自社で調べた「大手住宅メーカー入居者満足度調査」(2016年)によると、建築後15年目までの入居者調査における総合満足度は70.5%です。この満足度が、建替えや紹介の大きな支えになっているのでしょう。

Q.実際に住んでいる方の満足度を教えてください。

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また、紹介に関しては、紹介者と紹介先の二方に紹介特典として、5000円相当のギフト券や商品をプレゼントしています。

紹介キャンペーンのご案内


前年より90棟増え、単価も20万円UPで増収増益

さらに、受注の伸び率を見ていくと、

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2019年度上期は、前年度比べ新規受注は▲1%なので大きな変化はないのですが、前年度からの受注残が多かった分、売上高の増加にも繋がっています。

また、戸建販売棟数も、2018年度上期と比べると、90棟増えています。そして、戸建ての販売単価は2018年度から20万円上がっています。なので、2018年度上期の2,469億円(営業利益172億円)から、2019年上期は2,569億円(営業利益186億円)となり、売上高104%(営業利益108%)という増収増益に繋がっています。

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蓄電池搭載の伸び率が著しい

高性能のオプションの採用率を示した「高性能住宅仕様装着比率」に注目していただくと、蓄電池搭載の伸び率が目立ちます。2017年度では21%→2018年度では35%→2019年度上期では52%と伸びています。

太陽光発電搭載は、以前から安定的な搭載率ですが、ZEH仕様の採用に比例して、蓄電池の搭載も伸びてきています。他に考えられる理由は、自然災害による停電対策の影響もあるでしょうし、太陽光電力の買取サービスを、蓄電池付きの場合は、買取価格を通常よりも高く設定していることも影響しているでしょう。

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電力“買売”サービス「スマートハイムでんき」の開始について
●買取予定価格(注1)
蓄電池による自給自足を応援する価格設定としました
・ソーラー+蓄電池付きのお客様(注2)    12円/kWh
・ソーラーのみのお客様     9円/kWh


リフォームはメンテナンスが半分を占める

リフォームに関しては、売上高が前年度上期と比べ、27億円UP(前年度比:約106%)しています。

これは大手ハウスメーカーでは標準となっている長期アフターサービスの仕組みが大きく影響しているでしょう。定期診断を行い、再塗装などの有償のリフォームを獲得するという仕組みです。

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スケジュールでは塗装が多くを占めていますが、下記表の商材別受注高を見ても、メンテナンス(塗装等)が半分以上を占めています。

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メンテナンスに続いて、戦略商材が占めています。10年20年となれば、水回りも替え時になります。また、セキスイハイムは鉄骨ラーメン構造という特殊になるため、増築やリノベーションとなると、他の住宅会社では手が出しにくい分、顧客の囲い込みもしやすくなっています。

建てる時だけでなく、長期的なアフターサービスも充実させることで、満足度を高められ、紹介へと繋げられるということです。1棟当たりの価格帯が3000万円を超えるので、ある程度購買層が絞られてきますが、購入した方の友人や知り合いであれば、同じ様な購買層にアプローチしやすくなります。


まとめ

粗利益÷販管費=約1.30
1棟当たりの価格は、3140万円
1棟当たりの床面積は120.6㎡(約36.5坪)
販売単価は、3110万円→3120万円→3140万円と、2年で30万円アップ
床面積は、122.9㎡→121.7㎡→120.6㎡と、2年で2.3㎡(約0.7坪)ダウン
4組中1組は建替えで、3組中1組が紹介
建築後15年目までの入居者調査における総合満足度は70.5%
戸建ての販売単価は2018年度から20万円上がっている
蓄電池搭載の伸び率が21%→35%→52%と2年で倍以上
リフォームはメンテナンスが半分を占める

紹介キャンペーンなどは、他社でもおこなっていることですが、その効果は、アフターサービスを充実させ、満足度を高めることで、より発揮されるもになってきます。満足度の声は、建てた直後よりも、住んでから数年後の方が重みが違います。

そして、アフターサービスをリフォーム受注と絡めながら、定期的に接触することは、会社の規模に関わらず、必要になってくる施策でしょう。

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決算書から読み取れる数字から、上場企業の住宅会社や、注文住宅を手掛ける工務店の倒産について、工務店経営者の参考になるような内容で書いています。
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