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飯田グループホールディングスの子会社で1棟当たりの粗利益額が一番高いのは?

この記事では、飯田グループホールディングス株式会社の2020年3月期 第2四半期について、取り上げていきます。飯田グループホールディングス(以下飯田GHD)自体に注目というよりは、子会社である各住宅会社の内訳に注目していきます。

2020年3月期 第2四半期決算説明資料

どの子会社も、自社で仕入れた土地に、自社で住宅を建築して販売する「戸建分譲」がメインの事業になります。また、子会社にはさらに子会社があるのですが、今回は割愛します。

グループ企業一覧

飯田グループホールディングス株式会社は、一建設、飯田産業、東栄住宅、タクトホーム、アーネストワン、アイディホームの6社が2013年に経営統合して設立した共同持株会社。戸建分譲・マンション分譲・請負工事等を行うグループ会社の経営管理という位置づけ。

6社の内、売上や利益が一番なのは?

資料には、「一建設」「飯田産業」「東栄住宅」「タクトホーム」「アーネストワン」「アイディホーム」と、それぞれの事業別に粗利益なども記載されており、非常に参考になります。

まず、各社の売上や利益で見ていくと、

1.一建設
2.飯田産業
3.アーネストワン

と続いています。

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続いて、各社が手掛けている戸建分譲・土地・請負工事について、1棟当たりの金額を算出してみました。(請負工事に関してはリフォームも含まれています。)

一建設
【戸建分譲】
・1棟当たりの戸建分譲の平均販売価格:2610万円
・1棟当たりの戸建分譲の粗利益額:386万円
・戸建分譲の粗利益率:14.8%
【土地売】
・1区画当たりの土地の平均販売価格:1840万円
・1区画当たりの土地の粗利益額:293万円
・土地売の粗利益率:15.9%
【請負工事】
・1棟当たりの平均請負工事金額:1859万円
・1棟当たりの請負工事の粗利益額:491万円
・請負工事の粗利益率:26.4%

飯田産業
【戸建分譲】
・1棟当たりの戸建分譲の平均販売価格:3150万円
・1棟当たりの戸建分譲の粗利益額:484万円
・戸建分譲の粗利益率:15.3%
【土地売】
・1区画当たりの土地の平均販売価格:2660万円
・1区画当たりの土地の粗利益額:684万円
・土地売の粗利益率:25.6%
【請負工事】
・1棟当たりの平均請負工事金額:1870万円
・1棟当たりの請負工事の粗利益額:470万円
・請負工事の粗利益率:25.1%

東栄住宅
【戸建分譲】
・1棟当たりの戸建分譲の平均販売価格:3320万円
・1棟当たりの戸建分譲の粗利益額:494万円
・戸建分譲の粗利益率:14.9%
【土地売】
・1区画当たりの土地の平均販売価格:2750万円
・1区画当たりの土地の粗利益額:645万円
・土地売の粗利益率:23.5%
【請負工事】
・1棟当たりの平均請負工事金額:2111万円
・1棟当たりの請負工事の粗利益額:510万円
・請負工事の粗利益率:24.2%

タクトホーム
【戸建分譲】
・1棟当たりの戸建分譲の平均販売価格:2820万円
・1棟当たりの戸建分譲の粗利益額:390万円
・戸建分譲の粗利益率:13.8%
【土地売】
・1区画当たりの土地の平均販売価格:2340万円
・1区画当たりの土地の粗利益額:530万円
・土地売の粗利益率:22.7%
【請負工事】
・1棟当たりの平均請負工事金額:1538万円
・1棟当たりの請負工事の粗利益額:245万円
・請負工事の粗利益率:15.9%

アーネストワン
【戸建分譲】
・1棟当たりの戸建分譲の平均販売価格:2290万円
・1棟当たりの戸建分譲の粗利益額:346万円
・戸建分譲の粗利益率:15.1%
【土地売】
・1区画当たりの土地の平均販売価格:1830万円
・1区画当たりの土地の粗利益額:374万円
・土地売の粗利益率:18.3%
【請負工事】
・1棟当たりの平均請負工事金額:2478万円
・1棟当たりの請負工事の粗利益額:705万円
・請負工事の粗利益率:28.4%

アイディホーム
【戸建分譲】
・1棟当たりの戸建分譲の平均販売価格:2510万円
・1棟当たりの戸建分譲の粗利益額:361万円
・戸建分譲の粗利益率:14.4%
【土地売】
・1区画当たりの土地の平均販売価格:1810万円
・1区画当たりの土地の粗利益額:473万円
・土地売の粗利益率:26.2%
【請負工事】
・1棟当たりの平均請負工事金額:2130万円
・1棟当たりの請負工事の粗利益額:421万円
・請負工事の粗利益率:19.8%

上記のそれぞれのデータを、戸建分譲・土地売・請負工事を、1棟1区画当たりの平均データで比較すると下記のようになります。

戸建分譲で粗利益額が高いのは?低いのは?

戸建分譲(販売価格順)

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販売価格が高い順に、粗利益額も高くなっています。販売価格差は、最大で1000万円ほどですが、粗利益率は各社そこまで差がありません。

粗利益額が最も高いのは、「東栄住宅」の494万円、続いて「飯田産業」の484万円です。

粗利益額が最も低いのは、「アーネストワン」の346万円です。

売上と利益が一番多かった「一建設」は、販売価格帯では真ん中辺りに属しています。松竹梅理論では竹が一番売れるということですが、価格重視の客層には、竹の「一建設」と、梅の「アーネストワン」が良い勝負です。


土地売で粗利益額が高いのは?低いのは?

土地売】(販売価格順)

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戸建分譲では差があまりなかった粗利益率も、土地売では、最大で約10%ほどの差があります。

1区画辺りの粗利益額が最も高いのは、「飯田産業」の684万円です。続いて、「東栄住宅」が645万円となっています。

1区画辺りの粗利益額が最も低いのは、「一建設」の293万円です。土地の販売区画数では圧倒的に多いのですが、1区画辺りの粗利益額は最も低いため、薄利多売という構図になっています。

また、土地の価格は環境などにも比例しやすいため、グループ内でも「東栄住宅」や「飯田産業」は割と良質な土地を扱い、「アーネストワン」や「アイディホーム」はその逆を扱っている可能性は高いです。もちろん、地域のばらつきや、面積の小さい土地を扱っているというケースも考えられます。

「一建設」の場合、あえて利益をあまり乗せず、コスパの良い土地を提供しているのかもしれません。その結果、割安感を感じ、販売数にも繋がっているのでしょう。


請負工事で粗利益額が高いのは?低いのは?

【請負工事】(請負工事金額順)

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1棟当たりの粗利益額で最も高いのは、「アーネストワン」の705万円です。戸建分譲の販売価格では最も低かったのですが、請負工事では、請負工事金額や粗利益額が最も高くなっています。注文住宅は規格型なのでそこまで粗利益が高くなる要因はないのでは?と思ったのですが、どうやら同事業の中で、アパート建築を行っているので、その分が大きく反映されているのかもしれません。

「アーネストワン」を除くと、1棟当たりの粗利益額が最も高いのは、「東栄住宅」の510万円です。

アイディホーム」は、戸建分譲の販売価格では低かったのですが、請負工事では、請負工事金額は上位にいます。(粗利益額は低いままです。)

逆に、戸建分譲では販売価格が高い方だった、「飯田産業」と「タクトホーム」は、請負工事では低い方にいます。

「タクトホーム」に至っては、販売価格と粗利益額ともに最も低いです。1棟当たりの粗利益額が最も低い「タクトホーム」は、245万円です。

請負工事の合算(売上341億円・1,785棟)は、戸建分譲の合算(売上5,469億円・20,170棟)と比べると、16倍以上も差があります。なので、戸建分譲に比べると、利益もおまけ程度になってしまいます。


土地と建物を一緒に頼んだ場合、
最も安いのは?高いのは?

土地と建物が同じ会社でないことも多いと思いますが、例えば、同じ住宅会社で、土地を売り、その土地にその会社で注文住宅を建てた場合で比較してみましょう。単純計算で、1棟当たりと1区画当たりの金額を足してみます。

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比較してみると、グループ内で合計金額が高価格帯なのは、「東栄住宅」です。土地の販売価格も請負工事金額も上位に付けています。続いて「飯田産業」となっています。この順番は、戸建分譲の販売価格と同じ順番です。この2社は、粗利益額の合計もほぼ同じ、最も高いのが「東栄住宅」の1155万円。続いて、「飯田産業」の1154万円になっています。

「アーネストワン」は、土地売の粗利益額が低くく、請負工事の粗利益額が高くなっています。土地の安さを売りにして、その分、請負工事で補填するという構図です。

「タクトホーム」は逆に、請負工事の粗利益額が低く、土地売の粗利益額が高くなっています。請負工事の安さを売りにして、その分、土地売で補填するという構図です。「タクトホーム」は合計の粗利益額も784万円で最も低いです。

ちなみに、販売価格という点では、請負工事棟数も販売区画数も一番多かった「一建設」が、一番安くなっています。


顧客獲得コストはいくらか?

販管費の内訳が載っていないため広告宣伝費の詳細はわかりません。ちょっと乱暴ですが、販管費をベースにして顧客獲得コストを計算していきます。販管費なので給与や賃料も含まれています。

また、子会社別に販管費が記載されているわけではないので、グループ全体での計算になります。

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2020年3月期第2四半期
・販売費及び一般管理費:30,889
・戸建分譲数+マンション分譲+注文住宅数:
11,697+399+1,037=13,133(棟)

30,889÷13,133で、1件当たり約235万円の販管費となります。

さらにもう少し乱暴に計算するなら、建設業の労働分配率の平均は50%と仮定するなら、粗利益の半分が人件費という仮定ができます。

つまり、販管費30,889から粗利益57,516の50%を引いた、人件費以外で掛かっている費用2,131を棟数13,133棟で割ると、人件費以外の経費だと1件当たり約16万円となります。

2Qの粗利益と販管費、粗利益と経費の比率は、

粗利益÷販管費=57,516÷30,889=約1.86
粗利益÷経費=57,516÷2,131=約27

1Qの粗利益÷販管費が、約1.69なので、効率良くなっています。


さいごに

飯田GHDの商品構成までは深堀りしてませんが、小規模の地域工務店が同じ土俵で勝負してはいけないことがよく分かる内容です。

表向きには薄利多売と言われているビジネスモデルですが、打ち明けを見ると、多売が突き抜けてるからか、価格は安いのに薄利がそこまで薄利でない会社もあれば、薄利を突っ走ってる会社もあり、グループならでは強みがあります。

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決算書から読み取れる数字から、上場企業の住宅会社や、注文住宅を手掛ける工務店の倒産について、工務店経営者の参考になるような内容で書いています。
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