第3四半期過去最高の売上高・利益を更新した積水ハウスの1棟当たりの粗利益は?
この記事では、積水ハウス株式会社の2020年1月期第3四半期について、取り上げていきます。
積水ハウスは、鉄骨造戸建て注文住宅、木造戸建て注文住宅を軸に、賃貸住宅やマンションをはじめ、街づくり、都市開発や国際事業などを行っている住宅メーカーである。
第3四半期として過去最高の売上高・利益を更新
前年同時期と比べて、売上高は+16.6%、営業利益は+35.9%と、大きく増収増益になっています。
売上総利益率(粗利益率)もほとんど変わらず、販管費もそこまで増えていないことが影響して、営業利益率も7.7%→8.9%に伸びています。
戸建住宅・リフォーム、それぞれ増収増益
積水ハウスでは、複数の事業がありますが、ここでは、
請負型:戸建住宅事業
ストック型:リフォーム事業
について取り上げていきます。前年同時期と比べて、どれも増収増益です。
事業別に細かい情報も掲載されていますので、そちらも見てましょう。
戸建1棟当たりの販売価格と粗利益は?
まずは、戸建住宅事業です。
注記に「グリーンファースト ゼロ比率」が書かれていますが、「グリーンファースト ゼロ」は、積水ハウス独自のZEHを指します。商品ラインナップはたくさんありますが、85%はZEH仕様で建てているということになります。
そして、「売上総利益率(粗利益率)」と「1棟当たりの単価」が掲載されていますので、その数字を元に、戸建住宅事業の粗利益額を導き出してみましょう。
売上総利益率
・2018年3Q:24.5%
・2019年3Q:25.0%
1棟当たりの単価
・2018年3Q:3,875万円
・2019年3Q:3,978万円
1棟当たりの粗利益額
・2018年3Q:3,875万円×24.5%=949万円
・2019年3Q:3,978万円×25.0%=995万円
粗利益率自体は高いわけではないですが、販売価格が4000万円近いので、粗利益額も多くなっています。ざっくり言えば、地域の工務店の2倍です。
3・4階建てが金額ベースで11%も含まれているので、2階建て中心で見た時、若干高めの数字なっていると思われます。
戸建1棟当たりに掛かる固定費はいくら?
同じように、固定費(販管費)も導いてみましょう。
固定費=粗利益額-営業利益
・2018年3Q固定費:(2,512×24.5%)-266=349億円
・2019年3Q固定費:(2,931×25.0%)-335=397億円
棟数が記載されていませんが、こちらも逆算から導き出してみましょう。
・2018年3Q棟数:2512÷0.3875=6483棟
・2019年3Q棟数:2931÷0.3978=7368棟(前期比+13.7%)
固定費を棟数で割ると、1棟当たりに掛かっている固定費が導き出せます。
・2018年3Q:349億円÷6483=538万円
・2019年3Q:397億円÷7368=539万円
売上や棟数が増えていて、1棟当たりに掛かる固定費は、そこまで変化はないです。売上や棟数が増えると、広告宣伝費や人件費などが余計に掛かるケースが多いのですが、変化がないということは、上手く仕組み化できているのでしょう。(10%ほどなので、小さな工務店からすれば、+1~2棟という程度ですが・・・)
リフォームを提案型にしたことで◯◯が増えた?
続いて、リフォーム事業です。
積水ハウスグループは、「住宅リフォーム売上ランキング2019」の1位であり、日本で最もリフォームを売り上げる企業と言われています。
ここから先は
¥ 300
サポートしていただける方が増えると、「工務店の倒産事例を検証した記事」をお届けする機会が増えますので、よろしければサポートお願いします。