「お客様は王様である」


・社会問題化する「カスタマーハラスメント」について

先日、こんなリリースを見かけました。

大分トリニータが「カスタマーハラスメントに関する当クラブの考え方」として、一部の不当な言動を行う客から監督・選手・社員を守るための対応方針を定めたとのことです。

金銭の要求や暴力、悪質なクレーマー行為など客による迷惑行為を「カスタマーハラスメント」と呼びます。カスタマーハラスメントについては、近年では任天堂や高島屋など多くの企業でサービスの提供拒否や法的措置など対応策を進める例が増えています。

また、厚生労働省が企業向け対策マニュアルを作るなど、大企業以外も含めた社会的な問題として捉えられています。

・サッカー界におけるカスタマーハラスメントとは

冒頭に述べた大分トリニータのリリースは、こういったカスタマーハラスメントをサッカークラブとして明確に表明した(おそらく)日本では初めての例だと思います。

サッカークラブの場合、売店などのサービスの提供におけるトラブルなどもカスタマーハラスメントが発生しうるポイントだと思いますが、他業種と比べて特殊なのは、「試合結果への不満」に起因するカスタマーハラスメントの発生でしょう。

チームが思ったような結果が出ない状況が続くと、スタンドから暴言に近いような攻撃的な言葉が飛ぶ例が多くのクラブで見られます。

また、XなどSNSのアカウントのリプライ欄やコメント欄にも見るに耐えないコメントやリプライが並んだり、場合によっては差別的な内容の投稿を行う輩が出てくる例もあります。

そういった言動を行う者に共通していることとして、「自分の発言は誹謗ではなく批評である」といったものです。

今の時代、そういった言い訳は通用しません。

カスタマーハラスメントの案件を問わず、行動が「ハラスメント=嫌がらせ」か否かを判断するのは、行動した本人ではなく、「された側」であることは誰もが認識すべきことです。

まぁそれが適切な言葉だと思うならばあなたがその言葉を自分の会社の上司にでも吐きかければいいんじゃないですかね?(その後どうなるかはもちろん自己責任で)

つい先日も、とある町の首長のハラスメント事案がニュースを騒がせましたが、本人は「コミュニケーション」や「部下への指導」であると主張しました。

以下に当該事例の調査報告書のリンクを貼りますので、その真偽については読んだ皆様で判断していただければと存じます。
(ちなみにこの報告書を読んだ個人的な感想は、「想像していた何倍も酷い…」というものでした。)

ここまでの内容を踏まえたとして、自分の発言や投稿はあくまでも「批評」あるいは「批判」であると主張したいならば、個人的にはそれでもいいと思います。

…ただし、その「主張」が出来る場は法廷であり、法定代理人を通じてそれを行うことになることはしっかりと認識してほしいですね。


・お客様は王様である。しかし…

今回の記事のタイトルは「王様のレストラン」というドラマのセリフの一部です。

このドラマは脚本家の三谷幸喜氏による作品で、とある赤字続きのフレンチレストランの再建に向け、かつて初代オーナーのもとで働いていた「伝説のギャルソン」を中心としたスタッフたちが奮闘する物語です。

件のセリフは第1話の一幕より。注文内容をめぐり店のソムリエと意見が対立したことから他の従業員に対しても悪態をつき始めた客に対して、松本幸四郎(現:松本白鸚)演じるギャルソンが言い放った言葉の一部です。その全文はこちら。

「私は先輩のギャルソンに、『お客様は王様である』と教えられました。しかし、先輩は言いました。『王様の中には首を刎ねられた奴も大勢いる』と」


我々いちサポーターは「尊敬を集める王様」なのか、「首を刎ねられる王様」なのか、それを決めるは自分の行動次第です。

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